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ピノ到着。
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スカッと晴れ渡ったいい天気。
ハルカ、クライン、プル、ラウールの一行は、皆に見送られ、ピノの町へ向かった。
馬車だと三日かかる町。
大層な旅のように思えるが、クロノスに運んで貰えば一時間もかからない。
「クロちゃんのお陰で、本当に移動が楽になったよねぇ」
ハルカは軽ガラスの外の景色を眺めながら呟いた。
「そうだな。移動食堂やってた時は馬車移動時間の長さがキツかったな」
クラインがしみじみと言う。
《ワシはこれに乗るのは初めてじゃが、なんだか浮かんで移動すると言うのは、足元がこそばい感じがするのぅ。落ち着かないと言うか》
「俺様はハルカんとこで暮らすようになるまでは基本浮かんで移動だったからなー。人間も魔法でも使わなきゃ浮かばないだろ」
「そんな高度な魔法、国でも数人しか使えないぞ」
「え?そうなの?!でも精霊さんズは気軽にやってくれたけど」
ハルカがちょっと自分では届かない棚に置いてあった調理器具を取ろうとした時に、フワッと持ち上げてくれた、お礼にプリン上げたら喜んでた、と言うのを聞いてクラインが、
「ハルカは全属性持ちだし魔力保有量でかいし精霊の加護もあるから全く一般論じゃない」
と訂正した。
「まあ、そんな高度な魔法と言われてるのを鍋だかを取るために位しか利用しないハルカも大概だが、食い物に釣られてホイホイと力を貸す精霊達もどうかと思うな、俺様は」
「妖精のクセに本来の仕事もせず、ハルカんとこで食い散らかして好き放題してるお前には言われたくないと思うぞ彼らも。
あ、ハルカが作ってくれた栗饅頭があるが食べるか?」
「だから身体で返してるだろうが。レストランで俺様の顔をみない日はほぼないと言われるほどの社畜な働きを知らないのかクライン。
ーーおうすまんな。つぶあんか?有り難く頂戴しよう。
おいハルカ、なんでクラインにだけ栗饅頭作ってんだ。ズルいじゃんか。ついでに緑茶あればくれ。ほうじ茶でもいい」
ハルカはアイテムボックスから緑茶のボトルを取り出すとプルに渡した。
「ん?いやー、………もう少しで旦那様だし?好みのスイーツや食事傾向の調査も兼ねて特別枠という事で」
ほぼ一年も一緒に食事をしてるのだから、正直ハルカにはクラインの好物は概ね把握している。
だがそれでも美味しい食べ物を作る位しか愛情をアピール出来る物がない凡人な自分には、胃袋を掴むという世の平凡女性のスタンダードな方法で、地道にポイントを稼ごうとしているのだ。
「特別枠だったのか………」
クラインが幸せそうにハルカの頭を撫でていた。
「おい、ハルカが糸目になってるからその辺にしとけ」
「あっ、ハルカ済まない」
慌てて手を離したクラインに、いやいやこちらこそ、とか言ってるハルカを寝そべりながら眺めていたラウールが、プルに耳打ちした。
《んー、あれかのぅ?今時の恋人同士ってのは、あんなにじれじれした感じなのかの?見てると成人の男女とは思えんほど初々しいのぅ》
プルは二つに割った栗饅頭の一つをラウールの口に放り込み、
「いやー、流石に結婚前であれはないと思うがな。まぁいいんじゃね?ハルカは恋愛事は子供と同じだから徐々にでいいだろ」
[おーい、皆さんそろそろ着くッスよー]
クロノスが念話で話しかけてきた。
「よっしゃ!マダーイ獲ったるぜ~」
「メローンとかも忘れずにね」
「任せろ」
《ワシも働くかのぅ》
「マダーイ♪マダーイ♪」
ピノの町外れに下降して行きながら、テンションが上がるハルカは、
「あ、店の方も見とかないと。海鮮丼屋『はちべえ』だったよね」
