40 / 40
奥様のお戻りです②
しおりを挟む
「何か聞こえた?」
「いいや。木々のざわめきでしょう。今日は風が強いから……その中心にある、赤いやつをいただこうかな」
「エメレット伯爵はさすがにお目が高いのね。この赤いのは一つしかないのよ」
『にんげんよ、我は大精霊である。みつぎものをおいていけ』
威厳たっぷりにかしこまったノエルの声が聞こえてきた。私たちが見せびらかしているのが、大分効いたみたいだ。
「そう仰られても。大精霊さまには子供用のお菓子なんて捧げられません。うちのノエルならまだしも……ねぇ?」
「まったくもって巫女の言う通り。そうだ……せっかく沢山食材を持ち帰ってきたのだから、巫女様の歓迎会を開きましょう」
「まあ!」
作戦ではなくても、それは純粋にうれしい。
「外遊中に印象的だった料理の概要を尋ねて、まとめておいたレシピブックがあります。料理長に頼んで再現させましょう」
「だ、旦那様、それは『例のアレ』ですか!?」
場を盛り上げるために、レイナルトが話を合わせてきた。彼は本当に苦労人だし、気が利く。
「ああ。生クリームと牛乳を混ぜて緩くしたチョコレートを鍋の中で一定の温度で保温し、液状に保つ。その鍋に串に刺した果物やビスケットを入れて食べる」
「まあ……。なんて素敵な食べ物なのかしら」
『むぅ』
大げさに手を叩くとくやしそうなノエルの声が聞こえた。……ためらっている。あと一息だ。
「まだありますよ。アイスクリームに衣をつけて、高温の油で揚げるのです。表面は熱くて、中は冷たいまま。不思議でしょう?」
「そんな不思議な食べ物が?」
「ええ。残念ながら、神殿まで供えに行くことはできない。アリエノール、あなたが味見をして感想を大精霊さまに伝えてください。巫女として」
「ええ。大精霊さまには何をお供えすればいいのかしら?」
「それはもう、薬膳粥と、水。レイナルト、ついでに酒蔵を開けておけ。いい感じに熟成しているだろう」
「かしこまりました。このレイナルト、全力でパーティーの準備に取りかからせていただきます」
「それでは、俺は大精霊様に捧げる湧水を汲んでくるとしよう。アリエノール、いっしょに散歩はどうですか。それか乗馬でも」
「ええ、お供しますわ……」
「そんなの、だめーーーーーっ! ノエルだってお祝いしたいのにーーーーーっ!!」
木の陰から、もう我慢がならないとばかりにノエルが飛び出してきた。
「ノエル!」
両手を広げてノエルを迎え入れようとするけれど、ノエルはぴたりと立ち止まった。近寄ると、じりじりと後ろに下がっていく。
「巫女よ、我は大精霊ぞ。なれなれしくするでない。貢ぎものをいただこう」
チョコレートの箱を差し出すと、ノエルはとてて……と近寄り、箱を受け取るとすばやく森へ向かって走ってゆこうとした。
「では、さらばじゃ」
「揚げアイスクリームは森では絶対に食べられないぞ」
去ってゆこうとするノエルの背中に、カシウスが声をかけた。
「……」
ノエルはぴたりと立ち止まる。
「そういえば、だれかさんが喜ぶと思って、ボンボンキャンディも買って来たんだった……はて、誰にあげるつもりだったのか……」
「ぼんきゃ……?」
そんな名前の食べ物は初めて耳にしたとばかりに、ノエルは首をかしげた。緑の瞳が、期待に爛々と光っている。
「色とりどりの綺麗な飴の中に、煮詰めたシロップや酒を詰める。見た目は飴なのに、中には違う味のシロップが入っている。壊れやすいから、これはなかなか食べられないだろうなあ」
「う……」
カシウスはノエルと一緒に暮らしていないのに、どうやら彼女の好みが的確に分かるみたいだ。……もしかして甘いものが好きなのは、ノエルじゃなくて、カシウスなのかもしれない。これはあとで追及しなくては。
でも、その前に、私の仕事がある。
「ノエル。今日のパーティーには、ハンバーグを作ってもらうつもり」
「……ハンバーグ……」
「あなたと一緒に、食べたいわ」
ノエルは何かを言おうとして、ぐっと言葉を飲み込んでうつむいた。
「ノエルが居てくれたから、私はこうしてここにいるの。あなたに恩返しをさせて」
「でも……ノエル、嘘ついた。ほんとは子供じゃないから……エメレットのみんなを嘘ついてかなしませた。嘘ついたら天罰、じゃあノエルにも、天罰……」
「嘘? なんのことだ」
「……怒って、ないの……?」
