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28 地下への道は
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「だ、誰だ……お前は!」
ダンバルドの屋敷の門番は声を張り上げるが、ディアマンテは無言だった。鼻をスンスンと動かし周囲を見回して「……ここだ」と静かに呟く。
「誰だと聞いているだろう!」
大きなディアマンテに少し怯える門番は、腰にあった剣を抜いて構える。それを見たディアマンテは、自分の持っている剣を門番と同じように持つ。
「そうか、そうやってこの武器を持てばよいのか……。参考になった」
「はあ? お前何を言っている……? そうか、図体がデカいだけで素人だな!」
門番は高笑いをしながらディアマンテに向かって剣を振り下ろす。しかしその剣はディアマンテに素手で止められる。
「そうか、これを振りかざしてこうか?」
ザシュッと鋭い音が響き、門番の身体がいとも簡単に真っ二つになる。ゴトリと転がる死体を無感情な顔で見ているディアマンテは、数回振って剣に付着していた血を落とした。
「……興味深い。剣を手に持つとしっくりくる。俺は何処かで剣の使い方を学んだようだが、何処だったのだろうか?」
自分がジオンの息子の魂魄から作られたことを知らないディアマンテは、手に剣を握りしめて妖しく微笑む。これは得したと言いたげに。
「マスター、直ぐに迎えに行くぞ!」
大きな脅威を感じていない商人の家には屈強な門番などいない。たった一人の門番を排除すれば中まで簡単に入れた。
人間離れしたスピードで走るディアマンテは、あっという間に屋敷の扉の前に立ちドアをぶち破る。
「キャー!」と大声を上げて逃げ惑うメイド達。その内の一人を乱暴に捕まえ「マスターは何処だ?」と無表情で尋ねた。
「ま、マスター? (ダンバルド様?)あのお方なら地下の説教部屋に……」
「地下か……」
ディアマンテはメイドを解放して床を見つめる。地下と聞いて普通なら階段を探すのだが、もっと簡単に地下に向かえる術があった。
ドカッ ガラガラ バキバキと周囲に大きな砂埃が立ち、逃げ惑っていたメイド達が慌てて床にしゃがみ込む。地震でも起こったといった風だが、それが地震ではないことに全員直ぐに気が付いたようだ。床に大きな穴が空き、その前にディアマンテが立っていたのだから。
いとも簡単に床を拳で更に破壊するディアマンテは、地下の倉庫に落ちていく。着地した上は赤い実が入った箱だったようで、全身に赤い果汁が飛び散った。
もちろん無傷のディアマンテは、絶叫が聞こえる上階の騒ぎを無視して倉庫のドアを蹴破る。
「……マスターの甘い匂いがする。これは発情? 俺以外に発情するなんて、絶対に許せない!」
ダイヤモンドの瞳はシルバーから赤くなりギラギラと光り出す。顔は無表情だが長い銀髪は宙に舞い、蒸気が身体から湧き上がっている。一歩一歩が重く、石畳の床を破壊しながらディアマンテは甘い匂いがする方向に進むのだった。
****
「な、何だ今の音は!」
ダンバルドはドーンいう地響きと何かがガラガラと崩れる音を聞き、驚いて部屋の入り口を瞬時に見た。
そんなダンバルドとは裏腹に、意識が朦朧としているルーチェは、ビクビクと小刻みに震えながら「んぅ! あぁぁぁ!」と嬌声を上げ続けている。
淫部に差し込まれた筆の先が当たる所に紙が置かれており、ルーチェの蜜壺から垂れてくる愛蜜で染みを作っていた。その染みはルーチェが声を上げるたびに大きく広がる。ルーチェの目はトロンとしており、明らかに何かを飲まされて強制的に発情状態のようだった。
「チッ、折角媚薬が効いてきて、これから犯しまくろうと思っていたのに……。何が起こったというのだ? 天災か……?」
ダンバルドが外の様子を確かめようと部屋のドアに手を掛けた瞬間、大きな破壊音とともにドアがダンバルド共々吹き飛ぶ。
