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11話 幼い頃の恥ずかしい思い出
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今日は学校でスポーツテストが実施された。
学年が違うから時間帯は別だけど、放課後になって合流するや否や、私と彩愛先輩は結果が記されたシートを取り出して自分の方が上だと競い合う。
家に着くまでずっと幼稚な言い争いを繰り広げ、帰ってからも私の部屋に集まってギャーギャーと騒ぎ続けた。
陽が沈んだ頃にはさすがに落ち着きを取り戻し、お母さんの提案で彩愛先輩も一緒に晩ごはんを食べる。
家族団らんの場に彩愛先輩が同伴するのは昔から見慣れた光景で、逆もまた同様。ついこの前も、彩愛先輩のご両親と一緒に食卓を囲んだ。
部屋に戻ると、彩愛先輩は開け放った窓から身を乗り出し、向かいにある自分の部屋の窓を開けて滑るように入室。
今日はもう帰ってしまうのだろうか。
というか、ここから行き来されたら後で靴を届けに行く手間が増えるんだけど……。
そんなことを考えていると、着替えを脇に抱えた彩愛先輩が、先ほどと同じ方法で私の部屋に戻る。
「今日も泊まって行くんですか?」
「そうよ、ありがたく思いなさい」
「なんで偉そうなんですか……」
***
「お風呂って最高ですよね~」
「まったくもってその通りだわ~」
私と彩愛先輩は向かい合って湯船に浸かり、一日の疲れが抜けていくのを感じながら恍惚の溜息を漏らす。
意見が一致し、些細な口論すら起こらない。
二人にしては珍しい平和なひと時が、幼少期の思い出をよみがえらせる。
いま思うと信じられないけど、仲がよかった頃――小学生ぐらいまでは、毎日のようにキスしてたなぁ。
しかも、頬や額じゃなく、唇と唇で。
もちろん深い意味はない。あれは多分、海外でのあいさつみたいなノリだったはずだ。
微笑ましい思い出だと懐かしんでいると、彩愛先輩がツンツンと胸を突いてきた。
「なにボーッとしてんのよ。お風呂で無理は禁物、のぼせる前に上がりなさい」
「すみません、子供の頃を思い出してました」
「ふーん。子供の頃……そう言えば、お風呂で見せ合いっこしたわね」
「確かに、そんなこともありましたね」
彩愛先輩に言われて、当時の光景が頭に浮かぶ。
幼さゆえの好奇心から、お風呂の洗い場で恥ずかしげもなくお股を開き、お互いのアソコをまじまじと観察し合った。
キスもそうだけど、わりと大胆かつ過激なことをしている。
子供って怖い。これが俗に言う黒歴史なのかな。
「あと、歌恋があたしの部屋に泊まるたびにおねしょしてた」
「そ、それは忘れてくださいっ」
「忘れたくても忘れられないわ。毎度毎度、マーキングかってぐらいベッドをおしっこまみれにされたのよ? 隣で寝てるあたしまで歌恋のおしっこで水浸しになるし、当の犯人は大泣きするし。あの頃は優しく慰めてたけど、いまだったら殴り飛ばしてるわよ」
「いっ、いまはおねしょなんてしませんから! それに、彩愛先輩だってエレベーターの中で漏らしたことあるじゃないですか! お化け屋敷でも漏らしてましたし、観覧車でも盛大に漏らしてましたよ!」
「うっ、うるさいわね! 子供の頃の話を蒸し返すんじゃないわよ!」
「それはこっちのセリフです!」
双方ケンカ腰になったものの、この話題はここで打ち切りとなった。
これ以上続ければ二人のメンタルがただでは済まないことを、お互いに確信している。
思い出すだけで恥ずかしい出来事は、まだまだ数え切れないほどにあるのだから。
学年が違うから時間帯は別だけど、放課後になって合流するや否や、私と彩愛先輩は結果が記されたシートを取り出して自分の方が上だと競い合う。
家に着くまでずっと幼稚な言い争いを繰り広げ、帰ってからも私の部屋に集まってギャーギャーと騒ぎ続けた。
陽が沈んだ頃にはさすがに落ち着きを取り戻し、お母さんの提案で彩愛先輩も一緒に晩ごはんを食べる。
家族団らんの場に彩愛先輩が同伴するのは昔から見慣れた光景で、逆もまた同様。ついこの前も、彩愛先輩のご両親と一緒に食卓を囲んだ。
部屋に戻ると、彩愛先輩は開け放った窓から身を乗り出し、向かいにある自分の部屋の窓を開けて滑るように入室。
今日はもう帰ってしまうのだろうか。
というか、ここから行き来されたら後で靴を届けに行く手間が増えるんだけど……。
そんなことを考えていると、着替えを脇に抱えた彩愛先輩が、先ほどと同じ方法で私の部屋に戻る。
「今日も泊まって行くんですか?」
「そうよ、ありがたく思いなさい」
「なんで偉そうなんですか……」
***
「お風呂って最高ですよね~」
「まったくもってその通りだわ~」
私と彩愛先輩は向かい合って湯船に浸かり、一日の疲れが抜けていくのを感じながら恍惚の溜息を漏らす。
意見が一致し、些細な口論すら起こらない。
二人にしては珍しい平和なひと時が、幼少期の思い出をよみがえらせる。
いま思うと信じられないけど、仲がよかった頃――小学生ぐらいまでは、毎日のようにキスしてたなぁ。
しかも、頬や額じゃなく、唇と唇で。
もちろん深い意味はない。あれは多分、海外でのあいさつみたいなノリだったはずだ。
微笑ましい思い出だと懐かしんでいると、彩愛先輩がツンツンと胸を突いてきた。
「なにボーッとしてんのよ。お風呂で無理は禁物、のぼせる前に上がりなさい」
「すみません、子供の頃を思い出してました」
「ふーん。子供の頃……そう言えば、お風呂で見せ合いっこしたわね」
「確かに、そんなこともありましたね」
彩愛先輩に言われて、当時の光景が頭に浮かぶ。
幼さゆえの好奇心から、お風呂の洗い場で恥ずかしげもなくお股を開き、お互いのアソコをまじまじと観察し合った。
キスもそうだけど、わりと大胆かつ過激なことをしている。
子供って怖い。これが俗に言う黒歴史なのかな。
「あと、歌恋があたしの部屋に泊まるたびにおねしょしてた」
「そ、それは忘れてくださいっ」
「忘れたくても忘れられないわ。毎度毎度、マーキングかってぐらいベッドをおしっこまみれにされたのよ? 隣で寝てるあたしまで歌恋のおしっこで水浸しになるし、当の犯人は大泣きするし。あの頃は優しく慰めてたけど、いまだったら殴り飛ばしてるわよ」
「いっ、いまはおねしょなんてしませんから! それに、彩愛先輩だってエレベーターの中で漏らしたことあるじゃないですか! お化け屋敷でも漏らしてましたし、観覧車でも盛大に漏らしてましたよ!」
「うっ、うるさいわね! 子供の頃の話を蒸し返すんじゃないわよ!」
「それはこっちのセリフです!」
双方ケンカ腰になったものの、この話題はここで打ち切りとなった。
これ以上続ければ二人のメンタルがただでは済まないことを、お互いに確信している。
思い出すだけで恥ずかしい出来事は、まだまだ数え切れないほどにあるのだから。
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