カシウスの言葉に、ノエルは顔を上げた。金がかかったきれいな緑の瞳──私が一番好きなエメレットの森の様な瞳が、涙で濡れていた。
「お前、うちの子なんだろ。精霊が泣いたり笑ったり、菓子につられて出てくるわけないからな。それとも、ノエルお嬢様はパーティーでお行儀良くする自信がないのかな。これは母上に厳しく躾けてもらわなくては」
カシウスの言葉にノエルの顔がぱっ、と明るくなった。そしてゆっくり、私たちに向かって歩いてくる。
「ノエル……できる。お嬢様……なれる……」
「そうよ、あなたはうちの子よ、ノエル。一緒に暮らしましょう」
「……いいの……? ノエル、にんげんじゃないよ……?」
「どうでもいいわ。ノエル、帰ってきて!」
「う……わ……」
一声呼ぶと、ノエルが私に向かって駆け寄ってくる。しゃがんで両手を広げると、ノエルが腕に飛び込んできた。
「わーーーーっ!!」
「もう、絶対に逃がさないんだから!」
叫びながら飛び込んで来たノエルを、力いっぱい抱きしめる。夢に見た、絶対に手に入らないと思っていた生活がこれから始まるのだ。きっと信じられないような出来事が沢山待っているだろう。
未来への期待に胸の高鳴りが止まらない。この感情はカシウスと、そしてノエルが私にくれたものだ。
「これからは、ずっと一緒よ」
抱きしめたノエルは、深い森の香りがした。
「いいや。木々のざわめきでしょう。今日は風が強いから……その中心にある、赤いやつをいただこうかな」
「エメレット伯爵はさすがにお目が高いのね。この赤いのは一つしかないのよ」
『にんげんよ、我は大精霊である。みつぎものをおいていけ』
威厳たっぷりにかしこまったノエルの声が聞こえてきた。私たちが見せびらかしているのが、大分効いたみたいだ。
「そう仰られても。大精霊さまには子供用のお菓子なんて捧げられません。うちのノエルならまだしも……ねぇ?」
「まったくもって巫女の言う通り。そうだ……せっかく沢山食材を持ち帰ってきたのだから、巫女様の歓迎会を開きましょう」
「まあ!」
作戦ではなくても、それは純粋にうれしい。
「外遊中に印象的だった料理の概要を尋ねて、まとめておいたレシピブックがあります。料理長に頼んで再現させましょう」
「だ、旦那様、それは『例のアレ』ですか!?」
場を盛り上げるために、レイナルトが話を合わせてきた。彼は本当に苦労人だし、気が利く。
「ああ。生クリームと牛乳を混ぜて緩くしたチョコレートを鍋の中で一定の温度で保温し、液状に保つ。その鍋に串に刺した果物やビスケットを入れて食べる」
「まあ……。なんて素敵な食べ物なのかしら」
『むぅ』
大げさに手を叩くとくやしそうなノエルの声が聞こえた。……ためらっている。あと一息だ。
「まだありますよ。アイスクリームに衣をつけて、高温の油で揚げるのです。表面は熱くて、中は冷たいまま。不思議でしょう?」
「そんな不思議な食べ物が?」
「ええ。残念ながら、神殿まで供えに行くことはできない。アリエノール、あなたが味見をして感想を大精霊さまに伝えてください。巫女として」
「ええ。大精霊さまには何をお供えすればいいのかしら?」
「それはもう、薬膳粥と、水。レイナルト、ついでに酒蔵を開けておけ。いい感じに熟成しているだろう」
「かしこまりました。このレイナルト、全力でパーティーの準備に取りかからせていただきます」
「それでは、俺は大精霊様に捧げる湧水を汲んでくるとしよう。アリエノール、いっしょに散歩はどうですか。それか乗馬でも」
「ええ、お供しますわ……」
「そんなの、だめーーーーーっ! ノエルだってお祝いしたいのにーーーーーっ!!」
木の陰から、もう我慢がならないとばかりにノエルが飛び出してきた。
「ノエル!」
両手を広げてノエルを迎え入れようとするけれど、ノエルはぴたりと立ち止まった。近寄ると、じりじりと後ろに下がっていく。
「巫女よ、我は大精霊ぞ。なれなれしくするでない。貢ぎものをいただこう」
チョコレートの箱を差し出すと、ノエルはとてて……と近寄り、箱を受け取るとすばやく森へ向かって走ってゆこうとした。
「では、さらばじゃ」
「揚げアイスクリームは森では絶対に食べられないぞ」
去ってゆこうとするノエルの背中に、カシウスが声をかけた。
「……」
ノエルはぴたりと立ち止まる。
「そういえば、だれかさんが喜ぶと思って、ボンボンキャンディも買って来たんだった……はて、誰にあげるつもりだったのか……」
「ぼんきゃ……?」
そんな名前の食べ物は初めて耳にしたとばかりに、ノエルは首をかしげた。緑の瞳が、期待に爛々と光っている。
「色とりどりの綺麗な飴の中に、煮詰めたシロップや酒を詰める。見た目は飴なのに、中には違う味のシロップが入っている。壊れやすいから、これはなかなか食べられないだろうなあ」
「う……」
カシウスはノエルと一緒に暮らしていないのに、どうやら彼女の好みが的確に分かるみたいだ。……もしかして甘いものが好きなのは、ノエルじゃなくて、カシウスなのかもしれない。これはあとで追及しなくては。
でも、その前に、私の仕事がある。
「ノエル。今日のパーティーには、ハンバーグを作ってもらうつもり」
「……ハンバーグ……」
「あなたと一緒に、食べたいわ」
ノエルは何かを言おうとして、ぐっと言葉を飲み込んでうつむいた。
「ノエルが居てくれたから、私はこうしてここにいるの。あなたに恩返しをさせて」
「でも……ノエル、嘘ついた。ほんとは子供じゃないから……エメレットのみんなを嘘ついてかなしませた。嘘ついたら天罰、じゃあノエルにも、天罰……」
「嘘? なんのことだ」
「……怒って、ないの……?」
カシウスの言葉に、ノエルは顔を上げた。金がかかったきれいな緑の瞳──私が一番好きなエメレットの森の様な瞳が、涙で濡れていた。
「お前、うちの子なんだろ。精霊が泣いたり笑ったり、菓子につられて出てくるわけないからな。それとも、ノエルお嬢様はパーティーでお行儀良くする自信がないのかな。これは母上に厳しく躾けてもらわなくては」
カシウスの言葉にノエルの顔がぱっ、と明るくなった。そしてゆっくり、私たちに向かって歩いてくる。
「ノエル……できる。お嬢様……なれる……」
「そうよ、あなたはうちの子よ、ノエル。一緒に暮らしましょう」
「……いいの……? ノエル、にんげんじゃないよ……?」
「どうでもいいわ。ノエル、帰ってきて!」
「う……わ……」
一声呼ぶと、ノエルが私に向かって駆け寄ってくる。しゃがんで両手を広げると、ノエルが腕に飛び込んできた。
「わーーーーっ!!」
「もう、絶対に逃がさないんだから!」
叫びながら飛び込んで来たノエルを、力いっぱい抱きしめる。夢に見た、絶対に手に入らないと思っていた生活がこれから始まるのだ。きっと信じられないような出来事が沢山待っているだろう。
未来への期待に胸の高鳴りが止まらない。この感情はカシウスと、そしてノエルが私にくれたものだ。
「これからは、ずっと一緒よ」
抱きしめたノエルは、深い森の香りがした。
224
お気に入りに追加
1,603
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(20件)
あなたにおすすめの小説
懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい
キムラましゅろう
恋愛
ある日突然、ユニカは夫セドリックから別邸に移るように命じられる。
その理由は神託により選定された『聖なる乙女』を婚家であるロレイン公爵家で庇護する事に決まったからだという。
だがじつはユニカはそれら全ての事を事前に知っていた。何故ならユニカは17歳の時から突然予知夢を見るようになったから。
ディアナという娘が聖なる乙女になる事も、自分が他所へ移される事も、セドリックとディアナが恋仲になる事も、そして自分が夫に望まれない妊娠をする事も……。
なのでユニカは決意する。
予知夢で見た事は変えられないとしても、その中で自分なりに最善を尽くし、お腹の子と幸せになれるように頑張ろうと。
そしてセドリックから離婚を突きつけられる頃には立派に自立した自分になって、胸を張って新しい人生を歩いて行こうと。
これは不自然なくらいに周囲の人間に恵まれたユニカが夫から自立するために、アレコレと奮闘……してるようには見えないが、幸せな未来の為に頑張ってジタバタする物語である。
いつもながらの完全ご都合主義、ゆるゆる設定、ノンリアリティなお話です。
宇宙に負けない広いお心でお読み頂けると有難いです。
作中、グリム童話やアンデルセン童話の登場人物と同じ名のキャラで出てきますが、決してご本人ではありません。
また、この異世界でも似たような童話があるという設定の元での物語です。
どうぞツッコミは入れずに生暖かいお心でお読みくださいませ。
血圧上昇の引き金キャラが出てきます。
