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第1章
第32話《お祭りデート?していた彼氏と幼馴染》
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ひなに続いて総一郎が、浮気デートの後とは思えない罪悪感の欠片もない声で話しかけてくる。
「すずめ!君も文化祭早めに来てたんだね。てっきり午後から来るものだと思ってたよ。」
「うん!総一郎君はミスターコンのリハ終わったの?」
「あぁ、丁度今終わった所でね。愛野もオメコンのリハがあったから合流したんだ。」
(今終わった…か。文化祭の日程を見るに、リハーサルはとっくの前に終わったはずなんだけどな?)
俺が何も知らないと思って適当な嘘をつく総一郎に一瞬眉を寄せながらも、一応今は話に乗ってやることにした。
「そうなんだ!総一郎君もひなちゃんもお疲れ様!」
ぎゅっ!
会話の最中にいつものように総一郎に抱き着くと、総一郎の背後にいたひながビクッと反応して眉根が不愉快そうに動いたのが分かった。もうその態度は隠す気ないだろと呆れつつも、俺はひなの反応が面白いのでもっと密着してやった。
「ふふ、まだ甘えんぼ気分なの?可愛いな。そうだ、これからコンテストまで一緒に出店をまわろうか。」
「え、いいの??やったー!」
この後は相田君とのコンテストの打ち合わせをしたいから行くつもりはないけど、ひなの機嫌が急降下していくのが楽しいので一旦話を合わせておく。
「すずめちゃん…?人前でいちゃいちゃも良いけど度が過ぎるとみっともないから止めた方がいいよ?総君は午後からミスターコンもあるんだし…。」
とうとう堪忍袋が切れたらしいひながコンテストにかこつけて俺にけん制をかけてきた。
これ以上は流石に怪しまれるので、総一郎へのイチャイチャ攻撃もここまでにしておこう。
「ところですずめ、そちらの男性はすずめのお兄さん?」
「あ、うん!そうだよ。」
「ふふ、やっぱりそうか。初めまして、お義兄さん。すずめさんとお付き合いをさせていただいております。鷹崎総一郎と申します。」
総一郎が俺の隣に立っている兄に気が付いて挨拶をしながら手を差し出す。
兄もこいつの浮気に関しては何も知らないので、満面の笑みで握手を返した。
「これはどうも!すずめの兄の霧下めじろです。うちの弟がいつもお世話になっております。」
兄が当たり障りのない挨拶をすると、それに続いてつばめも自己紹介を始める。
「初めまして!すずめちゃんの妹のつばめっていいまーす!てかすずめちゃんの彼ピ爆イケじゃん!推しになりそう~ww」
新たなイケメンの登場に上機嫌になるつばめに兄は呆れた顔でツッコむ。
「おい、タクト様はどうするんだよ。あっちも推しなんだろ?二股になるぞ?」
「えー?タクト様は美しい枠で鷹崎さんはカッコいい枠!推しは何人作ってもOKだもんね~って事で鷹崎さん!良かったらお近づきの印に私とも握手してください!」
ぐいっ
妹が冗談半分で総一郎に手を差し出すと、突然ひなが総一郎の腕に抱き着き、自分の方へと寄せた。
それによって握手を無視された形になる妹が、頭の上に?マークが浮かんでいるのが分かる。
「ん?愛野?どうしたんだ?」
「なんか僕…人混みに酔っちゃって具合悪いかも…。休める所に連れてってほしいな…?」
いきなり腕を引っ張られて戸惑う総一郎と、涙目で上目遣いをしながら総一郎を見上げて体調不良を訴えるひな。
(体調不良なんて100%嘘だろ。)
俺に総一郎とのデートを邪魔されたくないのと、イケメン好きな妹に自分の男が触られるのを阻止したかったんだろうな。
あまり接点のない妹まで接触NGとは…。
ここまで独占欲が強くてよく総一郎の二股容認してるよな。
まぁ自分と俺に対する総一郎の気持ちの格差を実感してマウントも取れるし、渋々なんだろうけど。
「しょうがないな。ミスターコンの第一審査までには良くなりそうなのか?」
「うん!総君が看病してくれたら治るよ♪一緒にランウェイ歩かなきゃだもんね?」
「はぁ分かった。ほらおんぶしてやるから乗れよ。」
「やったぁ♡」
まるで付き合いたてのカップルかのような会話をしながら、イチャつき始める総一郎とひなに、兄と妹はあんぐりと口を開けている。
(これはまずいな。もし今浮気の事がこの二人にバレたら、俺があいつらに復讐する前に殴り込みに行きそうだ。)
というか、やっぱりミスターコン第一審査は総一郎とひなが組むのか。
俺、その話総一郎の口から一言も聞いてませんけど?
一応、疑似結婚式ともいえるイベントの花嫁役に恋人じゃなくて、恋人の幼馴染を選ぶのなら普通なにかしら言及するよな?
「って事で、すずめちゃん?ごめんだけど総君の事借りるね?」
「一緒に出店行こうって言ってたのに悪いなすずめ、コンテストが終わったら文化祭一緒にまわろうな?」
「あ、うん。」
ま、いいか。こいつらはこいつらで残り少ない幸せの時間を過ごせばいい。
それより問題なのは俺の両隣で、殺気立ったオーラを醸し出している兄と妹だ。
「な~に~あ~れ~!!NTRされてるよNTR!!キ~~~~~!!!!!」
「すずめ、これはどういう事なんだ?お兄ちゃんに説明してごらん?」
さて、どうやって誤魔化そうか…。
「すずめ!君も文化祭早めに来てたんだね。てっきり午後から来るものだと思ってたよ。」
「うん!総一郎君はミスターコンのリハ終わったの?」
「あぁ、丁度今終わった所でね。愛野もオメコンのリハがあったから合流したんだ。」
(今終わった…か。文化祭の日程を見るに、リハーサルはとっくの前に終わったはずなんだけどな?)
