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127話 特訓しつつ凸待ちする配信③

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 あたしが放ったアイテムの直撃を受け、エリナ先輩の姿があっという間に後方へ消えていく。

「なっ!? このっ、やってくれたわね!」

「ち、違うよ、いまのは体が勝手に!」

「『よいしょ』って聞こえたわよ!」

「またまた~、そんなわけないじゃん」

「後でアーカイブ確認させてもらうわね」

「その前に編集すれば証拠は――しまった!」

「ふっ、墓穴を掘ったわね。編集せずに済んでよかったじゃない」

「確かに、編集しちゃうとコメントも見れなくなっちゃうからね~。アーカイブ見る時って、コメントがないとなんか寂しいよね」

 とかなんとか言いながら、編集したり非公開になってるアーカイブが最も多いのは間違いなくあたしだ。
 主に――というか十割、エッチな言動が原因である。
 コメントが見れなくなって寂しいのは紛れもない事実なので、楽しみつつも気を引き締めて配信しなければ。

「あっ、先頭だ! よしっ、このままゴールしちゃうよ~!」

 エリナ先輩に攻撃をぶつけた罪悪感から解放される頃にはファイナルラップに突入し、手に汗握りながらゴールを目指す。
 そして、ゴール前にある最後のコーナーに差し掛かろうとした時――

「ユニコ、先に謝っておくわ。食らいなさい!」

 エリナ先輩が、謝ると言いながら攻撃の意思満々なセリフを叫ぶ。
 その直後、一位の人間を狩るためだけに存在するアイテムが背後から凄まじい勢いで接近し、コーナーに突入したばかりのあたしに直撃した。

「エリナせんぱぁあぁあああぁぁあいっ!?」

「これが先輩の力よ」

 鼻で笑いながらあたしの横を通り過ぎていくエリナ先輩。

「次はチーム戦やろうよ!」

「いいわよ。ユニコ対その他全員ね」

「それもうチーム戦じゃないよね」

 冗談(?)を受け流しつつ、あたしチームとエリナ先輩チームに分かれてレースを開始する。
 チーム戦は味方に攻撃アイテムが当たらない。
 敵であるあたしとエリナ先輩だけが通話で意思疎通できる状態ということもあり、普通にチーム戦をするのとはまた違った様相を呈している。
 十レース以上走り、ミニゲームでの対戦なんかも楽しんだりして、エリナ先輩が合流してからあっという間に一時間が過ぎた。

「キリもいいし、アタシはこの辺で帰らせてもらうわ」

「え~っ、あと百レースぐらいやろうよ!」

「そんなにしたら指先がすり減るわよ……。そろそろご飯も食べたいし、また今度ね」

「うん、分かった。エリナ先輩、今日は来てくれてありがと~!」

「こっちこそありがとう、楽しかったわ。アタシ以外にも誰か来てくれるといいわね」

 エリナ先輩はそう言い残し、通話を切ってゲームからも退室した。
 後で改めてお礼を言っておこう。

「特訓はまだまだ続くよ! みんな、どんどんかかって来~い!」

 夜はまだ長い。
 この特訓兼凸待ち配信は、もうしばらく終わらない。
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