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第1章
第60話《オメコンの自己紹介と、一方その頃兄は…》
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「いやぁ、皆様どうですか!今年のオメコンは今までよりも断然レベルが高いですよね~。それでは、自己紹介の方をエントリーナンバー順にお願いいたします!」
(普通に全方位に失礼すぎるよな、あの司会者…何故か総一郎とひなにだけ甘々だけど。)
司会による軽い紹介と出場者入場が終わり、ステージ上に全出場者が集まると、司会がシマちゃんにマイクを渡す。
「はじめまして!エントリーナンバー1番江永シマです♬特技はオムライスを作る事で、文化祭ではメイド喫茶もやってます♡チャームポイントはちょっとお調子者?な所かな?コンテスト前に司会者さんに僕の事を《〇×大学の白百合》って紹介してっておねだりしたのが普通にバラされちゃってちょっと恥ずかしいです///今顔が赤いのであんまり見ないでくださいね?ふふ。」
エントリーナンバーが一番最初のシマちゃんが司会にマイクを貰って、堂々と自己紹介を済ませる。
ついさっき司会に悪意を持って自薦だの《自称:〇×大学の白百合》だのと、暴露されてしまった事への経緯をえへへ、と照れつつも可愛らしくはにかみながら話すシマちゃんに会場は和やかな雰囲気に包まれた。
『ちょっと照れてるのかわいいww』
『あの子絶対いい子だよね~。』
『ねー。正直者だし、素直って言うか!』
『私、シマちゃんの事応援しようかな~!』
『おい司会、デリカシーがないぞ!シマちゃんが可哀そうだろ!』
『シマちゃんは私達が守らないと…!』
『L・O・V・E・シ・マ・ちゃん!!』
(すごい、自己紹介だけでもうファンを作ってる…。)
あのひどすぎる司会の紹介を逆に利用したおかげで、女性票と応援や同情票まで集まっているようだ。
(歓声の声から察するに、比較的Ωや女性客を中心にかなりの人気を集めているみたいだな。これは良い感じだ!)
シマちゃんの自己紹介が終わり、他の出場者も次々と自己紹介を済ませ、横にマイクが渡っていき、とうとうひなの番になる。
「皆さんこんにちは~♡エントリーナンバー7番、愛野ひなです♪特技は料理、お裁縫、ピアノで、趣味はお菓子作り、かなぁ?普段はテニスサークルのマネージャーをやってます。周りからはよく白百合とか胡蝶蘭みたいに綺麗だねって言われるけど僕はあまりそういう自覚が無くってぇ…。正直沢山の人にコンテストに推薦していただいて驚いてます…。」
(あっ、こいつ、さりげなくシマちゃんの自己紹介に対して嫌味とマウントを取ってるな…。)
ひなは可愛らしい笑顔で自己紹介を済ませながらも、さりげなくシマちゃんにマウントをかけるのを忘れないあたり平常運転のようだ。
まぁ嫌味がバレたのか、ブーイングも微かに巻きおこっているけども。
『うおおぉーーー!!天使ぃぃ!』
『優勝!ひなっちが断然優勝だ!』
『ガチで結婚しよ!!!!』
ひなのがあざとく首を傾げるようにはにかんだ笑顔に、一部の男性客から割れんばかりの歓声が上がる。
一番声がうるさい最前列の席の方を何とはなしに見てみると、例の俺にけん制をかけようとしてきたテニスサークルの連中が、拳を突き上げてひなの事を応援していた。
(はは、あいつらやっぱり応援に来てたのか…。まあいかにも取り巻きって感じだったし、当然だよな。)
そうこうしている間にもコンテスト出場者達に、第一審査の準備に入るように呼び掛ける司会のアナウンスが入った。
「ひな様、素晴らしい自己紹介をありがとうございます…!!さあ皆様、ここで自己紹介タイムも終了となりましたね!会場も大盛り上がりといったところで、お次はとうとう第一次審査が始まります!!これから10分のお時間を取りますので、出場者の皆さんはミスターコン同様、会場の入り口の方へスタンバイお願いいたします!」
司会に従って出場者たちがステージから降りて、体育館の端を通って会場の入り口へ向かう。
