49 / 217
49話 ユニコーンと魔神
しおりを挟む
今日はミミちゃんとのオフコラボ。
念入りに準備した企画とかではなく、それなりの頻度でやっているいつもの雑談配信だ。
とは言っても、『お題』ってほどじゃないけど、ちょっとした指針的なものをあらかじめ決めてある。
「みんな、こんユニ~! 自称最強無敵のユニコーン、一角ユニコだよ~」
いつものあいさつに加えて、普段あまり主張しない自らの種族を口にする。
「みなさん、こんユニです。闇の力を司る魔神こと、闇神ミミですっ」
ミミちゃんもあたしと同じく、魔神として名乗りを上げた。
コメント欄を見ると、リスナーさんも薄々ながら普段との違いに気付いている。
『こんユニ~』
『二人の声を聞いたら一日の疲れが吹っ飛んだ』
『思い出したかのように種族をアピールしてきたね』
『そう言えばユニコーンと魔神なんだっけ』
『そっか、コスプレじゃなかったんだ……』
「みんな忘れてるかもしれないけど、あたしとミミちゃんは異世界出身なんだよね~。普段あんまり話題に出さないから、今日はちょっとだけあたしたちの特性とかについて話そうかなって思ってるよ」
「研究機関とかに知られると大変なので、ここで聞いた話は他言無用でお願いします」
『なるほど』
『了解です』
『なんか面白そう』
『消されたくないので秘密は守ります』
さすがと言うべきか、いまの簡単な説明だけで本日の趣向についてなんとなく理解してもらえたようだ。
「みんなは知ってる? ユニコーンの角って、鋭いだけじゃなくて毒された水を清める効果もあるの」
『そうなんだ』
『なんかの本で見たことある気がする』
『角を少し削って売ったら儲かりそう』
『悪い組織に折られて奪われないように気を付けてね』
「けっこう怖いこと言ってる人もいるけど、安心してね。こう見えても人間とは比べ物にならないぐらい強いから! 誰かに角を狙われても串刺しにして返り討ちにするから!」
「く、串刺しって……ユニコちゃんの方が怖いこと言ってるじゃないですか」
「ジョークだよジョーク。まぁ、もしミミちゃんに危害を加えようとしたら、冗談抜きで相手が誰であろうと串刺し程度じゃ済まさないけど」
「じゃあ、ユニコちゃんのことはわたしが守りますね。敵が不審な動きを見せた瞬間に、問答無用で闇の餌にしちゃいます」
『てぇてぇ』
『頼もしすぎて草』
『それなら安心ですね』
『割とエグいこと言ってるはずなのに、不思議と微笑ましい』
『これには杞憂民もにっこり』
『ミミちゃんサラッとえげつないこと言ってる』
『闇の餌ってなかなかのパワーワードだよね』
「ふと思い出したんだけど、まだデビューしたばっかりの頃に、あたしがミミちゃんのペットだって言われたことがあるんだよね~」
「ペット?」
「うん。飼い主の魔神とペットのユニコーンだって」
もちろん、それが悪口ではないことは分かっている。
ついでに言うと、プライベートで飼い主とペットという特殊なプレイに興じるのもいいかなって思ったんだけど、それはさすがにこの場では黙っておこう。
「ユニコちゃん、お手」
「わんっ――はっ、体が勝手に!?」
ミミちゃんがスッと差し出した手に、あたしは半ば反射的に自分の手を重ねた。
『ペットじゃん』
『ユニコちゃんはユニコーンじゃなくて犬だった……?』
『もう公式設定でいいんじゃないかな』
「ということでね、あたしはミミちゃんのペットになりました、と。あとで頭とか胸とかお尻とか撫でてもらうから、その辺を踏まえたファンアートを描いてくれたら嬉しいな~」
『ミミちゃんに飼ってもらえるの羨ましい』
『私もミミちゃんに飼われたいです』
『ユニコちゃんがペットだったら毎日楽しそう』
「ところで、ミミちゃんって闇の力を使えるんだよね?」
「はいっ、闇の扱いなら任せてくださいっ」
と、自信ありげに意気揚々と告げるミミちゃん。
その笑顔が放つ属性は、闇とは正反対のものだ。
「具体的にどんなことができるの? ちなみに、あたしの角はダイヤモンドの盾を粉々に砕けるぐらい強いよ。ふふんっ」
質問をぶつけつつ、ここぞとばかりに新情報を提示してドヤ顔を浮かべてみた。
「そうですね……やろうと思えば、地球を丸ごと闇で覆うことも可能です」
『怖っ』
『ミミちゃんだけは怒らせちゃダメだね』
『ユニコちゃんと本気でケンカしたら巻き添えで地球が犠牲になるかもしれないってことか』
想定していた以上に話が弾み、あたしはユニコーン、ミミちゃんは魔神として、それぞれ己の強さやすごさを延々と語った。
リスナーさんたちのノリがいいこともあり、当初一時間程度を予定していたものの、終わってみれば二時間半というなかなかの長尺配信に。
あたしもミミちゃんも想像以上に楽しめたし、みんなからの反応もすごくよかった。
近いうちにとは言えないけど、またいつか、ぜひとも次の機会を設けたい。
念入りに準備した企画とかではなく、それなりの頻度でやっているいつもの雑談配信だ。
とは言っても、『お題』ってほどじゃないけど、ちょっとした指針的なものをあらかじめ決めてある。
