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75話 猫目ネココ
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今日は待ちに待った、三期生のデビュー日。
人数は一期生や二期生と同じく二人で、この土日で一人ずつデビュー配信を行うことになっている。
あたしとミミちゃんはトイレを済ませてソファに腰かけ、ローテーブルには飲み物やお菓子を用意。まさに準備万端と言える状態だ。
エリナ先輩とシャテーニュ先輩もそれぞれ自宅から視聴するとのことで、先ほどチャットで軽いやり取りを交わした。
「あっ、そろそろ始まるよ~」
「ど、ドキドキしてきました」
ミミちゃんはまるで自分の初配信であるかのように緊張している。
とはいえ、あたしも人のことは言えない。
先輩たちも、あたしとミミちゃんがデビューする時はこんな気持ちだったのだろうか。
部活の新入部員を迎える――というよりは、親戚の晴れ舞台に立ち会うという例えがしっくりくるかも。
なんてことを考えているうちに、待機画面が明ける。
背景に使っている画像は、シンプルなピンクと白のストライプ模様。
画面の中央にドドンッと現れる、あたしたちの後輩にして新たな仲間――
『こんばんにゃ~ん! にゃんにゃんにゃんっ、猫目ネココだにゃんっ♪』
猫目ネココちゃんが、ついにその第一声を発した。
アニメやゲームの美幼女キャラが似合いそうな、めちゃくちゃかわいくて甘い声質。
すっごく個性的なアニメ声でありながら、いわゆるキンキン響く声ではなく、耳から優しく染み込んで脳を蕩けさせるような……上手く言えないけど、とにかくそんな感じ。
SNSではデビューに先駆けて少しずつ投稿していたため、言動や性格はそれなりに分かっていたつもりだった。
ただ、やっぱり実際に配信で見ると想像以上に個性が強い。
デビュー配信ということでコメントの数も尋常じゃなく、スポーツ選手レベルの動体視力がないととても目で追い切れそうにない。
『この配信は先輩たちも見てくれてるってことで、さすがにちょっと緊張するにゃあ。とりあえず、まずは宣戦布告からにゃん! ネココは二期生のユニコ先輩をライバル視しているにゃん!』
「えっ、あたし?」
当然本人には聞こえないけど、動揺のあまり思わず声に出た。
ミミちゃんに視線を向けると、彼女もまた理由が分からずキョトンとしている。
もしかして、ミミちゃんを狙ってる……?
まさかとは思うけど、仮にそうだとしたら後輩だろうがなんだろうが容赦はしない。
『ユニコ先輩はネココと同じロリっぽい萌え声だから、ネココの方がロリだってことを追々分からせていくにゃん!』
なるほど、そういうことか。
自分の予想が外れていたことにホッとしつつ、同時に疑問も抱く。
「あはは、ライバル認定されるって新鮮で嬉しいかも。でもさ、明らかにネココちゃんの方がロリっぽい声質だよね~」
苦笑しながらミミちゃんに同意を求めると、ミミちゃんは先ほど以上にキョトンとした表情を浮かべてこちらを見る。
「えっ、自覚してないんですか?」
「へ?」
『だけど、声のタイプは近くても体型はまったく違うんにゃよね~。ほら見るにゃんっ、このナイスバディ!』
声につられて視線を配信画面に戻すと、ネココちゃんは全身が映るように自分の位置を調整していた。
ピンク髪のツインテールに、猫耳のカチューシャ。
顔立ちはかなり幼く、口を開けた時に覗く八重歯がかわいらしい。
ぶかぶかの大きな白Tシャツは胸の辺りにデフォルメされた猫のイラストが描かれているものの、小柄な体躯に不釣り合いな二つの膨らみによって猫ではないなにかに変貌している。
丈が長いから正確には分からないけど、下は少なくともスカートやズボンの類は履いていない。
ホットパンツかスパッツ、もしくはパンツだけ、あるいはなにも穿いていないという可能性も……?
そう言えば、何気にナイスバディって言葉を久しぶりに聞いた気がする。
『体はちっちゃいけど胸はおっきいにゃ! ユニコ先輩はぺったんこだから、おっぱい勝負はネココの圧勝にゃ! にゃっはっはっ』
このロリ巨乳は一度分からせておいた方がよさそうだ。
初めての後輩にあんまり圧をかけたくないけど、とりあえず今後一年ぐらい『ユニコ様』って呼びたくなるような目に遭わせちゃおうかな。
「ふふっ、ふふふふふ」
「ゆ、ユニコちゃん、悪い声が出てますよ」
『にゃんちゃって、いまのは半分冗談にゃんっ。ユニコ先輩とは今度ロリ声ASMRコラボしてほしいにゃ。ミミ先輩と歌コラボもしたいし、エリナ先輩に罵ってもらう企画とか、シャテーニュ先輩とゲームで対戦もしたいにゃん。それと、いつかオフで会って一緒にご飯食べたりもしたいにゃ~』
ネココちゃんは体を左右に揺らしながら、満面の笑みで嬉しそうに話し続ける。
ハキハキとした口調で滑舌もよく、やや早口気味でもすごく聞き取りやすい。
あたしの胸に対するディスっぽい発言も悪意は感じられなかったし、ネココちゃんが言ってくれたようにASMRコラボをして、それをきっかけに仲よくなれたらいいな。
***
一時間弱のデビュー配信が無事に終わった直後、ネココちゃんから胸のイジリに対する謝罪のメッセージが届いた。
数分後にはメンバー用の全体チャットに、これから仲よくしてほしいという旨のメッセージが送られてきた。
「ネココちゃん、いい子ですね」
「だよねっ、あたしたちもいい先輩だって思ってもらえるように頑張ろうっ」
