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157話 冗談かと思った驚愕の新設備⑤
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「プールだ~!」
会社の廊下を歩いていて、扉を開けたらプールがある。
そんな体験をしたら、誰もが声を大にして叫ぶはずだ。
少なくともあたしは無意識のうちにその場で飛び跳ねながら大声を出していた。
ここにプールが存在していることは事前に分かっていたにもかかわらず、水着を着てこの光景を目の当たりにすると感動と興奮が熱を増して再び燃え上がる。
ミミちゃんとシャテーニュ先輩は大声こそ上げなかったものの、ワクワクしているのが表情や雰囲気から一目瞭然だった。
「さっそく入りましょうか」
「学生時代を思い出すなー」
見て分かるだけでなく、発言の内容からも隠し切れない高揚感が滲み出ている。
「ちょ、ちょっと待って二人とも! 入る前に準備運動しなきゃダメだよ! あと荷物も置かないと!」
まさか、あたしがこういう注意をする側になるとは。
二人とも落ち着いているように見えて、心の中ではあたし以上にはしゃいでいるのかもしれない。
荷物置き場として用意されているステンレス製の棚にスマホとレンタルのタオルを置き、逸る気持ちを抑えつつ念入りに準備運動を行う。
「それじゃあ、みんなで一斉に飛び込もう!」
一転して突飛な発言が飛び出たものの、この場においては決してルール違反な行為ではない。
「と、飛び込むんですか!?」
「確かに、ここなら飛び込んでも怒られないね」
あたしの呼びかけにミミちゃんが驚き、シャテーニュ先輩がなるほどとうなずく。
余談だけど、プール内には特殊なセンサーがあって、溺れたりするとすぐに警告音が鳴ったり係の人が来てくれたりするらしい。
仕組みについても説明を受けたんだけど、あたしの理解力では重要な部分を把握するので精一杯だった。
「あっ、やっぱり水温に体を慣らしてからの方がいいかも!」
冷静にして的確な判断だと自分自身を褒めてあげたい。
ということで、あたしたちは学生時代を思い出しつつ爪先からゆっくりとプールに入り、そして再びプールサイドに上がった。
「これで飛び込んでも大丈夫ですねっ」
ミミちゃんが拳をギュッと握って目をキラキラさせている。
普段はあたしより大人っぽいのに、こういうたまに見せる幼さがまたかわいいんだよね。
とは言っても、ミミちゃんはいついかなる時でも、なにをしていても、常に世界で一番かわいいんだけど。
「せーので飛び込もうか。ユニコちゃん、合図よろしくー」
「任せて! ――せーのっ」
左右に立つ二人の準備が万端であることを確認し、あたしは飛び込みの合図を口にした。
横並びの三人が、一斉にプールへ向かってジャンプする。
ほんの数秒にも満たない着水までのわずかな時間に一抹の緊張感を覚え、体が水に触れたと思った次の瞬間には頭のてっぺんまで水と爽快感に包まれた。
あたしの身長でもまっすぐ立てば顔は水の上に出るけど、今回は立ち上がらず仰向けになって体を水に預ける。
ジッとしていると体が自然に浮かび、高い天井を正面に見据えてゆっくりと息を吸う。
初めて浮く練習をした時は、怖くて手足をバタバタさせたせいで水を飲む羽目になったなぁ。
なんて、幼い頃の出来事を思い出しながら、大人になったあたしはスク水を着て水にぷかぷかと浮いている。
会社の廊下を歩いていて、扉を開けたらプールがある。
そんな体験をしたら、誰もが声を大にして叫ぶはずだ。
少なくともあたしは無意識のうちにその場で飛び跳ねながら大声を出していた。
ここにプールが存在していることは事前に分かっていたにもかかわらず、水着を着てこの光景を目の当たりにすると感動と興奮が熱を増して再び燃え上がる。
ミミちゃんとシャテーニュ先輩は大声こそ上げなかったものの、ワクワクしているのが表情や雰囲気から一目瞭然だった。
「さっそく入りましょうか」
「学生時代を思い出すなー」
見て分かるだけでなく、発言の内容からも隠し切れない高揚感が滲み出ている。
「ちょ、ちょっと待って二人とも! 入る前に準備運動しなきゃダメだよ! あと荷物も置かないと!」
まさか、あたしがこういう注意をする側になるとは。
二人とも落ち着いているように見えて、心の中ではあたし以上にはしゃいでいるのかもしれない。
荷物置き場として用意されているステンレス製の棚にスマホとレンタルのタオルを置き、逸る気持ちを抑えつつ念入りに準備運動を行う。
「それじゃあ、みんなで一斉に飛び込もう!」
一転して突飛な発言が飛び出たものの、この場においては決してルール違反な行為ではない。
「と、飛び込むんですか!?」
「確かに、ここなら飛び込んでも怒られないね」
あたしの呼びかけにミミちゃんが驚き、シャテーニュ先輩がなるほどとうなずく。
余談だけど、プール内には特殊なセンサーがあって、溺れたりするとすぐに警告音が鳴ったり係の人が来てくれたりするらしい。
仕組みについても説明を受けたんだけど、あたしの理解力では重要な部分を把握するので精一杯だった。
「あっ、やっぱり水温に体を慣らしてからの方がいいかも!」
冷静にして的確な判断だと自分自身を褒めてあげたい。
ということで、あたしたちは学生時代を思い出しつつ爪先からゆっくりとプールに入り、そして再びプールサイドに上がった。
「これで飛び込んでも大丈夫ですねっ」
ミミちゃんが拳をギュッと握って目をキラキラさせている。
普段はあたしより大人っぽいのに、こういうたまに見せる幼さがまたかわいいんだよね。
とは言っても、ミミちゃんはいついかなる時でも、なにをしていても、常に世界で一番かわいいんだけど。
「せーので飛び込もうか。ユニコちゃん、合図よろしくー」
「任せて! ――せーのっ」
左右に立つ二人の準備が万端であることを確認し、あたしは飛び込みの合図を口にした。
横並びの三人が、一斉にプールへ向かってジャンプする。
ほんの数秒にも満たない着水までのわずかな時間に一抹の緊張感を覚え、体が水に触れたと思った次の瞬間には頭のてっぺんまで水と爽快感に包まれた。
あたしの身長でもまっすぐ立てば顔は水の上に出るけど、今回は立ち上がらず仰向けになって体を水に預ける。
ジッとしていると体が自然に浮かび、高い天井を正面に見据えてゆっくりと息を吸う。
初めて浮く練習をした時は、怖くて手足をバタバタさせたせいで水を飲む羽目になったなぁ。
なんて、幼い頃の出来事を思い出しながら、大人になったあたしはスク水を着て水にぷかぷかと浮いている。
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