「みんな、こんユニ~! 自称最強無敵のユニコーン、一角ユニコだよ~」
いつものあいさつに加えて、普段あまり主張しない自らの種族を口にする。
「みなさん、こんユニです。闇の力を司る魔神こと、闇神ミミですっ」
ミミちゃんもあたしと同じく、魔神として名乗りを上げた。
コメント欄を見ると、リスナーさんも薄々ながら普段との違いに気付いている。
『こんユニ~』
『二人の声を聞いたら一日の疲れが吹っ飛んだ』
『思い出したかのように種族をアピールしてきたね』
『そう言えばユニコーンと魔神なんだっけ』
『そっか、コスプレじゃなかったんだ……』
「みんな忘れてるかもしれないけど、あたしとミミちゃんは異世界出身なんだよね~。普段あんまり話題に出さないから、今日はちょっとだけあたしたちの特性とかについて話そうかなって思ってるよ」
「研究機関とかに知られると大変なので、ここで聞いた話は他言無用でお願いします」
『なるほど』
『了解です』
『なんか面白そう』
『消されたくないので秘密は守ります』
さすがと言うべきか、いまの簡単な説明だけで本日の趣向についてなんとなく理解してもらえたようだ。
「みんなは知ってる? ユニコーンの角って、鋭いだけじゃなくて毒された水を清める効果もあるの」
『そうなんだ』
『なんかの本で見たことある気がする』
『角を少し削って売ったら儲かりそう』
『悪い組織に折られて奪われないように気を付けてね』
「けっこう怖いこと言ってる人もいるけど、安心してね。こう見えても人間とは比べ物にならないぐらい強いから! 誰かに角を狙われても串刺しにして返り討ちにするから!」
「く、串刺しって……ユニコちゃんの方が怖いこと言ってるじゃないですか」
「ジョークだよジョーク。まぁ、もしミミちゃんに危害を加えようとしたら、冗談抜きで相手が誰であろうと串刺し程度じゃ済まさないけど」
「じゃあ、ユニコちゃんのことはわたしが守りますね。敵が不審な動きを見せた瞬間に、問答無用で闇の餌にしちゃいます」
『てぇてぇ』
『頼もしすぎて草』
『それなら安心ですね』
『割とエグいこと言ってるはずなのに、不思議と微笑ましい』
『これには杞憂民もにっこり』
『ミミちゃんサラッとえげつないこと言ってる』
『闇の餌ってなかなかのパワーワードだよね』
「ふと思い出したんだけど、まだデビューしたばっかりの頃に、あたしがミミちゃんのペットだって言われたことがあるんだよね~」
「ペット?」
「うん。飼い主の魔神とペットのユニコーンだって」
もちろん、それが悪口ではないことは分かっている。
ついでに言うと、プライベートで飼い主とペットという特殊なプレイに興じるのもいいかなって思ったんだけど、それはさすがにこの場では黙っておこう。
「ユニコちゃん、お手」
「わんっ――はっ、体が勝手に!?」
ミミちゃんがスッと差し出した手に、あたしは半ば反射的に自分の手を重ねた。
『ペットじゃん』
『ユニコちゃんはユニコーンじゃなくて犬だった……?』
『もう公式設定でいいんじゃないかな』
「ということでね、あたしはミミちゃんのペットになりました、と。あとで頭とか胸とかお尻とか撫でてもらうから、その辺を踏まえたファンアートを描いてくれたら嬉しいな~」
『ミミちゃんに飼ってもらえるの羨ましい』
『私もミミちゃんに飼われたいです』
『ユニコちゃんがペットだったら毎日楽しそう』
「ところで、ミミちゃんって闇の力を使えるんだよね?」
「はいっ、闇の扱いなら任せてくださいっ」
と、自信ありげに意気揚々と告げるミミちゃん。
その笑顔が放つ属性は、闇とは正反対のものだ。
「具体的にどんなことができるの? ちなみに、あたしの角はダイヤモンドの盾を粉々に砕けるぐらい強いよ。ふふんっ」
質問をぶつけつつ、ここぞとばかりに新情報を提示してドヤ顔を浮かべてみた。
「そうですね……やろうと思えば、地球を丸ごと闇で覆うことも可能です」
『怖っ』
『ミミちゃんだけは怒らせちゃダメだね』
『ユニコちゃんと本気でケンカしたら巻き添えで地球が犠牲になるかもしれないってことか』
想定していた以上に話が弾み、あたしはユニコーン、ミミちゃんは魔神として、それぞれ己の強さやすごさを延々と語った。
リスナーさんたちのノリがいいこともあり、当初一時間程度を予定していたものの、終わってみれば二時間半というなかなかの長尺配信に。
あたしもミミちゃんも想像以上に楽しめたし、みんなからの反応もすごくよかった。
近いうちにとは言えないけど、またいつか、ぜひとも次の機会を設けたい。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
AV研は今日もハレンチ
楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo?
AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて――
薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる