1 / 124
プロローグ
しおりを挟む
放課後。中学時代からの友人でもあるクラスメイトに、こんなことを言われた。
「創作部でハーレム状態なんでしょ? 入学早々、羨ましいなぁ」
創作部とは、絶世の美少女が四人も在籍していることで有名な部活である。
この春から、平凡な生徒こと私――露原悠理が加わった。
ハーレム状態なのは否定できないけど……まぁ、うん。
秘められた真相を考えると、手放しには喜べない。
「ご、ごめん、遅れるとマズいから、もう行くね」
逃げるように席を立つと、友人は「はいよー」と手を振りながら見送ってくれた。
一階まで下りて昇降口を横目に廊下を進み、部室棟につながる渡り廊下を駆け抜ける。
部室棟の突き当たりに見えるのが、創作部の部室だ。
深呼吸をして、覚悟を決めてからドアノブを回す。
「うふふ、待っていたわよ❤」
扉を開けて中に入ると、黒髪の美少女が突如として目の前に現れた。
「ひゃああぁああああぁぁああぁぁあっっ!」
「しーっ❤ 周りの迷惑になるから、扉を開けたまま叫んじゃダメでしょう?」
口を手で塞がれ、コクコクとうなずきつつドアノブから手を離す。
創作部の防音性は非常に優秀だ。扉が閉まれば、絶叫しても外に響かない。
つまり、いまなら私が先ほどと同程度の悲鳴を上げたところで、誰にも気付かれないということだ。
「脅える悠理もかわいい❤ 大丈夫よ、すぐに食べたりはしないから❤」
「い、いつかは食べるつもりなんですか?」
彼女は春名姫歌先輩。
腰まで届く艶やかな黒髪。幼さの残る顔立ちは極めて端正で、対面すると思わず見惚れてしまう。
スラリとした手足や見事な腰のくびれが、ただでさえ目立つ爆乳をさらに際立たせる。
幼さの残る甘い声質ながら、発音や息遣いは尋常じゃなく色っぽい。
「独り占めはズルいよ姫歌~! あーしだって悠理のおっぱい揉んだりしたいのに!」
中央のテーブルから離れて姫歌先輩を押しのけるように私の前に立つのは、夏見葵先輩。
緩く波打つサイドテールは明るい茶色。
スレンダーな体型で、胸は私と同じぐいらの手のひらサイズ。
第一印象はギャルだったけど、怖い先輩ではない。むしろ気さくでとても優しい。
「ゆ、悠理のパンツ、あ、温かくて……いい、香り」
秋川アリス先輩が、いつの間にか私の股下にうずくまってスカートの中に顔を突っ込んでいた。
きめ細やかなプラチナブロンドの長髪。宝石のような紺碧の瞳。
耳が蕩ける激甘ボイスに、小学生と見紛う小柄な体。童話から飛び出たかのような愛らしさだ。
コミュ障ゆえに目を合わせられないのは仕方ないとして、お股に顔を埋められるのはさすがに恥ずかしい。
「あたしたちみたいなド変態に囲まれるなんて、同情するわ。さぁ悠理、腹いせにあたしを痛め付けなさい! そして口汚なく罵ってちょうだい!」
冬木真里亜先輩。
アリス先輩の従姉妹で、髪と瞳の色は同じ。やや吊り目気味で、強気な印象を受ける。
高身長というわけではないけど、私たちの中では一番背が高い。
グラビアモデル体型とでも言うべきか、ボンキュッボンを体現した体つき。
口調や雰囲気は女王様っぽいけど、ことあるごとに被虐的なことを要求してくる。
「と、とりあえずカバンを置かせてくださいっ」
包囲網を半ば強引にくぐり抜け、テーブルに着く。
テーブルの上には、ノートパソコン、タブレット、収録機材、竹製のバスケットが置かれている。
創作部で起きる出来事は新鮮かつ刺激的で、誰もが見惚れる魅力的な美少女たちに囲まれるという夢のような環境だ。
ただ、まぁ。
部室の外では単純に『四人もの美少女をはべらす新入生』だと言われていても、実際はそう単純な話ではないわけで……。
「悠理の部屋に侵入すれば、髪の毛を拾えたりするのかしらぁ❤」
「おっぱいもいいけど、お尻も捨てがたいよね~!」
「む、蒸れた足の裏、想像しただけで、こ、興奮する」
「ゴミを見るような目で踏まれるのもいいわね。ついでに唾も吐き捨ててもらおうかしら」
うーん。
やっぱり、素直には喜べない。
「創作部でハーレム状態なんでしょ? 入学早々、羨ましいなぁ」
創作部とは、絶世の美少女が四人も在籍していることで有名な部活である。
この春から、平凡な生徒こと私――露原悠理が加わった。
ハーレム状態なのは否定できないけど……まぁ、うん。
