203 / 217
203話 大根おろしっていいよね
しおりを挟む
なぜか分からないけど、今日は朝からずっと大根おろしを欲している。
朝ごはんにトーストを食べている時も、お昼に視聴者参加型のレースゲーム配信をしている時も、夕暮れ前にミミちゃんと近所のスーパーへ買い物に出かける時も、大根おろしの存在が意識から完全に消えることはなかった。
その旨をミミちゃんに話すと、彼女もまたあたしと同じく大根おろしの気分に。
というわけで、今日の晩ごはんは大根おろしを心行くまで食べることにした。
葉っぱはしっかり洗ってから適度な大きさに切って、お味噌汁の具にする。
少し分厚めに剥いた皮は棒状に切り分け、ポン酢と共にジップロックに入れて軽く揉んでから冷蔵庫へ。
おろし金と大きめのボウルを用意したら、いよいよ大根おろしの作成に取りかかる。
「よ~しっ、気合入れてすりおろすよ!」
「ケガしないように気を付けてくださいね」
「了解!」
ちなみに、ミミちゃんはだし巻き卵を作ってくれている。
グリルの中では秋刀魚が焼かれ、お総菜コーナーで買った唐揚げはレンジの近くで待機中。
だし巻き卵、秋刀魚の塩焼き、鶏のから揚げ。どれも大根おろしとの相性は抜群だ。
「丸ごと一本分の大根おろしなんて、何気に初めてだよね」
「確かにそうですね。たまに丸ごと使うことはあっても、サラダとか煮物とか、何種類かのメニューに分けて使いますから」
言うまでもなく、大根は本当に優秀な野菜だ。
安くて体によくて、いろんな用途に使えて、そしておいしい。
ミミちゃんと大根おろしについて話しながら、あたしはひたすらに大根おろしを生成し続けていく。
***
「つ、疲れた~……」
いまバッティングセンターに行ったら、多分スイングの途中でバットがすっぽ抜ける。
それほどまでに、一本分の大根おろしを作るのは相当な握力を要する作業だった。
普段から力仕事をしている人や握力が強い人は、同じことをしても平然としていられるのだろうか。
「あとはわたしに任せて、ユニコちゃんはソファで休んでください」
「ありがと~。申し訳ないけど、そうさせてもらうね」
お言葉に甘えてソファでのんびりしつつ、食卓の準備が整っていく様子を眺める。
少し休憩すると手の疲労感もだいぶ軽くなったので、あたしもミミちゃん共に支度を進めていく。
テーブルの中央に鎮座するのは、大量の大根おろしが入ったボウル。取り分けるために使うスプーンも忘れていない。
炊き立てのごはんと熱々のお味噌汁、ミミちゃん謹製のだし巻き卵、秋刀魚の塩焼き、大根の皮の浅漬け、そしてレタスとトマトのサラダ。
お総菜の唐揚げをレンジから取り出してテーブルに運べば、準備完了。後はもう食べるだけだ。
「「いただきますっ」」
逸る気持ちを抑えて、まずはお味噌汁を飲んで胃を温める。
続いて、だし巻き卵を一口サイズにカットして、そこへ大根おろしをトッピング。
「あむっ……ん~っ、おいひい!」
だし巻き卵は味も火加減も絶妙で、ただでさえ凄まじい満足度のおいしさが大根おろしによってさらに底上げされている。
慌てずによく噛み、しっかりと味わってから飲み込む。
余韻に浸りつつ、次は脂ののった秋刀魚をいただく。
お箸を押し当ててパリッと焼けた皮を割けば、見るからにおいしそうなホクホクの身が姿を現す。
大根おろしとの相性は言わずもがな。
材料費で言うと決して高くはないけど、とんでもない贅沢をしている気分になるほどおいしい。
「ミミちゃんっ。はい、あ~ん」
こういう恋人っぽいことも楽しみつつ、あたしたちは望み通り心行くまで大根おろしを堪能した。
食べる前には『残ったらラップして明日食べよう』なんてことを話してたけど、結局余裕で食べきることができた。
朝ごはんにトーストを食べている時も、お昼に視聴者参加型のレースゲーム配信をしている時も、夕暮れ前にミミちゃんと近所のスーパーへ買い物に出かける時も、大根おろしの存在が意識から完全に消えることはなかった。
