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186話 かき氷を食べよう!②

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「というわけで、待ちに待ったかき氷の時間だよ~!」

 シャワーを浴びて体も気分もリフレッシュしたあたしとミミちゃんは、かき氷を作るべくキッチンへと移動した。

「さっそく作りましょうか」

 ミミちゃんは待ち切れない様子で、いつの間にかかき氷機の箱を抱きしめている。

「うんっ」

 箱から本体を取り出し、電源プラグをコンセントに差す。
 器をセットして氷を入れ、スイッチを押せば後は待つだけ。

「これ、すごく静かですよね」

「だよね~、夜中にベランダの窓を全開にして使っても近所迷惑にならないよ」

 夜中にベランダでかき氷機を使う機会があるかはともかく、技術の進歩をひしひしと感じる。
 幼い頃に実家で使っていたのは音が大きかったなぁ……と、過去に思いを馳せている間に二人分のかき氷が完成した。

「とりあえず、最初は普通にシロップかけて食べない?」

「わたしも同じこと言おうと思ってました」

 猛暑の中を歩いて買い物に出かけ、シャワーを浴びて最低限の水分補給をして、頭の中はかき氷でいっぱいだ。
 トッピングを楽しむのも目的の一つではあるけど、あたしとミミちゃんはもう我慢の限界を迎えようとしている。
 使いかけのシロップを取り出し、見栄えなど気にせず好きなようにかけ回す。
 二人ともかけ終えたら、スプーンを手に取って――

「「いただきますっ」」

 声を合わせてそう言った直後、あたしたちは迷わずスプーンをかき氷に突き刺し、やや大きめの一口分をすくって口元へと運ぶ。
 見た目の感想を思い浮かべる間もなくパクッと頬張れば、口いっぱいに氷の冷たさとシロップの甘さが広がる。
 お店で食べるふわふわのかき氷もいいけど、やや粗めに削られたこのシャリシャリとした食感も心地いい。
一口目の感動に酔いしれながらも、体は勝手に次の一口を求めて手を動かす。
 一口、また一口と、休む間もなく口内に冷たさと甘さがやってくる。

「――んっ!」

 そして、例のアレが前触れなく襲いかかった。
 勢いよくかき氷を食べたせいで頭がキーンとなり、思わず手を止めて頭を押さえる。
 大人になってから知ったことだけど、この現象は『アイスクリーム頭痛』が正式名称であり、ゆっくりと食べることが簡単にできる予防法らしい。
 こうなることは予想できていたのに、自分で自分を抑えることができなかった。

「んぅっ」

 ミミちゃんに視線を向けると、彼女もまたあたしと同様の現象に見舞われている様子だ。

「ゆっくり食べなきゃって思ってても、ついつい急いで食べちゃうんですよね」

「分かる! でも、これはこれでかき氷の醍醐味って感じしない? キーンってなるのはつらいけど」

「そうですね、かき氷を食べてるんだって実感できる気がします」

「あっという間に一杯食べちゃったね。おかわり作ろ~っと」

「次はゆっくり食べましょうね」

 こうして、あたしとミミちゃんは楽しくおしゃべりしながら二杯目も同じように平らげた。
 ゆっくりと食べることによって頭痛を回避したものの、今度は重大なことを思い出して頭を抱えることになる。
 わざわざ買い物に出かけたというのに、トッピングの件を完全に失念していた。

「あったかいお茶を飲んで少し休憩してから、満を持しての本番ってことにしよう!」

「そうですね、そうしましょうっ」

 二杯食べたとはいえ一杯あたりの量はさほど多くなく、幸いあたしもミミちゃんもまだ余裕がある。
 熱いほうじ茶でお腹を温めてから、本日のメインディッシュに臨むとしよう。
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