その途中でひなは誰かを探しているかのようにキョロキョロとあたりを見渡している様子だった。
多分、総一郎の姿を探しているのだろう。
(会場にはまだ、流石にいないだろうな…。)
そういえば、総一郎は今頃どこにいるのだろうか…。
上手い事俺のスマホを追いかけてなるべくコンテスト会場には来ないでもらえると嬉しいのだが。
______________________________________
【おまけの兄視点《1》~オメガコンテスト開幕!一方その頃兄は~】
すずめとつばめがオメガコンテストとやらに熱中している間、俺こと霧下めじろは暇だから相田長介君(妹の彼氏)と文化祭の出し物を色々と見て回る事にした。
(しっかし、すずめが世界一可愛いに決まってるのにあんな大会の優勝に意味なんてあるのかねぇ。)
弟と妹には悪いが、俺としてはΩで一番可愛い子を決めるコンテストだと言われてもイマイチ、というか全然ピンとこない。
何故ならば、俺からしてみれば、すずめが世界一可愛く思えるからだ。
というか贔屓目無しに一番可愛いだろう、うちの弟が。異論は認めない。
もちろんβの中ではつばめが世界で一番可愛いし、αの中では俺が一番かっこいい…くはないか…。
今朝いけ好かない鷲田タクトとかいうイケメン俳優にズタズタに打ちのめされて、その後、これまたいけ好かないすずめの彼氏がコンテストでちやほやされているのを見て、また打ちのめされて…。
俺だってあいつらと同じαで中々イケてる方のはずなのに、何故だか全然モテないんだもんなぁ。
「まぁ、いいや。さーて、どこから見て回るかな…。」
「迷うっすよねぇ。」
今の俺は重大なミッションを抱えている。
オメガコンテストが終わる前までに、つばめとすずめが欲しいとねだってきたお土産、《映える飴》をこの大学の出店という出店を練り歩いて買っていってやらないといけないのだ。
いや、でもまずは腹ごしらえだな…。
なんせ、昼間は謎の根田ドルトラとかいう巨大なハーフの男にたこ焼きを無理やり、あーんして食わされただけで、それ以外は一切腹に入れてないのだ。
「とりあえず、なんか食いに行くか。」
「お!いいっすね!実は俺、まだ後2枚たこ焼きの引換券まだ持ってるんすよ!!是非またうちの店にたこ焼きを食いに行きましょうぜ!!」
「…!!悪いが、それだけは却下だ…!」
とんでもない提案をしてくる相田君に食い気味で否定していると、突然後ろからポンっと肩を叩かれた。
(ん?誰だ…?)
(普通に全方位に失礼すぎるよな、あの司会者…何故か総一郎とひなにだけ甘々だけど。)
司会による軽い紹介と出場者入場が終わり、ステージ上に全出場者が集まると、司会がシマちゃんにマイクを渡す。
「はじめまして!エントリーナンバー1番江永シマです♬特技はオムライスを作る事で、文化祭ではメイド喫茶もやってます♡チャームポイントはちょっとお調子者?な所かな?コンテスト前に司会者さんに僕の事を《〇×大学の白百合》って紹介してっておねだりしたのが普通にバラされちゃってちょっと恥ずかしいです///今顔が赤いのであんまり見ないでくださいね?ふふ。」
エントリーナンバーが一番最初のシマちゃんが司会にマイクを貰って、堂々と自己紹介を済ませる。
ついさっき司会に悪意を持って自薦だの《自称:〇×大学の白百合》だのと、暴露されてしまった事への経緯をえへへ、と照れつつも可愛らしくはにかみながら話すシマちゃんに会場は和やかな雰囲気に包まれた。
『ちょっと照れてるのかわいいww』
『あの子絶対いい子だよね~。』
『ねー。正直者だし、素直って言うか!』
『私、シマちゃんの事応援しようかな~!』
『おい司会、デリカシーがないぞ!シマちゃんが可哀そうだろ!』
『シマちゃんは私達が守らないと…!』
『L・O・V・E・シ・マ・ちゃん!!』
(すごい、自己紹介だけでもうファンを作ってる…。)
あのひどすぎる司会の紹介を逆に利用したおかげで、女性票と応援や同情票まで集まっているようだ。
(歓声の声から察するに、比較的Ωや女性客を中心にかなりの人気を集めているみたいだな。これは良い感じだ!)