秘められた真相を考えると、手放しには喜べない。
「ご、ごめん、遅れるとマズいから、もう行くね」
逃げるように席を立つと、友人は「はいよー」と手を振りながら見送ってくれた。
一階まで下りて昇降口を横目に廊下を進み、部室棟につながる渡り廊下を駆け抜ける。
部室棟の突き当たりに見えるのが、創作部の部室だ。
深呼吸をして、覚悟を決めてからドアノブを回す。
「うふふ、待っていたわよ❤」
扉を開けて中に入ると、黒髪の美少女が突如として目の前に現れた。
「ひゃああぁああああぁぁああぁぁあっっ!」
「しーっ❤ 周りの迷惑になるから、扉を開けたまま叫んじゃダメでしょう?」
口を手で塞がれ、コクコクとうなずきつつドアノブから手を離す。
創作部の防音性は非常に優秀だ。扉が閉まれば、絶叫しても外に響かない。
つまり、いまなら私が先ほどと同程度の悲鳴を上げたところで、誰にも気付かれないということだ。
「脅える悠理もかわいい❤ 大丈夫よ、すぐに食べたりはしないから❤」
「い、いつかは食べるつもりなんですか?」
彼女は春名姫歌先輩。
腰まで届く艶やかな黒髪。幼さの残る顔立ちは極めて端正で、対面すると思わず見惚れてしまう。
スラリとした手足や見事な腰のくびれが、ただでさえ目立つ爆乳をさらに際立たせる。
幼さの残る甘い声質ながら、発音や息遣いは尋常じゃなく色っぽい。
「独り占めはズルいよ姫歌~! あーしだって悠理のおっぱい揉んだりしたいのに!」
中央のテーブルから離れて姫歌先輩を押しのけるように私の前に立つのは、夏見葵先輩。
緩く波打つサイドテールは明るい茶色。
スレンダーな体型で、胸は私と同じぐいらの手のひらサイズ。
第一印象はギャルだったけど、怖い先輩ではない。むしろ気さくでとても優しい。
「ゆ、悠理のパンツ、あ、温かくて……いい、香り」
秋川アリス先輩が、いつの間にか私の股下にうずくまってスカートの中に顔を突っ込んでいた。
きめ細やかなプラチナブロンドの長髪。宝石のような紺碧の瞳。
耳が蕩ける激甘ボイスに、小学生と見紛う小柄な体。童話から飛び出たかのような愛らしさだ。
コミュ障ゆえに目を合わせられないのは仕方ないとして、お股に顔を埋められるのはさすがに恥ずかしい。
「あたしたちみたいなド変態に囲まれるなんて、同情するわ。さぁ悠理、腹いせにあたしを痛め付けなさい! そして口汚なく罵ってちょうだい!」
冬木真里亜先輩。
アリス先輩の従姉妹で、髪と瞳の色は同じ。やや吊り目気味で、強気な印象を受ける。
高身長というわけではないけど、私たちの中では一番背が高い。
グラビアモデル体型とでも言うべきか、ボンキュッボンを体現した体つき。
口調や雰囲気は女王様っぽいけど、ことあるごとに被虐的なことを要求してくる。
「と、とりあえずカバンを置かせてくださいっ」
包囲網を半ば強引にくぐり抜け、テーブルに着く。
テーブルの上には、ノートパソコン、タブレット、収録機材、竹製のバスケットが置かれている。
創作部で起きる出来事は新鮮かつ刺激的で、誰もが見惚れる魅力的な美少女たちに囲まれるという夢のような環境だ。
ただ、まぁ。
部室の外では単純に『四人もの美少女をはべらす新入生』だと言われていても、実際はそう単純な話ではないわけで……。
「悠理の部屋に侵入すれば、髪の毛を拾えたりするのかしらぁ❤」
「おっぱいもいいけど、お尻も捨てがたいよね~!」
「む、蒸れた足の裏、想像しただけで、こ、興奮する」
「ゴミを見るような目で踏まれるのもいいわね。ついでに唾も吐き捨ててもらおうかしら」
うーん。
やっぱり、素直には喜べない。
1
お気に入りに追加
338
あなたにおすすめの小説
【完結】愛する人が出来たと婚約破棄したくせに、やっぱり側妃になれ! と求められましたので。
Rohdea
恋愛
王太子でもあるエイダンの婚約者として長年過ごして来た公爵令嬢のフレイヤ。
未来の王となる彼に相応しくあろうと、厳しい教育にも耐え、
身分も教養も魔力も全てが未来の王妃に相応しい……
と誰もが納得するまでに成長した。
だけど───
「私が愛しているのは、君ではない! ベリンダだ!」
なんと、待っていたのは公衆の面前での婚約破棄宣言。
それなのに……
エイダン様が正妃にしたい愛する彼女は、
身分が低くて魔力も少なく色々頼りない事から反発が凄いので私に側妃になれ……ですと?
