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49話 ユニコーンと魔神

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 今日はミミちゃんとのオフコラボ。
 念入りに準備した企画とかではなく、それなりの頻度でやっているいつもの雑談配信だ。
 とは言っても、『お題』ってほどじゃないけど、ちょっとした指針的なものをあらかじめ決めてある。

「みんな、こんユニ~! 自称最強無敵のユニコーン、一角ユニコだよ~」

 いつものあいさつに加えて、普段あまり主張しない自らの種族を口にする。

「みなさん、こんユニです。闇の力を司る魔神こと、闇神ミミですっ」

 ミミちゃんもあたしと同じく、魔神として名乗りを上げた。
 コメント欄を見ると、リスナーさんも薄々ながら普段との違いに気付いている。

『こんユニ~』
『二人の声を聞いたら一日の疲れが吹っ飛んだ』
『思い出したかのように種族をアピールしてきたね』
『そう言えばユニコーンと魔神なんだっけ』
『そっか、コスプレじゃなかったんだ……』

「みんな忘れてるかもしれないけど、あたしとミミちゃんは異世界出身なんだよね~。普段あんまり話題に出さないから、今日はちょっとだけあたしたちの特性とかについて話そうかなって思ってるよ」

「研究機関とかに知られると大変なので、ここで聞いた話は他言無用でお願いします」

『なるほど』
『了解です』
『なんか面白そう』
『消されたくないので秘密は守ります』

 さすがと言うべきか、いまの簡単な説明だけで本日の趣向についてなんとなく理解してもらえたようだ。

「みんなは知ってる? ユニコーンの角って、鋭いだけじゃなくて毒された水を清める効果もあるの」

『そうなんだ』
『なんかの本で見たことある気がする』
『角を少し削って売ったら儲かりそう』
『悪い組織に折られて奪われないように気を付けてね』

「けっこう怖いこと言ってる人もいるけど、安心してね。こう見えても人間とは比べ物にならないぐらい強いから! 誰かに角を狙われても串刺しにして返り討ちにするから!」

「く、串刺しって……ユニコちゃんの方が怖いこと言ってるじゃないですか」

「ジョークだよジョーク。まぁ、もしミミちゃんに危害を加えようとしたら、冗談抜きで相手が誰であろうと串刺し程度じゃ済まさないけど」

「じゃあ、ユニコちゃんのことはわたしが守りますね。敵が不審な動きを見せた瞬間に、問答無用で闇の餌にしちゃいます」

『てぇてぇ』
『頼もしすぎて草』
『それなら安心ですね』
『割とエグいこと言ってるはずなのに、不思議と微笑ましい』
『これには杞憂民もにっこり』
『ミミちゃんサラッとえげつないこと言ってる』
『闇の餌ってなかなかのパワーワードだよね』

「ふと思い出したんだけど、まだデビューしたばっかりの頃に、あたしがミミちゃんのペットだって言われたことがあるんだよね~」

「ペット?」

「うん。飼い主の魔神とペットのユニコーンだって」

 もちろん、それが悪口ではないことは分かっている。
 ついでに言うと、プライベートで飼い主とペットという特殊なプレイに興じるのもいいかなって思ったんだけど、それはさすがにこの場では黙っておこう。

「ユニコちゃん、お手」

「わんっ――はっ、体が勝手に!?」

 ミミちゃんがスッと差し出した手に、あたしは半ば反射的に自分の手を重ねた。

『ペットじゃん』
『ユニコちゃんはユニコーンじゃなくて犬だった……?』
『もう公式設定でいいんじゃないかな』

「ということでね、あたしはミミちゃんのペットになりました、と。あとで頭とか胸とかお尻とか撫でてもらうから、その辺を踏まえたファンアートを描いてくれたら嬉しいな~」

『ミミちゃんに飼ってもらえるの羨ましい』
『私もミミちゃんに飼われたいです』
『ユニコちゃんがペットだったら毎日楽しそう』

「ところで、ミミちゃんって闇の力を使えるんだよね?」

「はいっ、闇の扱いなら任せてくださいっ」

 と、自信ありげに意気揚々と告げるミミちゃん。
 その笑顔が放つ属性は、闇とは正反対のものだ。

「具体的にどんなことができるの? ちなみに、あたしの角はダイヤモンドの盾を粉々に砕けるぐらい強いよ。ふふんっ」

 質問をぶつけつつ、ここぞとばかりに新情報を提示してドヤ顔を浮かべてみた。

「そうですね……やろうと思えば、地球を丸ごと闇で覆うことも可能です」

『怖っ』
『ミミちゃんだけは怒らせちゃダメだね』
『ユニコちゃんと本気でケンカしたら巻き添えで地球が犠牲になるかもしれないってことか』

 想定していた以上に話が弾み、あたしはユニコーン、ミミちゃんは魔神として、それぞれ己の強さやすごさを延々と語った。
 リスナーさんたちのノリがいいこともあり、当初一時間程度を予定していたものの、終わってみれば二時間半というなかなかの長尺配信に。
 あたしもミミちゃんも想像以上に楽しめたし、みんなからの反応もすごくよかった。
近いうちにとは言えないけど、またいつか、ぜひとも次の機会を設けたい。
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