明日にデビューを控えたもう一人の三期生とも、ぜひ良好な関係を築いていきたい。
人数は一期生や二期生と同じく二人で、この土日で一人ずつデビュー配信を行うことになっている。
あたしとミミちゃんはトイレを済ませてソファに腰かけ、ローテーブルには飲み物やお菓子を用意。まさに準備万端と言える状態だ。
エリナ先輩とシャテーニュ先輩もそれぞれ自宅から視聴するとのことで、先ほどチャットで軽いやり取りを交わした。
「あっ、そろそろ始まるよ~」
「ど、ドキドキしてきました」
ミミちゃんはまるで自分の初配信であるかのように緊張している。
とはいえ、あたしも人のことは言えない。
先輩たちも、あたしとミミちゃんがデビューする時はこんな気持ちだったのだろうか。
部活の新入部員を迎える――というよりは、親戚の晴れ舞台に立ち会うという例えがしっくりくるかも。
なんてことを考えているうちに、待機画面が明ける。
背景に使っている画像は、シンプルなピンクと白のストライプ模様。
画面の中央にドドンッと現れる、あたしたちの後輩にして新たな仲間――
『こんばんにゃ~ん! にゃんにゃんにゃんっ、猫目ネココだにゃんっ♪』
猫目ネココちゃんが、ついにその第一声を発した。
アニメやゲームの美幼女キャラが似合いそうな、めちゃくちゃかわいくて甘い声質。
すっごく個性的なアニメ声でありながら、いわゆるキンキン響く声ではなく、耳から優しく染み込んで脳を蕩けさせるような……上手く言えないけど、とにかくそんな感じ。
SNSではデビューに先駆けて少しずつ投稿していたため、言動や性格はそれなりに分かっていたつもりだった。
ただ、やっぱり実際に配信で見ると想像以上に個性が強い。
デビュー配信ということでコメントの数も尋常じゃなく、スポーツ選手レベルの動体視力がないととても目で追い切れそうにない。
『この配信は先輩たちも見てくれてるってことで、さすがにちょっと緊張するにゃあ。とりあえず、まずは宣戦布告からにゃん! ネココは二期生のユニコ先輩をライバル視しているにゃん!』
「えっ、あたし?」
当然本人には聞こえないけど、動揺のあまり思わず声に出た。
ミミちゃんに視線を向けると、彼女もまた理由が分からずキョトンとしている。
もしかして、ミミちゃんを狙ってる……?
まさかとは思うけど、仮にそうだとしたら後輩だろうがなんだろうが容赦はしない。
『ユニコ先輩はネココと同じロリっぽい萌え声だから、ネココの方がロリだってことを追々分からせていくにゃん!』
なるほど、そういうことか。
自分の予想が外れていたことにホッとしつつ、同時に疑問も抱く。
「あはは、ライバル認定されるって新鮮で嬉しいかも。でもさ、明らかにネココちゃんの方がロリっぽい声質だよね~」
苦笑しながらミミちゃんに同意を求めると、ミミちゃんは先ほど以上にキョトンとした表情を浮かべてこちらを見る。
「えっ、自覚してないんですか?」
「へ?」
『だけど、声のタイプは近くても体型はまったく違うんにゃよね~。ほら見るにゃんっ、このナイスバディ!』
声につられて視線を配信画面に戻すと、ネココちゃんは全身が映るように自分の位置を調整していた。
ピンク髪のツインテールに、猫耳のカチューシャ。
顔立ちはかなり幼く、口を開けた時に覗く八重歯がかわいらしい。
ぶかぶかの大きな白Tシャツは胸の辺りにデフォルメされた猫のイラストが描かれているものの、小柄な体躯に不釣り合いな二つの膨らみによって猫ではないなにかに変貌している。
丈が長いから正確には分からないけど、下は少なくともスカートやズボンの類は履いていない。
ホットパンツかスパッツ、もしくはパンツだけ、あるいはなにも穿いていないという可能性も……?
そう言えば、何気にナイスバディって言葉を久しぶりに聞いた気がする。
『体はちっちゃいけど胸はおっきいにゃ! ユニコ先輩はぺったんこだから、おっぱい勝負はネココの圧勝にゃ! にゃっはっはっ』
このロリ巨乳は一度分からせておいた方がよさそうだ。
初めての後輩にあんまり圧をかけたくないけど、とりあえず今後一年ぐらい『ユニコ様』って呼びたくなるような目に遭わせちゃおうかな。
「ふふっ、ふふふふふ」
「ゆ、ユニコちゃん、悪い声が出てますよ」
『にゃんちゃって、いまのは半分冗談にゃんっ。ユニコ先輩とは今度ロリ声ASMRコラボしてほしいにゃ。ミミ先輩と歌コラボもしたいし、エリナ先輩に罵ってもらう企画とか、シャテーニュ先輩とゲームで対戦もしたいにゃん。それと、いつかオフで会って一緒にご飯食べたりもしたいにゃ~』
ネココちゃんは体を左右に揺らしながら、満面の笑みで嬉しそうに話し続ける。
ハキハキとした口調で滑舌もよく、やや早口気味でもすごく聞き取りやすい。
あたしの胸に対するディスっぽい発言も悪意は感じられなかったし、ネココちゃんが言ってくれたようにASMRコラボをして、それをきっかけに仲よくなれたらいいな。
***
一時間弱のデビュー配信が無事に終わった直後、ネココちゃんから胸のイジリに対する謝罪のメッセージが届いた。
数分後にはメンバー用の全体チャットに、これから仲よくしてほしいという旨のメッセージが送られてきた。
「ネココちゃん、いい子ですね」
「だよねっ、あたしたちもいい先輩だって思ってもらえるように頑張ろうっ」
明日にデビューを控えたもう一人の三期生とも、ぜひ良好な関係を築いていきたい。
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