甘美な百合には裏がある

ありきた

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112話 初めてのスーパー銭湯①

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 今日は朝から隣町のアミューズメント施設を訪れ、夕暮れ前までひたすらに遊び倒した。
 屋外エリアで激しく動き回ったから、全員もれなく汗だく。
バス停の近くにスーパー銭湯があるので、せっかくの機会だからと立ち寄ることに。
私を含め全員が、昔ながらの銭湯はもちろんスーパー銭湯も初体験。
 入浴料を支払うついでにタオルをレンタルして、一目散に脱衣所へと向かう。
 チラッと見えた食堂やエステも気になるけど、とにかく全身にまとわりつく汗を流したい。
 常連さんらしいお年寄りのグループと入れ違いになり、今日は人が少ないからゆっくりくつろげるという情報と、オススメのお風呂を教えてもらった。

「悠理~、あーしが脱がせてあげるねっ」

 誰よりも早く脱衣を済ませた葵先輩に、後ろから抱き着かれる。
 背中に当たる胸の感触は言わずもがな、汗をかいているはずなのに甘い匂いがふわっと漂ってきて、興奮が抑えられない。
 とはいえ、ここで取り乱していてはこの先が思いやられる。
 いまから文字通り裸の付き合いをするのだから、せめて表面上だけでも平静を維持しないと。

「わたしも手伝うわ❤」

 姫歌先輩も名乗りを上げ、続け様にアリス先輩と真里亜先輩も同じように申し出てくれた。

「だ、大丈夫です、一人で脱げますっ」

 口ではそう言っても体は正直で、先輩たちに服を脱がしてもらえると考えた瞬間に余計な力が抜け、一切の遠慮を捨てて厚意に身を委ねる。
 ほんの数秒としないうちに、私は一糸まとわぬ姿となった。
 脱衣所を出てすぐのところでかけ湯を行い、数種類のお風呂を横目に洗い場へ進む。
 上から下まできれいに洗って、汗の臭いとべたつきから解放される。
 タオルで髪をまとめ、いよいよお風呂へ。
 広々とした空間の中には、いろんな種類のお風呂が用意されている。
 炭酸泉、薬湯、ジャグジーバス、電気風呂、水風呂、日替わり湯。
 まずは、おばあさんがオススメしてくれた薬湯に浸かってみる。
 嗅いだことのない独特な香り、濁ったお湯、わずかなぬめり気が印象的で、お湯の温度は家のお風呂より少し熱めだ。
 最初は鼻につく香りだと思ったけど、慣れてくるとけっこう癖になる。
 肝心のお湯も、常連の方々がオススメするのも納得の心地よさ。
 効能の一種なのか、さっきより肌がつるつるになっている気がする。
 ところで――

「うふふ❤ やっぱりお風呂は気持ちいいわ❤」

「一生お風呂の中で生活する方法ってないのかしら」

 姫歌先輩と真里亜先輩のおっぱいがお湯にぷかぷか浮いていて、失礼だと分かっていてもついチラ見してしまう。
 それは葵先輩とアリス先輩も同様で、自分の胸を触りながらチラチラと視線を向けている。

「あーしたちも、可能性がゼロとは言えないよね」

「そうですね、決してゼロではないです」

「あ、アリスにとっては、二人の胸も、充分羨ましい……」

 私と葵先輩は限りなくゼロに等しい可能性にすがり、アリス先輩は悲壮感漂う声音でポツリとつぶやいた。
 大きければいいと主張するわけじゃないけど、大きな胸への憧れは捨てられない。
 とまぁ、悲しい話はこれぐらいにして。
 胸のことは一旦忘れ、騒がしくならない程度に談笑し、スキンシップの範疇で体を触り合う。
 何度か敏感なところに先輩たちの指が当たってエッチな気分になってしまったけど、生理現象だから仕方ない。
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