と呟き、商人としてはそちらが先だろうが、とプルに説教されるのだった。
ハルカ、クライン、プル、ラウールの一行は、皆に見送られ、ピノの町へ向かった。
馬車だと三日かかる町。
大層な旅のように思えるが、クロノスに運んで貰えば一時間もかからない。
「クロちゃんのお陰で、本当に移動が楽になったよねぇ」
ハルカは軽ガラスの外の景色を眺めながら呟いた。
「そうだな。移動食堂やってた時は馬車移動時間の長さがキツかったな」
クラインがしみじみと言う。
《ワシはこれに乗るのは初めてじゃが、なんだか浮かんで移動すると言うのは、足元がこそばい感じがするのぅ。落ち着かないと言うか》
「俺様はハルカんとこで暮らすようになるまでは基本浮かんで移動だったからなー。人間も魔法でも使わなきゃ浮かばないだろ」
「そんな高度な魔法、国でも数人しか使えないぞ」
「え?そうなの?!でも精霊さんズは気軽にやってくれたけど」
ハルカがちょっと自分では届かない棚に置いてあった調理器具を取ろうとした時に、フワッと持ち上げてくれた、お礼にプリン上げたら喜んでた、と言うのを聞いてクラインが、
「ハルカは全属性持ちだし魔力保有量でかいし精霊の加護もあるから全く一般論じゃない」
と訂正した。
「まあ、そんな高度な魔法と言われてるのを鍋だかを取るために位しか利用しないハルカも大概だが、食い物に釣られてホイホイと力を貸す精霊達もどうかと思うな、俺様は」
「妖精のクセに本来の仕事もせず、ハルカんとこで食い散らかして好き放題してるお前には言われたくないと思うぞ彼らも。
あ、ハルカが作ってくれた栗饅頭があるが食べるか?」
「だから身体で返してるだろうが。レストランで俺様の顔をみない日はほぼないと言われるほどの社畜な働きを知らないのかクライン。
ーーおうすまんな。つぶあんか?有り難く頂戴しよう。
おいハルカ、なんでクラインにだけ栗饅頭作ってんだ。ズルいじゃんか。ついでに緑茶あればくれ。ほうじ茶でもいい」
ハルカはアイテムボックスから緑茶のボトルを取り出すとプルに渡した。
「ん?いやー、………もう少しで旦那様だし?好みのスイーツや食事傾向の調査も兼ねて特別枠という事で」
ほぼ一年も一緒に食事をしてるのだから、正直ハルカにはクラインの好物は概ね把握している。
だがそれでも美味しい食べ物を作る位しか愛情をアピール出来る物がない凡人な自分には、胃袋を掴むという世の平凡女性のスタンダードな方法で、地道にポイントを稼ごうとしているのだ。
「特別枠だったのか………」
クラインが幸せそうにハルカの頭を撫でていた。
「おい、ハルカが糸目になってるからその辺にしとけ」
「あっ、ハルカ済まない」
慌てて手を離したクラインに、いやいやこちらこそ、とか言ってるハルカを寝そべりながら眺めていたラウールが、プルに耳打ちした。
《んー、あれかのぅ?今時の恋人同士ってのは、あんなにじれじれした感じなのかの?見てると成人の男女とは思えんほど初々しいのぅ》
プルは二つに割った栗饅頭の一つをラウールの口に放り込み、
「いやー、流石に結婚前であれはないと思うがな。まぁいいんじゃね?ハルカは恋愛事は子供と同じだから徐々にでいいだろ」
[おーい、皆さんそろそろ着くッスよー]
クロノスが念話で話しかけてきた。
「よっしゃ!マダーイ獲ったるぜ~」
「メローンとかも忘れずにね」
「任せろ」
《ワシも働くかのぅ》
「マダーイ♪マダーイ♪」
ピノの町外れに下降して行きながら、テンションが上がるハルカは、
「あ、店の方も見とかないと。海鮮丼屋『はちべえ』だったよね」
と呟き、商人としてはそちらが先だろうが、とプルに説教されるのだった。
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