その旨をミミちゃんに話すと、彼女もまたあたしと同じく大根おろしの気分に。
というわけで、今日の晩ごはんは大根おろしを心行くまで食べることにした。
葉っぱはしっかり洗ってから適度な大きさに切って、お味噌汁の具にする。
少し分厚めに剥いた皮は棒状に切り分け、ポン酢と共にジップロックに入れて軽く揉んでから冷蔵庫へ。
おろし金と大きめのボウルを用意したら、いよいよ大根おろしの作成に取りかかる。
「よ~しっ、気合入れてすりおろすよ!」
「ケガしないように気を付けてくださいね」
「了解!」
ちなみに、ミミちゃんはだし巻き卵を作ってくれている。
グリルの中では秋刀魚が焼かれ、お総菜コーナーで買った唐揚げはレンジの近くで待機中。
だし巻き卵、秋刀魚の塩焼き、鶏のから揚げ。どれも大根おろしとの相性は抜群だ。
「丸ごと一本分の大根おろしなんて、何気に初めてだよね」
「確かにそうですね。たまに丸ごと使うことはあっても、サラダとか煮物とか、何種類かのメニューに分けて使いますから」
言うまでもなく、大根は本当に優秀な野菜だ。
安くて体によくて、いろんな用途に使えて、そしておいしい。
ミミちゃんと大根おろしについて話しながら、あたしはひたすらに大根おろしを生成し続けていく。
***
「つ、疲れた~……」
いまバッティングセンターに行ったら、多分スイングの途中でバットがすっぽ抜ける。
それほどまでに、一本分の大根おろしを作るのは相当な握力を要する作業だった。
普段から力仕事をしている人や握力が強い人は、同じことをしても平然としていられるのだろうか。
「あとはわたしに任せて、ユニコちゃんはソファで休んでください」
「ありがと~。申し訳ないけど、そうさせてもらうね」
お言葉に甘えてソファでのんびりしつつ、食卓の準備が整っていく様子を眺める。
少し休憩すると手の疲労感もだいぶ軽くなったので、あたしもミミちゃん共に支度を進めていく。
テーブルの中央に鎮座するのは、大量の大根おろしが入ったボウル。取り分けるために使うスプーンも忘れていない。
炊き立てのごはんと熱々のお味噌汁、ミミちゃん謹製のだし巻き卵、秋刀魚の塩焼き、大根の皮の浅漬け、そしてレタスとトマトのサラダ。
お総菜の唐揚げをレンジから取り出してテーブルに運べば、準備完了。後はもう食べるだけだ。
「「いただきますっ」」
逸る気持ちを抑えて、まずはお味噌汁を飲んで胃を温める。
続いて、だし巻き卵を一口サイズにカットして、そこへ大根おろしをトッピング。
「あむっ……ん~っ、おいひい!」
だし巻き卵は味も火加減も絶妙で、ただでさえ凄まじい満足度のおいしさが大根おろしによってさらに底上げされている。
慌てずによく噛み、しっかりと味わってから飲み込む。
余韻に浸りつつ、次は脂ののった秋刀魚をいただく。
お箸を押し当ててパリッと焼けた皮を割けば、見るからにおいしそうなホクホクの身が姿を現す。
大根おろしとの相性は言わずもがな。
材料費で言うと決して高くはないけど、とんでもない贅沢をしている気分になるほどおいしい。
「ミミちゃんっ。はい、あ~ん」
こういう恋人っぽいことも楽しみつつ、あたしたちは望み通り心行くまで大根おろしを堪能した。
食べる前には『残ったらラップして明日食べよう』なんてことを話してたけど、結局余裕で食べきることができた。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
AV研は今日もハレンチ
楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo?
AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて――
薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる