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第1章
第23話《義弟(仮)と第二次審査の打ち合わせ》
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浮気を知ったことをバレない様にするのも案外コストがかかるよな。
精神的には大分落ち着いてきたとはいえ、貴重な時間を取られるのが嫌だ。
俺は総一郎とひなに渋々返信した後、ようやく相田君をアプリに登録したのだった。
(一応メッセージを送っておくか。)
『相田君の事登録したよ。これからよろしくね!』
『うす!ありがとうございます!!よろしくお願いするっす!!』
(お、数秒で返事が来た。このフリック入力の速さ…さては妹とのやり取りでかなり鍛えられてるな…。)
これからは主にリモートで打ち合わせをやっていくつもりなので、正直このレスの早さはとても助かる。
『これから衣装保管室に白無垢があるか見に行くよ。』
『うす!俺の方は明日の第二次審査の準備をしておくっす!』
『了解。』
__ってそういえば二次審査のテーマってなんだっけ?
一次審査は分かるけど、二次審査の方はまだ確認していなかった…。
気になってスマホでサイトを確認してみると、なんとテーマは『ホスト』。
審査内容は『姫へのおもてなし』で、お客様(姫)役のエキストラは各自準備しておくこと、と記載されている。
(これは…ちょっと、マズいかな?)
相田君と一番縁が遠い言葉な気がする。
とりあえず、どういった服装で挑むつもりか聞いてみるか。
『第二次審査のテーマってホストだよね?どんな服着る予定なの?』
『そりゃ勿論ホストっぽいイケイケの金髪のカツラを装着する予定っすよ!スーツも真っ白で胸に深紅の薔薇のコサージュしてる感じっすかね?』
(確認しておいてよかった)
流石にあのガタイと強面にその恰好は組み合わせが悪すぎる。
男性受けも悪そうだし、止めておこう。
(しかし、どうしたもんかな…。相田君にはスーツはスーツでも、もっと似合う組み合わせがありそうなものなんだけど…。)
どうも、ホストに近づこうとすればするほど、変な方向に行ってしまう気がする。
……というかむしろありのままの方がいいのでは?
ちょっとした策を思いついた俺は、相田君にとある提案をしてみることにした。
『俺なりに考えたんだけどさ…、第二次審査はいつもの君の格好で挑戦してみない?今日してたサングラスもつけて、ひげも剃らないで、カツラもナシ。勿論スーツは着るけど真っ黒のやつね。』
『え!でもそれじゃあ、お客さん役の女の子が怖がっちゃうっすよ?!』
お、姫役のエキストラ、ちゃんと用意できてたのか。
ちゃんと準備していたのは偉いけど、妹との約束(というか脅し)を綺麗に忘れているようだ。
『そもそも、君、女の子と密接したら妹に怒られるんじゃなかったっけ?』
『あー!!失念してたっす!やっちまったっす!!殺されるっす!!!』
だろうなと思った。
でも大丈夫。俺には一石二鳥の考えがある。
『それで聞きたいんだけどさ、さっき明日は仲間とたこ焼き屋やるって言ってたよね?』
『言ってたっすね!』
『もしかして、その仲間って君みたいにガタイが大きかったりする?』
『当然じゃないっすか!我らがラグビー部のキャプテンなんすから!なんなら俺よりデカいっすよ!!』
やはり思った通りだ。相田君のこの筋肉は四六時中鍛えておかないとこうはならない。
それでいて文化祭に出し物をする位だから、なんらかの筋肉系の部活かサークルに入っているだろうとは思ってたけど、まさかラグビー部だったとは。
『その人に今から連絡取って明日の姫役頼めたりしない?』
『え、キャプテンにっすか!?わ、わかったっす!一応連絡してみるっす!!』
(引き受けてくれるといいけど、流石に急すぎるかな。)
無理だったら代わりを探すしかない、と考えていたら、なんと2分もしないうちに返信が来た。
『返信キタっす!【どんとこい!!!】らしいっす!でもその時間だけ、たこ焼き屋の手伝いが欲しいとのことっす!』
(こんな無茶ぶりをここまですんなり引き受けてくれることある?)
まさかノータイムで快諾とは…類は友を呼ぶのか?
なんにせよ、とてもありがたい。たこ焼き屋は俺が誠意を込めて手伝わせてもらおう。
その間コンテストは見れなくなるけど、あとは相田君達に託すしかない。
『手伝いには俺が行くよ。じゃあ、明日の二次審査はありのままの君で一生懸命姫をおもてなししてね。それから姫にはできるだけド派手なスーツで葉巻っぽいのを加えさせてどっかりと構えさせておいて。」
よし、まぁこんなもんでいいかな?
__これでヤクザの組長に仕える舎弟の図の完成だ。
…一応お題を無視してる訳ではない。
少なくとも相田君はちゃんとスーツで姫をもてなすわけだし、姫の性別の指定もされていない。
あんまりお題に忠実すぎても面白みに欠けるし、そもそも相田君にホストというお題自体が圧倒的に不利なのだから仕方ない。
β男性は任侠物のドラマやゲームが好きな人も多いし、この構図で楽しめる人も多いだろう。
いくらβ男性の応援票で勝負すると言ってもある程度は楽しませなければ、二日目に繋げないからな。
精神的には大分落ち着いてきたとはいえ、貴重な時間を取られるのが嫌だ。
俺は総一郎とひなに渋々返信した後、ようやく相田君をアプリに登録したのだった。
(一応メッセージを送っておくか。)
『相田君の事登録したよ。これからよろしくね!』
『うす!ありがとうございます!!よろしくお願いするっす!!』
(お、数秒で返事が来た。このフリック入力の速さ…さては妹とのやり取りでかなり鍛えられてるな…。)
これからは主にリモートで打ち合わせをやっていくつもりなので、正直このレスの早さはとても助かる。
『これから衣装保管室に白無垢があるか見に行くよ。』
『うす!俺の方は明日の第二次審査の準備をしておくっす!』
『了解。』
__ってそういえば二次審査のテーマってなんだっけ?
一次審査は分かるけど、二次審査の方はまだ確認していなかった…。
気になってスマホでサイトを確認してみると、なんとテーマは『ホスト』。
審査内容は『姫へのおもてなし』で、お客様(姫)役のエキストラは各自準備しておくこと、と記載されている。
(これは…ちょっと、マズいかな?)
相田君と一番縁が遠い言葉な気がする。
とりあえず、どういった服装で挑むつもりか聞いてみるか。
『第二次審査のテーマってホストだよね?どんな服着る予定なの?』
『そりゃ勿論ホストっぽいイケイケの金髪のカツラを装着する予定っすよ!スーツも真っ白で胸に深紅の薔薇のコサージュしてる感じっすかね?』
(確認しておいてよかった)
流石にあのガタイと強面にその恰好は組み合わせが悪すぎる。
男性受けも悪そうだし、止めておこう。
(しかし、どうしたもんかな…。相田君にはスーツはスーツでも、もっと似合う組み合わせがありそうなものなんだけど…。)
どうも、ホストに近づこうとすればするほど、変な方向に行ってしまう気がする。
……というかむしろありのままの方がいいのでは?
ちょっとした策を思いついた俺は、相田君にとある提案をしてみることにした。
『俺なりに考えたんだけどさ…、第二次審査はいつもの君の格好で挑戦してみない?今日してたサングラスもつけて、ひげも剃らないで、カツラもナシ。勿論スーツは着るけど真っ黒のやつね。』
『え!でもそれじゃあ、お客さん役の女の子が怖がっちゃうっすよ?!』
お、姫役のエキストラ、ちゃんと用意できてたのか。
ちゃんと準備していたのは偉いけど、妹との約束(というか脅し)を綺麗に忘れているようだ。
『そもそも、君、女の子と密接したら妹に怒られるんじゃなかったっけ?』
『あー!!失念してたっす!やっちまったっす!!殺されるっす!!!』
だろうなと思った。
でも大丈夫。俺には一石二鳥の考えがある。
『それで聞きたいんだけどさ、さっき明日は仲間とたこ焼き屋やるって言ってたよね?』
『言ってたっすね!』
『もしかして、その仲間って君みたいにガタイが大きかったりする?』
『当然じゃないっすか!我らがラグビー部のキャプテンなんすから!なんなら俺よりデカいっすよ!!』
やはり思った通りだ。相田君のこの筋肉は四六時中鍛えておかないとこうはならない。
それでいて文化祭に出し物をする位だから、なんらかの筋肉系の部活かサークルに入っているだろうとは思ってたけど、まさかラグビー部だったとは。
『その人に今から連絡取って明日の姫役頼めたりしない?』
『え、キャプテンにっすか!?わ、わかったっす!一応連絡してみるっす!!』
(引き受けてくれるといいけど、流石に急すぎるかな。)
無理だったら代わりを探すしかない、と考えていたら、なんと2分もしないうちに返信が来た。
『返信キタっす!【どんとこい!!!】らしいっす!でもその時間だけ、たこ焼き屋の手伝いが欲しいとのことっす!』
(こんな無茶ぶりをここまですんなり引き受けてくれることある?)
まさかノータイムで快諾とは…類は友を呼ぶのか?
なんにせよ、とてもありがたい。たこ焼き屋は俺が誠意を込めて手伝わせてもらおう。
その間コンテストは見れなくなるけど、あとは相田君達に託すしかない。
『手伝いには俺が行くよ。じゃあ、明日の二次審査はありのままの君で一生懸命姫をおもてなししてね。それから姫にはできるだけド派手なスーツで葉巻っぽいのを加えさせてどっかりと構えさせておいて。」
よし、まぁこんなもんでいいかな?
__これでヤクザの組長に仕える舎弟の図の完成だ。
…一応お題を無視してる訳ではない。
少なくとも相田君はちゃんとスーツで姫をもてなすわけだし、姫の性別の指定もされていない。
あんまりお題に忠実すぎても面白みに欠けるし、そもそも相田君にホストというお題自体が圧倒的に不利なのだから仕方ない。
β男性は任侠物のドラマやゲームが好きな人も多いし、この構図で楽しめる人も多いだろう。
いくらβ男性の応援票で勝負すると言ってもある程度は楽しませなければ、二日目に繋げないからな。
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