上 下
204 / 217

204話 オフコラボで跳んだり落ちたり①

しおりを挟む
 今日はミミちゃんとのオフコラボ。
 あたしの部屋に集まり、ジャンプで頂上を目指すゲームをプレイする予定だ。
 ノートパソコンやマイク等の配信機材をローテーブルに置き、二人分のクッションを床に敷く。
 さらに、楽しく配信するために必要なプラスアルファの準備も整っている。

「飲み物はお茶とジュース、お菓子は個包装の物をたくさん用意して、ティッシュとウェットティッシュもすぐ取れる場所に置いたし……うん、完璧っ」

「あとは時間が来るのを待つだけですね」

「めちゃくちゃ時間が余ってるわけでもないし、軽く触り合いっこでもする?」

「うーん…………………………いまは我慢します。夢中になって配信に遅刻しちゃったら、リスナーさんに申し訳ないですから」

 深く考えずに提案した結果、思いのほか悩ませてしまった。
 天井を見上げたり首を傾げたりしながら長考するミミちゃんの表情もまた愛らしい。

「分かった。じゃあ、配信が終わったらたくさんイチャイチャしようねっ」

「はいっ」

 今度は即答だった。態度も表情も声色もなにもかもがかわいい。
 あまりにかわいくて思わず飛び付きそうになったけど、ミミちゃんの我慢を無駄にしないために、頭の中で素数を数えて冷静さを保つ。
 そうこうしているうちに数分が経過し、予定の時間になると同時に配信を開始する。

「こんユニ~! 今日はミミちゃんとオフコラボ! 頂上目指して飛び跳ねるよ~!」

「ユニコちゃんと一緒に頑張るので、応援よろしくお願いしますっ」

「一人プレイ用のゲームだから、一回失敗したら交代って形で進めていくね。まずはミミちゃん、よろしくっ」

 リスナーさんへの説明を交えつつ、ワイヤレスマウスをミミちゃんに託す。

「わたしからでいいんですか?」

「もちろんっ。なんならクリアしちゃってもいいよ!」

「クリアできたら褒めてくださいね」

「任せてっ」

 イチャイチャするのを後回しにした反動か、普段と比べてミミちゃんが積極的になっている。
『かわいい』というコメントが大量に流れ、『クリアできなくても褒めてあげて』といった旨のコメントも数多く目に入った。

「んっ、よいしょ……ひゃわっ!」

 真剣な眼差しを画面に向けてプレイするミミちゃん。
 慎重に動きつつ、思い切りが必要な際には躊躇せず進む。
 危なげな場面で悲鳴が漏れると、あたしとリスナーさんたちは『悲鳴助かる』と感謝を示す。
 一緒に配信している最中にもかかわらず、いまの気分は配信する側ではなく視聴する側に近くなっている。
 コメントを拾いながら、リスナーさんたちと一緒にミミちゃんのプレイを楽しませてもらうとしよう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

身体だけの関係です‐原田巴について‐

みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子) 彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。 ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。 その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。 毎日19時ごろ更新予定 「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。 良ければそちらもお読みください。 身体だけの関係です‐三崎早月について‐ https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

AV研は今日もハレンチ

楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo? AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて―― 薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...