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131話 アイスの一石二鳥な食べ方②

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「アイスには本当に申し訳ないけど、あんまり印象に残ってない気がする」

 というのも、ミネラルウォーターを口移しでお互いに飲ませたのが原因だ。
 筆舌に尽くしがたいレベルの高揚感と幸福感を得られる行為ゆえに、手段の目的化が起こってしまった。

「わたしはしっかり覚えてますよ。口移しで飲ませてもらっている時、ユニコちゃんが食べていたアイスの味がかすかに伝わってきましたから」

 ミミちゃんは嬉しそうに言いながら、あたしの腕にそっと抱き着く。
 さりげなく甘えてくるミミちゃんのかわいさに胸が高鳴り、たまらず横顔にチュッとキスをする。

「そう言われてみると、あたしもミミちゃんが食べてたアイスの味はけっこうしっかり覚えてるかも」

「あっ、いいことを思い付きましたっ。今度はアイスを口移しで食べさせ合うのはどうですか?」

「名案だね~、やろうやろう! なんなら今日中にでも!」

 素敵な提案に感激し、思わず声が大きくなってしまう。
 いや、声が大きいのはいつも通りかもしれないけども。
 とにかく、ミミちゃんの提案が素晴らしいことには変わりない。

「さっきみたいに、気付いたら全部食べ終わってるかもしれませんね」

 ミミちゃんが言っているのは先ほど食べたアイスのことではなく、口移しで飲ませ合った水のことだろう。
 冷たいアイスを食べたことによるキーンとした感覚はとっくに消え失せ、気付いた時にはペットボトルが空になっていた。

「確かに……あっ」

「どうしたんですか?」

「口移しには一歩及ばないかもしれないけど、あたしも一つ思い付いた!」

「聞かせてください」

「相手の体を器にして、アイスを食べるの。どう? よくない?」

「っ!?」

 微塵も予想していない内容だったらしく、驚いた拍子に腕の力が強まり、あたしの腕がキュッと締め付けられる。
 強く押し付けられたおっぱいの柔らかさが実に心地よく、動揺するミミちゃんとは反対にあたしの表情はだらしなく緩む。

「あたしのサイズだとおっぱいに置いたり谷間に収めたりはできないけど、寝転べばちゃんと置けるよ~」

 自分で言った姿を思い浮かべたらまな板を連想してしまったけど、そんなイメージはいますぐ忘れてしまおう。

「でも、さすがに不衛生じゃないですか? それに冷たいですし」

「む~、それもそうかも」

 勢い任せの考えだったと認めざるを得ない。
 とはいえ、ミミちゃんの体に汚い場所なんてないから、衛生面については大した問題だと思っていない。

「やっぱり口移しこそ至高だね。そうと決まれば、コンビニにアイス買いに行こう!」

「あんまり時間を空けずに食べるとお腹壊しちゃいますよ」

「じゃあ、夕食後のデザートにしよう!」

「はいっ、そうしましょう」

 数時間後、あたしとミミちゃんは無事に有言実行を果たし、ついでに冷凍庫にはアイスのストックが一気に増えることとなった。
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