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ヴォルテン王国訪問【6】
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元気になったヴォルテン王国の国王から、イアンと船で戻ってきたボリスから打ち明けられたようで、山の中で暴れてた厄介な魔物(と思われてたようだ)の討伐に対しての礼と、自分の健康を取り戻してくれた褒美は何がいい、と打診されたのは山から戻った日の夜の晩餐会の席である。
ハルカ達は晩餐会は流石に断れないのでとりあえず出ることにはしたが、仕事もあるし明日の朝イチで戻ると伝えている。
見た目「だけ」はハルカの父親に似ているシュテルファン国王は、ワイングラスがブランデーグラスのように大きなものに変わっていたが、チビチビ味わってるので1日三杯は守るようだ。
あれで三杯飲んだらボトル1本飲むのと変わらないと思うが、そんな事を口にして不敬罪になるのもバカらしい。
いい年したオッサンなのだ。自己責任であろう。
しかし、この国もご飯が美味しくない。
ハルカはげんなりしていた。
ケルヴィンさんがハルカ達が拐われたのがヴォルテン王国らしいと見極めた辺りで、何だかんだと理由をつけてヴォルテン王国への調味料の輸出は止めていたが、それまではショーユとミソ、マヨネーズなんかは入っていた筈なのだが。
確かに肉を焼いたステーキにはショーユが使われているようだが、血圧が100は軽く上がりそうなほどしょっぱい。
もうステーキの醤油煮である。
何の肉であるかも判別が難しい。
サラダも凄いことになっていた。
最初サラダだと判明するまでフォークで掻き分け探らなくてはならない程、親の仇(かたき)なのかと思うほどのマヨネーズ。
いや、マヨラーと言う呼び名がある位ですからね。
美味しいですよ?マヨネーズは。
でも限度と言うものがあると思うんだよね。
逆にスープはまともなコンソメ風の色合いだと安心して一口すすれば、ショーユ味だった。ブイヨン的な風味も一切ない。ただのうっすいショーユ味。
まだガルバン帝国の方が美味しかった。
………いや、あれ自分で作ったんだった。
なんでだ。
なんで美味しいモノを美味しいと感じる舌があるのに作るとこうなるのだ?
ハルカは苦行僧のようにただひたすら無表情にマヨネーズを限界までこそげおとしたレタスをかじり、肉の後に即スープを飲めば肉の味は薄まり、スープは濃くなるのでは、とかすかな希望でチャレンジしたら、濃い味がスープで口のなかいっぱいに広げられただけであった敗北感に心が折れないようにする事に必死で、国王が何か言ってるのに気づいたのは、隣のケルヴィンさんが足を小突いたからである。
「すっ、すみません!!昼間の山歩きの疲れからかぼんやりしてしまって。聞き返すのも失礼かとは思いますが差し支えなければ今一度………」
シュテルファン国王は笑顔で
「いや、こちらこそ失礼した。我が国のために働いて疲れておるのに返事を急いてしまった。
いやな、バカ息子達の愚かな行動の詫びと、森の魔物討伐と、私を救った褒美は何がいいかと聞いたのだよ」
「………ああ、それなら私は結構です」
討伐してないし。バイトさん増やしただけだし。エリクサー沢山あるし。
強いて言えば、あのバカ王子達にワンパンお見舞いしたい。
とは思うのだが、彼らも父親を想い、国民の暮らしを憂いた余りの行動と思えば理解も出来るだけに、怒りも中途半端だ。
しかしハルカは、自分の事については怒りのボーダーラインがかなり高いというか緩いので構わないのだが、ミリアンまで拐われると言う迷惑をかけてしまったことには腹を立てていた。結果的にはみんなも巻き込まれてしまっている。
「ただ、出来れば一つだけお願いが………」
「うむ、何でも言ってくれ」
「イアン様とボリス様に、私の仲間達への謝罪をお願いいたします」
ハルカの発言に、離れた席で食事をしていたボリスが顔を赤くして立ち上がる。
「謝罪?王族に謝罪を求めるのか平民のお前が?父上を助けた働きには感謝もしているし、森の魔物の討伐に対しても褒美を出すと言っているのに何様のつもりだ?!」
「………因みに、ボリス様は記憶力が儚くてあらせられるのでお忘れかも知れませんが、これでも私はサウザーリン王国の第3王子でございます。
大切な友人が拐われた上に、多大なる面倒ごとを押しつけて来たかと思えば、憂い事がなくなってもお礼ひとつ言う訳でもなく、己のやったことに対する反省の念も見えずにまるで自分の部下か何かのような粗雑な扱いには、流石に腹に据えかねるのですが」
ナプキンで口を軽く押さえたクラインは、虫けらでもみるかのような冷ややかな眼差しでボリスを見た。
「クッ、クライン殿はともかく、ほかの奴等は貴族でも何でもないただの平民ごときではな」
「………その平民ごときが解決できた問題にも対処出来ておられなかったのでしょう?王族でおられる貴方は?私達を見下せる権利がどこにあるのです」
室内の気温が5度ほど下がったような気がしたハルカは、クラインが自分以上に激おこである事に気がついた。
いくら他国の王族とは言え言いたい放題である。国王もいるのに大変まずいのではなかろうか。
ここは大人のケルヴィンさんに何とかしてもらおうと慌てて横を見ると、普段は穏やかなケルヴィンさんも険しい顔をしていた。
「僕これでも元S級冒険者だしコイツ久しぶりに全力で殺っていいかな」
みたいな顔をしている。
プルちゃんも「クソ不味い飯食わせた上に、女神の側近しかも妖精である俺様を平民呼ばわりとか………」と小声でブツブツ言ってるし、テンちゃんに目をやればダークフォースにすっかり飲み込まれたダー●・ベイダーみたいな黒いオーラを撒き散らしていた。
背後に控えていたトラちゃんまで『まだ使ってない毒薬ありますから、吹き矢に塗っておきますね。合図はフォークを置いたらと言うことで』とメモを出してきた。
全く頼んでないからね?私に一生フォーク持たせたままで暮らせと言うのかトラちゃん。
ミリアンに最後の望みをかけてすがるような目線を送ったが、「人の胸みてにやにやとスケベ面してた癖に何が王族よ………切り落としたいわ……」と吐き捨てるような呪いの台詞を唱えてたので思わず目を伏せた。
あかん。
謝罪1つお願いしただけなのに、なぜか【実録!ヤクザ東西大抗争!!『親父の仇はワシがとったる』鮮血の花道に最期に立つ者は!】というタイトルロールがハルカの脳内でエンドレス再生されていた。
ハルカ達は晩餐会は流石に断れないのでとりあえず出ることにはしたが、仕事もあるし明日の朝イチで戻ると伝えている。
見た目「だけ」はハルカの父親に似ているシュテルファン国王は、ワイングラスがブランデーグラスのように大きなものに変わっていたが、チビチビ味わってるので1日三杯は守るようだ。
あれで三杯飲んだらボトル1本飲むのと変わらないと思うが、そんな事を口にして不敬罪になるのもバカらしい。
いい年したオッサンなのだ。自己責任であろう。
しかし、この国もご飯が美味しくない。
ハルカはげんなりしていた。
ケルヴィンさんがハルカ達が拐われたのがヴォルテン王国らしいと見極めた辺りで、何だかんだと理由をつけてヴォルテン王国への調味料の輸出は止めていたが、それまではショーユとミソ、マヨネーズなんかは入っていた筈なのだが。
確かに肉を焼いたステーキにはショーユが使われているようだが、血圧が100は軽く上がりそうなほどしょっぱい。
もうステーキの醤油煮である。
何の肉であるかも判別が難しい。
サラダも凄いことになっていた。
最初サラダだと判明するまでフォークで掻き分け探らなくてはならない程、親の仇(かたき)なのかと思うほどのマヨネーズ。
いや、マヨラーと言う呼び名がある位ですからね。
美味しいですよ?マヨネーズは。
でも限度と言うものがあると思うんだよね。
逆にスープはまともなコンソメ風の色合いだと安心して一口すすれば、ショーユ味だった。ブイヨン的な風味も一切ない。ただのうっすいショーユ味。
まだガルバン帝国の方が美味しかった。
………いや、あれ自分で作ったんだった。
なんでだ。
なんで美味しいモノを美味しいと感じる舌があるのに作るとこうなるのだ?
