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87話 5日目、ネココちゃんとコラボ!
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いよいよ来てしまった、コラボウィーク最終日。
毎日誰かとコラボするという試みは想像以上に楽しく、それゆえに終わりが見えると寂しさを覚えずにはいられない。
けど、いまは最終日だとか気にせず、ネココちゃんとのコラボを最大限に楽しもう。
「コラボウィーク最終日の相手はネココちゃん! 巷で『ガールズパーティの二大ロリ』と呼ばれてるらしいペアでお届けするよ~!」
「よろしくにゃんっ」
「というわけで、さっそく今回の趣旨を発表しよう! ネココちゃんのデビュー配信でも軽く触れられていた、ロリ声ASMRコラ――」
「待つにゃ!」
「ど、どうしたのネココちゃん!?」
「ユニコ先輩、そのコラボは別に後日でもいいにゃ。今日はコラボウィークの締めくくり、パーッと賑やかにやるにゃん!」
「なっ、なるほど! つまり、今日はASMRではなく……っ!」
「そうにゃ!」
「視聴者参加型の!」
「レースゲーム大会にゃ!」
今回の配信内容を説明するために先ほど二人で考えた茶番は、以上をもってつつがなく終了した。
場を盛り上げるのに適したSEをいくつか鳴らして、ゲームを起動する。
「絶対遵守とまでは言わないけど、一度マッチングした人はできれば三レースぐらい間を開けてから参加してね。ネココちゃんにも了承してもらって長時間やる予定だから、焦らなくても大丈夫だよ~」
「ネココとユニコ先輩がいくらでも相手するから、ボッコボコにされたい人はどんどんかかってくるにゃ!」
『ボッコボコにされたい!』
『ダウンロード版ならいまから買っても間に合うかな』
『リスナーのマナーが試されるね』
『長時間助かる』
『むしろボッコボコにするつもりで挑ませてもらいます』
「それじゃ、一戦目のパスワードを発表するよ!」
いまかいまかと待ち侘びるコメント欄のみんなに応えるべく、あたしは配信画面上では隠れているパスワードを読み上げる。
すると、ほんの数秒で参加者の上限に達した。
自分たちと一緒にゲームしたいと思ってくれる人がたくさんいることの喜びを噛み締めながら、長時間枠として始めて正解だったと確信する。
それでも全員とレースすることは難しいかもしれないけど、できるだけ多くのリスナーさんと一緒にコースを走りたい。
「ユニコ先輩、ネココのアシストは任せたにゃん」
「うんっ、任せ――じゃないよ! 言っとくけど、一位になるのはあたしだからね!」
なんてやり取りを交わしている間にコースが決定し、レース開始のカウントダウンが始まる。
スタートダッシュは難なく成功。最初に出現するアイテムボックスもきっちり獲得し、順調な滑り出しと言えよう。
「この機会にネココがユニコ先輩より強いってことを証明しておくにゃ!」
わざわざ前置き口上を述べた後、ネココちゃんは僅差で前を走っていたあたしに妨害アイテムをぶつけた。
「ちょっとぐらい先輩に忖度してよ!」
「ネココの辞書にそんな言葉はないにゃん♪ って、ちょっ、やめっ、にゃあぁあぁああっ!?」
因果応報と言うべきか、勝ち誇っていたネココちゃんはリスナーさんに攻撃され、あたしと近いところにまで順位を落とす。
「その辞書に因果応報って言葉は載ってるのかな?」
「ユニコ先輩のくせに、なかなか難しい言葉を知ってるにゃ。花丸のスタンプを押してあげたいにゃん」
「あたしってネココちゃんの中で何歳設定なの!?」
煽ったつもりが逆に動揺させられる羽目になってしまった。
認めたくはないけど、いまのはネココちゃんが一枚上手だったらしい。
それはさておき、リスナーさんが強すぎる。
あたしもネココちゃんも決して下手ではないはずなのに、差を縮めるのがやっとだ。
「焼き鳥! 枝豆! 大ジョッキ!」
「ネココちゃん!?」
甘く幼い声で居酒屋を彷彿とさせる単語を発しながら、妨害アイテムによってリスナーさんたちを襲うネココちゃん。
猫耳カチューシャが似合うピンク髪ツインテのロリ巨乳美少女という外見からは想像できないワードチョイスに、リスナーさんたちも驚いているに違いない。
「ハッ、感情が昂って欲望が漏れ出ちゃったにゃ。いまのは忘れてほしいにゃん♪」
確かに、意図せず口から言葉が漏れることは往々にしてある。
気持ちは分かるけど、ネココちゃんがいくらかわいくお願いしたところで、先ほどの発言はほぼ確実に切り抜かれるだろう。
「全レースで一位を取るつもりだったけど、さすがにそう上手くはいかないね」
「いまのはウォーミングアップにゃ。次からネココの独壇場にゃっ」
奮闘したものの、初戦は下から二番目という結果だった。
ネココちゃんも似たような順位だけど、ちゃっかりあたしより上位に食い込んでいるのが地味に悔しい。
「さぁ、次のレースに行くよ~!」
コメント欄のみんなと軽く感想を語り合った後、すぐさま二戦目のパスワードを発表する。
そして、長時間の予定という言葉に嘘偽りなく、あたしとネココちゃんによる視聴者参加型のレースゲーム大会は夜遅くまで続き、コラボウィークは大盛況のうちに幕を閉じた。
幸いなことに好評を博す企画となり、連日のコラボをきっかけにチャンネル登録したという声も多い。
コラボウィークは終わったけど、夏休みシーズンはまだ始まったばかり。
スケジュールが合うなら同じような企画をまたやりたいし、運営さんに協力してもらって少し手の込んだ全体コラボを計画するのも選択肢の一つだ。