俺が何も知らないと思って適当な嘘をつく総一郎に一瞬眉を寄せながらも、一応今は話に乗ってやることにした。
「そうなんだ!総一郎君もひなちゃんもお疲れ様!」
ぎゅっ!
会話の最中にいつものように総一郎に抱き着くと、総一郎の背後にいたひながビクッと反応して眉根が不愉快そうに動いたのが分かった。もうその態度は隠す気ないだろと呆れつつも、俺はひなの反応が面白いのでもっと密着してやった。
「ふふ、まだ甘えんぼ気分なの?可愛いな。そうだ、これからコンテストまで一緒に出店をまわろうか。」
「え、いいの??やったー!」
この後は相田君とのコンテストの打ち合わせをしたいから行くつもりはないけど、ひなの機嫌が急降下していくのが楽しいので一旦話を合わせておく。
「すずめちゃん…?人前でいちゃいちゃも良いけど度が過ぎるとみっともないから止めた方がいいよ?総君は午後からミスターコンもあるんだし…。」
とうとう堪忍袋が切れたらしいひながコンテストにかこつけて俺にけん制をかけてきた。
これ以上は流石に怪しまれるので、総一郎へのイチャイチャ攻撃もここまでにしておこう。
「ところですずめ、そちらの男性はすずめのお兄さん?」
「あ、うん!そうだよ。」
「ふふ、やっぱりそうか。初めまして、お義兄さん。すずめさんとお付き合いをさせていただいております。鷹崎総一郎と申します。」
総一郎が俺の隣に立っている兄に気が付いて挨拶をしながら手を差し出す。
兄もこいつの浮気に関しては何も知らないので、満面の笑みで握手を返した。
「これはどうも!すずめの兄の霧下めじろです。うちの弟がいつもお世話になっております。」
兄が当たり障りのない挨拶をすると、それに続いてつばめも自己紹介を始める。
「初めまして!すずめちゃんの妹のつばめっていいまーす!てかすずめちゃんの彼ピ爆イケじゃん!推しになりそう~ww」
新たなイケメンの登場に上機嫌になるつばめに兄は呆れた顔でツッコむ。
「おい、タクト様はどうするんだよ。あっちも推しなんだろ?二股になるぞ?」
「えー?タクト様は美しい枠で鷹崎さんはカッコいい枠!推しは何人作ってもOKだもんね~って事で鷹崎さん!良かったらお近づきの印に私とも握手してください!」
ぐいっ
妹が冗談半分で総一郎に手を差し出すと、突然ひなが総一郎の腕に抱き着き、自分の方へと寄せた。
それによって握手を無視された形になる妹が、頭の上に?マークが浮かんでいるのが分かる。
「ん?愛野?どうしたんだ?」
「なんか僕…人混みに酔っちゃって具合悪いかも…。休める所に連れてってほしいな…?」
いきなり腕を引っ張られて戸惑う総一郎と、涙目で上目遣いをしながら総一郎を見上げて体調不良を訴えるひな。
(体調不良なんて100%嘘だろ。)
俺に総一郎とのデートを邪魔されたくないのと、イケメン好きな妹に自分の男が触られるのを阻止したかったんだろうな。
あまり接点のない妹まで接触NGとは…。
ここまで独占欲が強くてよく総一郎の二股容認してるよな。
まぁ自分と俺に対する総一郎の気持ちの格差を実感してマウントも取れるし、渋々なんだろうけど。
「しょうがないな。ミスターコンの第一審査までには良くなりそうなのか?」
「うん!総君が看病してくれたら治るよ♪一緒にランウェイ歩かなきゃだもんね?」
「はぁ分かった。ほらおんぶしてやるから乗れよ。」
「やったぁ♡」
まるで付き合いたてのカップルかのような会話をしながら、イチャつき始める総一郎とひなに、兄と妹はあんぐりと口を開けている。
(これはまずいな。もし今浮気の事がこの二人にバレたら、俺があいつらに復讐する前に殴り込みに行きそうだ。)
というか、やっぱりミスターコン第一審査は総一郎とひなが組むのか。
俺、その話総一郎の口から一言も聞いてませんけど?
一応、疑似結婚式ともいえるイベントの花嫁役に恋人じゃなくて、恋人の幼馴染を選ぶのなら普通なにかしら言及するよな?
「って事で、すずめちゃん?ごめんだけど総君の事借りるね?」
「一緒に出店行こうって言ってたのに悪いなすずめ、コンテストが終わったら文化祭一緒にまわろうな?」
「あ、うん。」
ま、いいか。こいつらはこいつらで残り少ない幸せの時間を過ごせばいい。
それより問題なのは俺の両隣で、殺気立ったオーラを醸し出している兄と妹だ。
「な~に~あ~れ~!!NTRされてるよNTR!!キ~~~~~!!!!!」
「すずめ、これはどういう事なんだ?お兄ちゃんに説明してごらん?」
さて、どうやって誤魔化そうか…。
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