ハルカは苦行僧のようにただひたすら無表情にマヨネーズを限界までこそげおとしたレタスをかじり、肉の後に即スープを飲めば肉の味は薄まり、スープは濃くなるのでは、とかすかな希望でチャレンジしたら、濃い味がスープで口のなかいっぱいに広げられただけであった敗北感に心が折れないようにする事に必死で、国王が何か言ってるのに気づいたのは、隣のケルヴィンさんが足を小突いたからである。
「すっ、すみません!!昼間の山歩きの疲れからかぼんやりしてしまって。聞き返すのも失礼かとは思いますが差し支えなければ今一度………」
シュテルファン国王は笑顔で
「いや、こちらこそ失礼した。我が国のために働いて疲れておるのに返事を急いてしまった。
いやな、バカ息子達の愚かな行動の詫びと、森の魔物討伐と、私を救った褒美は何がいいかと聞いたのだよ」
「………ああ、それなら私は結構です」
討伐してないし。バイトさん増やしただけだし。エリクサー沢山あるし。
強いて言えば、あのバカ王子達にワンパンお見舞いしたい。
とは思うのだが、彼らも父親を想い、国民の暮らしを憂いた余りの行動と思えば理解も出来るだけに、怒りも中途半端だ。
しかしハルカは、自分の事については怒りのボーダーラインがかなり高いというか緩いので構わないのだが、ミリアンまで拐われると言う迷惑をかけてしまったことには腹を立てていた。結果的にはみんなも巻き込まれてしまっている。
「ただ、出来れば一つだけお願いが………」
「うむ、何でも言ってくれ」
「イアン様とボリス様に、私の仲間達への謝罪をお願いいたします」
ハルカの発言に、離れた席で食事をしていたボリスが顔を赤くして立ち上がる。
「謝罪?王族に謝罪を求めるのか平民のお前が?父上を助けた働きには感謝もしているし、森の魔物の討伐に対しても褒美を出すと言っているのに何様のつもりだ?!」
「………因みに、ボリス様は記憶力が儚くてあらせられるのでお忘れかも知れませんが、これでも私はサウザーリン王国の第3王子でございます。
大切な友人が拐われた上に、多大なる面倒ごとを押しつけて来たかと思えば、憂い事がなくなってもお礼ひとつ言う訳でもなく、己のやったことに対する反省の念も見えずにまるで自分の部下か何かのような粗雑な扱いには、流石に腹に据えかねるのですが」
ナプキンで口を軽く押さえたクラインは、虫けらでもみるかのような冷ややかな眼差しでボリスを見た。
「クッ、クライン殿はともかく、ほかの奴等は貴族でも何でもないただの平民ごときではな」
「………その平民ごときが解決できた問題にも対処出来ておられなかったのでしょう?王族でおられる貴方は?私達を見下せる権利がどこにあるのです」
室内の気温が5度ほど下がったような気がしたハルカは、クラインが自分以上に激おこである事に気がついた。
いくら他国の王族とは言え言いたい放題である。国王もいるのに大変まずいのではなかろうか。
ここは大人のケルヴィンさんに何とかしてもらおうと慌てて横を見ると、普段は穏やかなケルヴィンさんも険しい顔をしていた。
「僕これでも元S級冒険者だしコイツ久しぶりに全力で殺っていいかな」
みたいな顔をしている。
プルちゃんも「クソ不味い飯食わせた上に、女神の側近しかも妖精である俺様を平民呼ばわりとか………」と小声でブツブツ言ってるし、テンちゃんに目をやればダークフォースにすっかり飲み込まれたダー●・ベイダーみたいな黒いオーラを撒き散らしていた。
背後に控えていたトラちゃんまで『まだ使ってない毒薬ありますから、吹き矢に塗っておきますね。合図はフォークを置いたらと言うことで』とメモを出してきた。
全く頼んでないからね?私に一生フォーク持たせたままで暮らせと言うのかトラちゃん。
ミリアンに最後の望みをかけてすがるような目線を送ったが、「人の胸みてにやにやとスケベ面してた癖に何が王族よ………切り落としたいわ……」と吐き捨てるような呪いの台詞を唱えてたので思わず目を伏せた。
あかん。
謝罪1つお願いしただけなのに、なぜか【実録!ヤクザ東西大抗争!!『親父の仇はワシがとったる』鮮血の花道に最期に立つ者は!】というタイトルロールがハルカの脳内でエンドレス再生されていた。
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