「マスター、発情しているのか……?」
破壊した入り口から蒸気を漂わせながらディアマンテが入ってくる。しかしルーチェはビクビクと震えて快楽を味わうだけで返事をしない。ディアマンテは返事をしないルーチェをジッと見つめたまま近寄り、淫部に刺さった筆を冷めた目で見る。
「……これはマスターの趣向なのか? 新しい……。本には載っていなかった」
刺さっている筆をグリグリと動かし出すディアマンテは、そこからタラタラと垂れ出す愛蜜を啜る。与えられる更なる刺激に、激しく震えて痙攣するルーチェ。その様子を興味深そうに見ていたディアマンテは、筆を引き抜きルーチェの唇に激しく吸い付いた。
「ん、ふぅ……あぁ」
少し酸欠気味になったルーチェは、朦朧としていた意識が少しハッキリとしてくる。視点の定まらなかった視線も、徐々にある一点を見つめだしていく。そう、あのダイヤモンドのように光る瞳に。
「でぃ、ディアマン……テ?」
「……ああ、マスター。俺だ」
「ど、どうしたの? 身体中に真っ赤な……血飛沫!」
一階から飛び降りたときに着地した果実の箱の中身が付着しただけだが、見ようによっては血飛沫に見える。心臓が止まるほどに驚いて更に意識がハッキリとしてくるルーチェは、ディアマンテに怪我がないか身体中を探るように見て確認する。
「マスター、俺はゴーレムだが……? 怪我はしない」
「へえ、ゴーレムですか……」
背後から声がしたと思ったらドンっという大きな音とともに、ディアマンテが壁に投げ飛ばされた。ルーチェが唖然として視線を動かすと、大きな金属板を持ったダンバルドが額から血を流して立っている。
「ダ、ダンバルドさん……!」
「あの男はゴーレムだったとは……。本当に貴方は淫乱以外の何者でもないのですね」
「……どういうことですか?」
そう何度も淫乱呼ばわりされたルーチェは、我慢できないと言わんばかりに唇をギュッと噛んでダンバルドを睨み付けるのだった。
ダンバルドの屋敷の門番は声を張り上げるが、ディアマンテは無言だった。鼻をスンスンと動かし周囲を見回して「……ここだ」と静かに呟く。
「誰だと聞いているだろう!」
大きなディアマンテに少し怯える門番は、腰にあった剣を抜いて構える。それを見たディアマンテは、自分の持っている剣を門番と同じように持つ。
「そうか、そうやってこの武器を持てばよいのか……。参考になった」
「はあ? お前何を言っている……? そうか、図体がデカいだけで素人だな!」
門番は高笑いをしながらディアマンテに向かって剣を振り下ろす。しかしその剣はディアマンテに素手で止められる。
「そうか、これを振りかざしてこうか?」
ザシュッと鋭い音が響き、門番の身体がいとも簡単に真っ二つになる。ゴトリと転がる死体を無感情な顔で見ているディアマンテは、数回振って剣に付着していた血を落とした。
「……興味深い。剣を手に持つとしっくりくる。俺は何処かで剣の使い方を学んだようだが、何処だったのだろうか?」
自分がジオンの息子の魂魄から作られたことを知らないディアマンテは、手に剣を握りしめて妖しく微笑む。これは得したと言いたげに。
「マスター、直ぐに迎えに行くぞ!」
大きな脅威を感じていない商人の家には屈強な門番などいない。たった一人の門番を排除すれば中まで簡単に入れた。
人間離れしたスピードで走るディアマンテは、あっという間に屋敷の扉の前に立ちドアをぶち破る。
「キャー!」と大声を上げて逃げ惑うメイド達。その内の一人を乱暴に捕まえ「マスターは何処だ?」と無表情で尋ねた。
「ま、マスター? (ダンバルド様?)あのお方なら地下の説教部屋に……」
「地下か……」
ディアマンテはメイドを解放して床を見つめる。地下と聞いて普通なら階段を探すのだが、もっと簡単に地下に向かえる術があった。