明日はオフだから、いろいろ考えてみようかな。
毎日誰かとコラボするという試みは想像以上に楽しく、それゆえに終わりが見えると寂しさを覚えずにはいられない。
けど、いまは最終日だとか気にせず、ネココちゃんとのコラボを最大限に楽しもう。
「コラボウィーク最終日の相手はネココちゃん! 巷で『ガールズパーティの二大ロリ』と呼ばれてるらしいペアでお届けするよ~!」
「よろしくにゃんっ」
「というわけで、さっそく今回の趣旨を発表しよう! ネココちゃんのデビュー配信でも軽く触れられていた、ロリ声ASMRコラ――」
「待つにゃ!」
「ど、どうしたのネココちゃん!?」
「ユニコ先輩、そのコラボは別に後日でもいいにゃ。今日はコラボウィークの締めくくり、パーッと賑やかにやるにゃん!」
「なっ、なるほど! つまり、今日はASMRではなく……っ!」
「そうにゃ!」
「視聴者参加型の!」
「レースゲーム大会にゃ!」
今回の配信内容を説明するために先ほど二人で考えた茶番は、以上をもってつつがなく終了した。
場を盛り上げるのに適したSEをいくつか鳴らして、ゲームを起動する。
「絶対遵守とまでは言わないけど、一度マッチングした人はできれば三レースぐらい間を開けてから参加してね。ネココちゃんにも了承してもらって長時間やる予定だから、焦らなくても大丈夫だよ~」
「ネココとユニコ先輩がいくらでも相手するから、ボッコボコにされたい人はどんどんかかってくるにゃ!」
『ボッコボコにされたい!』
『ダウンロード版ならいまから買っても間に合うかな』
『リスナーのマナーが試されるね』
『長時間助かる』
『むしろボッコボコにするつもりで挑ませてもらいます』
「それじゃ、一戦目のパスワードを発表するよ!」
いまかいまかと待ち侘びるコメント欄のみんなに応えるべく、あたしは配信画面上では隠れているパスワードを読み上げる。
すると、ほんの数秒で参加者の上限に達した。
自分たちと一緒にゲームしたいと思ってくれる人がたくさんいることの喜びを噛み締めながら、長時間枠として始めて正解だったと確信する。
それでも全員とレースすることは難しいかもしれないけど、できるだけ多くのリスナーさんと一緒にコースを走りたい。
「ユニコ先輩、ネココのアシストは任せたにゃん」
「うんっ、任せ――じゃないよ! 言っとくけど、一位になるのはあたしだからね!」
なんてやり取りを交わしている間にコースが決定し、レース開始のカウントダウンが始まる。
スタートダッシュは難なく成功。最初に出現するアイテムボックスもきっちり獲得し、順調な滑り出しと言えよう。
「この機会にネココがユニコ先輩より強いってことを証明しておくにゃ!」
わざわざ前置き口上を述べた後、ネココちゃんは僅差で前を走っていたあたしに妨害アイテムをぶつけた。
「ちょっとぐらい先輩に忖度してよ!」
「ネココの辞書にそんな言葉はないにゃん♪ って、ちょっ、やめっ、にゃあぁあぁああっ!?」
因果応報と言うべきか、勝ち誇っていたネココちゃんはリスナーさんに攻撃され、あたしと近いところにまで順位を落とす。
「その辞書に因果応報って言葉は載ってるのかな?」
「ユニコ先輩のくせに、なかなか難しい言葉を知ってるにゃ。花丸のスタンプを押してあげたいにゃん」
「あたしってネココちゃんの中で何歳設定なの!?」
煽ったつもりが逆に動揺させられる羽目になってしまった。
認めたくはないけど、いまのはネココちゃんが一枚上手だったらしい。
それはさておき、リスナーさんが強すぎる。
あたしもネココちゃんも決して下手ではないはずなのに、差を縮めるのがやっとだ。
「焼き鳥! 枝豆! 大ジョッキ!」
「ネココちゃん!?」
甘く幼い声で居酒屋を彷彿とさせる単語を発しながら、妨害アイテムによってリスナーさんたちを襲うネココちゃん。
猫耳カチューシャが似合うピンク髪ツインテのロリ巨乳美少女という外見からは想像できないワードチョイスに、リスナーさんたちも驚いているに違いない。
「ハッ、感情が昂って欲望が漏れ出ちゃったにゃ。いまのは忘れてほしいにゃん♪」
確かに、意図せず口から言葉が漏れることは往々にしてある。
気持ちは分かるけど、ネココちゃんがいくらかわいくお願いしたところで、先ほどの発言はほぼ確実に切り抜かれるだろう。
「全レースで一位を取るつもりだったけど、さすがにそう上手くはいかないね」
「いまのはウォーミングアップにゃ。次からネココの独壇場にゃっ」
奮闘したものの、初戦は下から二番目という結果だった。
ネココちゃんも似たような順位だけど、ちゃっかりあたしより上位に食い込んでいるのが地味に悔しい。
「さぁ、次のレースに行くよ~!」
コメント欄のみんなと軽く感想を語り合った後、すぐさま二戦目のパスワードを発表する。
そして、長時間の予定という言葉に嘘偽りなく、あたしとネココちゃんによる視聴者参加型のレースゲーム大会は夜遅くまで続き、コラボウィークは大盛況のうちに幕を閉じた。
幸いなことに好評を博す企画となり、連日のコラボをきっかけにチャンネル登録したという声も多い。
コラボウィークは終わったけど、夏休みシーズンはまだ始まったばかり。
スケジュールが合うなら同じような企画をまたやりたいし、運営さんに協力してもらって少し手の込んだ全体コラボを計画するのも選択肢の一つだ。
明日はオフだから、いろいろ考えてみようかな。
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