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48話 深夜にのんびり

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 たまに昼夜逆転する日があるけど、基本的には規則正しい生活を送れている……と思う。
 それと関係あるかどうかは別として、今日は夜になっても目が冴えて眠気を微塵も感じない。
とりあえずベッドに横たわってみたものの、『これはしばらく寝付けそうにない』と直感した。
 ……よし、配信しよう!
 突如として脳内に浮かんだその考えを実行に移すべく、あたしは急いで告知を出し、ベッドからパソコンデスクへと移動して準備を開始する。

***

「みんな、こんユニ~! なんか目が冴えちゃってて眠れそうにないから、急だけど配信することにしたよ~」

 数十分後、あたしはいつものあいさつを元気よく告げて、ゲリラ配信に至った経緯を説明した。
 本当に急遽決まった配信だというのに、たくさんの人が配信に訪れてくれている。

『起きててよかった』
『こんユニ~』
『ゲリラ助かる』
『理由がかわいいw』
『そういう日あるよね』

「眠くなったら配信終了するから、それだけ許してね!」

 言葉に出してみると、なかなか――というかかなり身勝手な話だ。

『はーい』
『了解です』
『寝落ちして寝言を聞かせてくれてもいいんですよ』
『あったかい牛乳とか飲んだら眠たくなるかも』

 不満を言うどころか優しく受け入れてくれるリスナーさんたちには、もう感謝の気持ちしかない。

「雑談枠のつもりだったけど、アカペラ歌枠とかどうかな?」

『リスナーの意識を強制的に奪うつもりかな?』
『ユニコちゃん落ち着いて』
『それはヤバいよ』
『冷静になれ』
『ユニコのアカペラ……破壊力すごそう』

「ちょっとみんな、コメ欄のざわつき方が尋常じゃないんだけど! もっと喜んでよ!」

 とは言ったもののリスナーさんたちが戦々恐々としている理由は痛いほど分かるので、アカペラ歌枠は次の機会に持ち越すことにした。

「雑談するにしても、なにかトークテーマが欲しいよね~。絞らないと朝まで話しても終わらないし」

 最近やったゲームの感想やミミちゃんとの印象的なやり取りなどなど、話題は無限にある。
 話があっちこっちに逸れてしまうのもよくない気がするから、なにかしらのお題があるとありがたい。

「ってことで、いまからお題を募集するよ!」

 思考放棄してリスナーさんたちに丸投げしてみた。
 あたしの雑談枠では割とよくあることなので、コメント欄を見ても驚いている人はほとんどいない。

『知ってたw』
『安定の丸投げ』
『最近食べたマズい物とか』
『ビックリしたこと』
『ミミちゃんとのてぇてぇエピソードが聞きたい』

「ありがと~! それじゃ、パッと目についたコメントから――」

 あたしはピンときたコメントを拾い、一つのお題につき五分程度話すという流れを何回か繰り返した。
 話したり笑ったりしているうちに適度な疲労感が溜まったのか、配信開始から一時間足らずで当初の目的であった眠気が訪れる。

「ふぁぁ……みんな、今日は付き合ってくれてありがと~。盛り上がってきたところだけど、いい感じに眠くなってきたから、そろそろ終わるね。お礼とお詫びを兼ねて、明日は二回行動するから、楽しみにしててね」

 一時間前の元気が嘘のように、いまにも寝落ちしてしまいそうな状態で言葉を紡ぐ。

『ゆっくり寝てね』
『おやすみ』
『楽しみにしてる』
『ゲリラ配信楽しかったよー』

「改めて、今日は本当にありがとう。みんなもゆっくり休んでね。それじゃあみんな、おつユニ~っ」

 残った元気を振り絞って締めのあいさつを告げ、配信を終える。
 一時は徹夜の可能性もあるかと思ったけど、無事にぐっすり眠れそうだ。
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