ドカッ ガラガラ バキバキと周囲に大きな砂埃が立ち、逃げ惑っていたメイド達が慌てて床にしゃがみ込む。地震でも起こったといった風だが、それが地震ではないことに全員直ぐに気が付いたようだ。床に大きな穴が空き、その前にディアマンテが立っていたのだから。
いとも簡単に床を拳で更に破壊するディアマンテは、地下の倉庫に落ちていく。着地した上は赤い実が入った箱だったようで、全身に赤い果汁が飛び散った。
もちろん無傷のディアマンテは、絶叫が聞こえる上階の騒ぎを無視して倉庫のドアを蹴破る。
「……マスターの甘い匂いがする。これは発情? 俺以外に発情するなんて、絶対に許せない!」
ダイヤモンドの瞳はシルバーから赤くなりギラギラと光り出す。顔は無表情だが長い銀髪は宙に舞い、蒸気が身体から湧き上がっている。一歩一歩が重く、石畳の床を破壊しながらディアマンテは甘い匂いがする方向に進むのだった。
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「な、何だ今の音は!」
ダンバルドはドーンいう地響きと何かがガラガラと崩れる音を聞き、驚いて部屋の入り口を瞬時に見た。
そんなダンバルドとは裏腹に、意識が朦朧としているルーチェは、ビクビクと小刻みに震えながら「んぅ! あぁぁぁ!」と嬌声を上げ続けている。
淫部に差し込まれた筆の先が当たる所に紙が置かれており、ルーチェの蜜壺から垂れてくる愛蜜で染みを作っていた。その染みはルーチェが声を上げるたびに大きく広がる。ルーチェの目はトロンとしており、明らかに何かを飲まされて強制的に発情状態のようだった。
「チッ、折角媚薬が効いてきて、これから犯しまくろうと思っていたのに……。何が起こったというのだ? 天災か……?」
ダンバルドが外の様子を確かめようと部屋のドアに手を掛けた瞬間、大きな破壊音とともにドアがダンバルド共々吹き飛ぶ。
「マスター、発情しているのか……?」
破壊した入り口から蒸気を漂わせながらディアマンテが入ってくる。しかしルーチェはビクビクと震えて快楽を味わうだけで返事をしない。ディアマンテは返事をしないルーチェをジッと見つめたまま近寄り、淫部に刺さった筆を冷めた目で見る。
「……これはマスターの趣向なのか? 新しい……。本には載っていなかった」
刺さっている筆をグリグリと動かし出すディアマンテは、そこからタラタラと垂れ出す愛蜜を啜る。与えられる更なる刺激に、激しく震えて痙攣するルーチェ。その様子を興味深そうに見ていたディアマンテは、筆を引き抜きルーチェの唇に激しく吸い付いた。
「ん、ふぅ……あぁ」
少し酸欠気味になったルーチェは、朦朧としていた意識が少しハッキリとしてくる。視点の定まらなかった視線も、徐々にある一点を見つめだしていく。そう、あのダイヤモンドのように光る瞳に。
「でぃ、ディアマン……テ?」
「……ああ、マスター。俺だ」
「ど、どうしたの? 身体中に真っ赤な……血飛沫!」
一階から飛び降りたときに着地した果実の箱の中身が付着しただけだが、見ようによっては血飛沫に見える。心臓が止まるほどに驚いて更に意識がハッキリとしてくるルーチェは、ディアマンテに怪我がないか身体中を探るように見て確認する。
「マスター、俺はゴーレムだが……? 怪我はしない」
「へえ、ゴーレムですか……」
背後から声がしたと思ったらドンっという大きな音とともに、ディアマンテが壁に投げ飛ばされた。ルーチェが唖然として視線を動かすと、大きな金属板を持ったダンバルドが額から血を流して立っている。
「ダ、ダンバルドさん……!」
「あの男はゴーレムだったとは……。本当に貴方は淫乱以外の何者でもないのですね」
「……どういうことですか?」
そう何度も淫乱呼ばわりされたルーチェは、我慢できないと言わんばかりに唇をギュッと噛んでダンバルドを睨み付けるのだった。
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