え? 私のこと舐めてるの? 馬鹿にしてます?
キレたフレイヤが選んだ道は───
※2023.5.28~番外編の更新、開始しています。
ですが(諸事情により)不定期での更新となっています。
番外編③デート編もありますので次の更新をお待ちくださいませ。
【R18】両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が性魔法の自習をする話
みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。
「両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が初めてのエッチをする話」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/575414884/episode/3378453
の続きです。
ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで
小説女優《ノベルアクトレス》~あたしは小説を演じて、小悪魔先パイに分からされちゃう???~
夕姫
青春
『この気持ちは小説《嘘》じゃないから。だから……ずっと一緒にいてほしい……』
思春期女子が共感できるところが1つはある。涙なくしては語れない至極のモヤキュン青春百合小説誕生!どうぞ御堪能ください✨
※プロローグは前置きで本編は2話から始まります。
【あらすじ】
様々なジャンルの中で唯一「恋愛物」が嫌いな主人公 新堂凛花(しんどうりんか)。
彼女は恋愛物以外ならなんでも好き。小説の中の恋愛はあり得ないと常々思っている。
名門花咲学園に入学した凛花は、必ず部活に入らなくては行けない決まりを知り、見たことも聞いたこともないような部活の「小説同好会」に興味を持つ。
そしてその小説同好会に行くと黒髪で美人な見た目の二年生の先パイ 小鳥遊結愛(たかなしゆあ)がいた。
彼女は凛花を快く迎えいれてくれたが、凛花が恋愛物の小説が嫌いと知ると態度が一変。
そう、ここは小説同好会ではなく小説演劇同好会だったのだ。恋愛経験も乏しく男性経験もない、恋愛物を嫌っている主人公の凛花は【小説女優】として小鳥遊結愛先パイに恋愛物の素晴らしさを身を持って分からされていくことになるのだが……。
この物語は女子高生の日常を描いた、恋に勉強に色んな悩みに葛藤しながら、時に真面目に、切なくて、そして小説を演じながら自分の気持ちに気づき恋を知り成長していく。少しエッチな青春ストーリー。
ゆとりある生活を異世界で
コロ
ファンタジー
とある世界の皇国
公爵家の長男坊は
少しばかりの異能を持っていて、それを不思議に思いながらも健やかに成長していた…
それなりに頑張って生きていた俺は48歳
なかなか楽しい人生だと満喫していたら
交通事故でアッサリ逝ってもた…orz
そんな俺を何気に興味を持って見ていた神様の一柱が
『楽しませてくれた礼をあげるよ』
とボーナスとして異世界でもう一つの人生を歩ませてくれる事に…
それもチートまでくれて♪
ありがたやありがたや
チート?強力なのがあります→使うとは言ってない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
身体の状態(主に目)と相談しながら書くので遅筆になると思います
宜しくお付き合い下さい
【完結】引きこもり伯爵令息を幸せにしたい
青井 海
恋愛
リナは突然知らない部屋にいた。そこには引きこもりの男性ケント様が居て……
困ったリナは居候させてもらう代わりに働きます!
一緒にいるうちに、ケント様を幸せにしたいと考えるように。
リナは引きこもりのケント様を幸せにできるでしょうか……
***
第34話から第2章になります。
少し時間がかかりますが、今後続きを掲載していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
短編→長編に変更しました。
第70話で完結しました。
読んでくだり、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる