ギリギリセーフ(?)な配信活動~アーカイブが残らなかったらごめんなさい~

ありきた

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102話 みんないつもありがとう!③

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 十八番である童謡で歌パートを締めくくり、小休憩を挟んでゲームパートに突入する。
 同時にプレイ可能な人数が多いという理由で、今回はリスナーさん参加型の定番と言っても過言ではないレースゲームを選んだ。

「忖度しなくてもいいけど、集中狙いもやめてね! ゴール前で甲羅ラッシュとかされたら、割と本気で泣いちゃうかもしれないよ!」

 パスワードを貼って間もなく定員が埋まり、レースの開始前にみんなへのお願いを早口で告げる。

『はーい』
『わざとじゃない場合は許してね』
『しないしない』
『泣いてるユニコちゃん見たいとか思ってごめんなさい』
『勝負の世界は甘くないよ』

「――ぎゃ~っ、スタートダッシュ失敗した! ちょっ、ちょっと待ってみんな! 置いてかないで!」

『いきなり自滅してて草』
『妨害を受けるまでもなかったな』
『まだまだ挽回できるよ』
『あーあ』
『頑張れー』

 レース中だからコメント欄の様子はしっかり見れないけど、初手からの失態に呆れられているに違いない。
 できれば慰めや励ましの言葉の方が多いと信じたいところだ。後でアーカイブを見て確認しよう。

「よしっ、無敵無敵~! あはははっ、近付く人はみんな弾き飛ばしちゃうよ~!」

 一定時間無敵になれるアイテムをゲットして、強気にコースを突き進む。
 威勢よくアクセルを踏み続け、一時はトップ争いにも参加したものの、順位は下から数えた方が早いという結果になった。

「次っ、次こそ勝つもん!」

 新たに部屋を作り直し、二戦目の参加用パスワードを表示する。
 メンバーが出揃い、各々の選んだコースから抽選が行われ、得意とまでは言えないまでも比較的走り慣れているコースに決まった。

「うんうん、今回はいい感じ~っ」

 スタートダッシュに成功し、位置取りも悪くない。
 アイテムも難なくゲットして、なかなか順調な滑り出しだ。
 と、安心していたのも束の間。

「えっ? えっ? みんなそこのショトカできるの!? ずるいずるい! あたしもやりたい!」

 近い順位で走っていた人たちが、アイテムを使わずにショートカットを行う高等テクニックを華麗に披露する。

「いつの間にか最下位になってるし! ね、ねぇ、仲よく一緒に走ろうよ~っ」

 忖度しなくていいと言ったのは他ならぬあたし自身とはいえ、できれば一分ぐらいその場で停止してほしい。
 なんてことを考えている間に、上位陣はさらに距離を突き放していく。
 途中でアイテムの力によって集団に追いつくことはできたものの、最下位でレースを終えることになった。

『上手くなってるよ』
『対ありでした』
『前より上手』
『まだまだ伸びしろがある』
『めげずに頑張ろう』

「うぅ、みんなありがと」

 レースが終わってコメント欄を眺め、優しい言葉に敗北の痛みを癒やしてもらう。
 次こそ勝つという思いを改めて胸に宿し、三戦目のパスワードを貼る。

***

 何戦ぐらいやったのか正確には数えてないけど、予定していた終了時間からは三十分ほどオーバーした。

「あっという間の三時間半だったねっ。最後はゲーム対決で見事に優勝できたし、今夜はぐっすり眠れそうだよ~!」

 勝ち逃げについてのコメントには目を瞑りつつ、締めのあいさつに入る。

『楽しかった』
『本当にあっという間だった』
『三時間半お疲れ~』
『ゆっくり寝てください』

「えっと……恥ずかしいから早口で言うけど、みんないつも本当にありがとう! みんなの応援に勇気とか元気とかもらってるし、すっごく励みになってるよ! これからもよろしくね! というわけで、おつユニ~! 次回の配信を楽しみに待っててね!」

 みんなへの感謝を告げ、配信を終了する。
 後でアーカイブを見直し、全部のコメントを読ませてもらおう。
 ついでに、ゲーム中のちょっとしたミスとかも確認しようかな。
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