健康第一。用法、用量を守って正しくお読みください。
妊娠、出産にまつわるワードがいくつか出てきます。
苦手な方はご注意下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
あなたと別れて、この子を生みました
キムラましゅろう
恋愛
約二年前、ジュリアは恋人だったクリスと別れた後、たった一人で息子のリューイを生んで育てていた。
クリスとは二度と会わないように生まれ育った王都を捨て地方でドリア屋を営んでいたジュリアだが、偶然にも最愛の息子リューイの父親であるクリスと再会してしまう。
自分にそっくりのリューイを見て、自分の息子ではないかというクリスにジュリアは言い放つ。
この子は私一人で生んだ私一人の子だと。
ジュリアとクリスの過去に何があったのか。
子は鎹となり得るのか。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
⚠️ご注意⚠️
作者は元サヤハピエン主義です。
え?コイツと元サヤ……?と思われた方は回れ右をよろしくお願い申し上げます。
誤字脱字、最初に謝っておきます。
申し訳ございませぬ< (_"_) >ペコリ
小説家になろうさんにも時差投稿します。
国王陛下、私のことは忘れて幸せになって下さい。
ひかり芽衣
恋愛
同じ年で幼馴染のシュイルツとアンウェイは、小さい頃から将来は国王・王妃となり国を治め、国民の幸せを守り続ける誓いを立て教育を受けて来た。
即位後、穏やかな生活を送っていた2人だったが、婚姻5年が経っても子宝に恵まれなかった。
そこで、跡継ぎを作る為に側室を迎え入れることとなるが、この側室ができた人間だったのだ。
国の未来と皆の幸せを願い、王妃は身を引くことを決意する。
⭐︎2人の恋の行く末をどうぞ一緒に見守って下さいませ⭐︎
※初執筆&投稿で拙い点があるとは思いますが頑張ります!
夫はオシドリ夫婦と評される※ただし相手は妻の私ではない
キムラましゅろう
恋愛
クロウ子爵家の一人娘リゼットには単身赴任中の入婿である夫がいる。
訳あって短期間だけ知人の娘に変身して魔法省にてバイトをする事になったリゼット。
奇しくもバイト先は夫の職場。
訳ありの訳ありであくまでも他人になりすまして仕事をするリゼットは単身赴任中の夫がオシドリ夫婦と評判なのだという事を知る。
ただしそれは妻であるリゼットではない同僚女性との間で評されているものであった……。
さてリゼット、どうする?
作者は元サヤハピエン溺愛主義でございます。
いつも無理やりこじつけからの〜捻じ曲げて元サヤに持って参りますので、アンチ元サヤの方はそっ閉じをお勧めいたします。
いつもながらの完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字も大変多いです(断言)何卒ご了承のほどお願い申し上げます。
そしてモヤり、イライラ等による血圧の上昇も懸念されます。
コレらの注意事項をよくお読みになられて、用法用量を守って正しくお読みくださいませ。
小説家になろうさんでも投稿しています。
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
【完結】虐待された少女が公爵家の養女になりました
鈴宮ソラ
ファンタジー
オラルト伯爵家に生まれたレイは、水色の髪と瞳という非凡な容姿をしていた。あまりに両親に似ていないため両親は彼女を幼い頃から不気味だと虐待しつづける。
レイは考える事をやめた。辛いだけだから、苦しいだけだから。心を閉ざしてしまった。
十数年後。法官として勤めるエメリック公爵によって伯爵の罪は暴かれた。そして公爵はレイの並外れた才能を見抜き、言うのだった。
「私の娘になってください。」
と。
養女として迎えられたレイは家族のあたたかさを知り、貴族の世界で成長していく。
前題 公爵家の養子になりました~最強の氷魔法まで授かっていたようです~
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
なんだかなんだか泣けちゃう不思議(´;ω;`)おかえりおかえり
良かったです!
ノエルちゃん!おかえりなさい
作者さま!番外編で後日談お願いします
せっかく三人がそろったのに…暮らす様子など読んでみたいです(* ´ ▽ ` *)
精霊というか妖怪オイテケ