シマちゃんの自己紹介が終わり、他の出場者も次々と自己紹介を済ませ、横にマイクが渡っていき、とうとうひなの番になる。
「皆さんこんにちは~♡エントリーナンバー7番、愛野ひなです♪特技は料理、お裁縫、ピアノで、趣味はお菓子作り、かなぁ?普段はテニスサークルのマネージャーをやってます。周りからはよく白百合とか胡蝶蘭みたいに綺麗だねって言われるけど僕はあまりそういう自覚が無くってぇ…。正直沢山の人にコンテストに推薦していただいて驚いてます…。」
(あっ、こいつ、さりげなくシマちゃんの自己紹介に対して嫌味とマウントを取ってるな…。)
ひなは可愛らしい笑顔で自己紹介を済ませながらも、さりげなくシマちゃんにマウントをかけるのを忘れないあたり平常運転のようだ。
まぁ嫌味がバレたのか、ブーイングも微かに巻きおこっているけども。
『うおおぉーーー!!天使ぃぃ!』
『優勝!ひなっちが断然優勝だ!』
『ガチで結婚しよ!!!!』
ひなのがあざとく首を傾げるようにはにかんだ笑顔に、一部の男性客から割れんばかりの歓声が上がる。
一番声がうるさい最前列の席の方を何とはなしに見てみると、例の俺にけん制をかけようとしてきたテニスサークルの連中が、拳を突き上げてひなの事を応援していた。
(はは、あいつらやっぱり応援に来てたのか…。まあいかにも取り巻きって感じだったし、当然だよな。)
そうこうしている間にもコンテスト出場者達に、第一審査の準備に入るように呼び掛ける司会のアナウンスが入った。
「ひな様、素晴らしい自己紹介をありがとうございます…!!さあ皆様、ここで自己紹介タイムも終了となりましたね!会場も大盛り上がりといったところで、お次はとうとう第一次審査が始まります!!これから10分のお時間を取りますので、出場者の皆さんはミスターコン同様、会場の入り口の方へスタンバイお願いいたします!」
司会に従って出場者たちがステージから降りて、体育館の端を通って会場の入り口へ向かう。
その途中でひなは誰かを探しているかのようにキョロキョロとあたりを見渡している様子だった。
多分、総一郎の姿を探しているのだろう。
(会場にはまだ、流石にいないだろうな…。)
そういえば、総一郎は今頃どこにいるのだろうか…。
上手い事俺のスマホを追いかけてなるべくコンテスト会場には来ないでもらえると嬉しいのだが。
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【おまけの兄視点《1》~オメガコンテスト開幕!一方その頃兄は~】
すずめとつばめがオメガコンテストとやらに熱中している間、俺こと霧下めじろは暇だから相田長介君(妹の彼氏)と文化祭の出し物を色々と見て回る事にした。
(しっかし、すずめが世界一可愛いに決まってるのにあんな大会の優勝に意味なんてあるのかねぇ。)
弟と妹には悪いが、俺としてはΩで一番可愛い子を決めるコンテストだと言われてもイマイチ、というか全然ピンとこない。
何故ならば、俺からしてみれば、すずめが世界一可愛く思えるからだ。
というか贔屓目無しに一番可愛いだろう、うちの弟が。異論は認めない。
もちろんβの中ではつばめが世界で一番可愛いし、αの中では俺が一番かっこいい…くはないか…。
今朝いけ好かない鷲田タクトとかいうイケメン俳優にズタズタに打ちのめされて、その後、これまたいけ好かないすずめの彼氏がコンテストでちやほやされているのを見て、また打ちのめされて…。
俺だってあいつらと同じαで中々イケてる方のはずなのに、何故だか全然モテないんだもんなぁ。
「まぁ、いいや。さーて、どこから見て回るかな…。」
「迷うっすよねぇ。」
今の俺は重大なミッションを抱えている。
オメガコンテストが終わる前までに、つばめとすずめが欲しいとねだってきたお土産、《映える飴》をこの大学の出店という出店を練り歩いて買っていってやらないといけないのだ。
いや、でもまずは腹ごしらえだな…。
なんせ、昼間は謎の根田ドルトラとかいう巨大なハーフの男にたこ焼きを無理やり、あーんして食わされただけで、それ以外は一切腹に入れてないのだ。
「とりあえず、なんか食いに行くか。」
「お!いいっすね!実は俺、まだ後2枚たこ焼きの引換券まだ持ってるんすよ!!是非またうちの店にたこ焼きを食いに行きましょうぜ!!」
「…!!悪いが、それだけは却下だ…!」
とんでもない提案をしてくる相田君に食い気味で否定していると、突然後ろからポンっと肩を叩かれた。
(ん?誰だ…?)
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