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第8章
挿話・17 誘惑と誘拐1
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その日、スピネルは第一王子エスメラルドと共に城下町へやって来ていた。いわゆるお忍びというやつだ。
目的は、民の暮らしを実際に目にする事での社会勉強。
王子は軒先に大きな腿肉をいくつもぶら下げた肉屋と何か話をしている。話し好きの店主らしく、ハムにするならどこ産の豚肉が良いだの、何やらあれこれと喋っている。
その近くにはちゃんと護衛の騎士と魔術師が控えているが、今日は特に頭が固く真面目な騎士が付いて来たので、スピネルは少々窮屈だった。
せっかく城下町まで来ているのだからもっと自由に見て回りたいし、商人以外の平民たちと話もしたい。
特に、同年代の女の子とだ。
スピネルは今年14歳になった。王子は2つ年下の12歳。
その王子はここ数年、かなり親しくしている少女がいる。性格は相当変わっているが見た目は可愛い。
まだ恋愛関係には程遠そうだが、なかなかお似合いに見える二人だ。
第一印象はあまり良くなさそうな出会いだったのだが、今思えば王子は最初から妙に彼女を気にしている様子だった。
それが少し不思議だったのだが、要するに好みのタイプだったんだろうなという結論になった。
スピネルには理解できない好みだ。彼女はまだ子供だというのもあるが、細すぎてあまりに頼りない。
自分はもっと大人っぽくて色気がある女がいい。
自分もそろそろ恋人が欲しい年頃である。
女の子に興味もあるし、年下の王子に先を越されるのはちょっと面白くない。
できれば先に恋人を作りたいが、次兄のレグランドからは女には十分に気を付けろとよくよく言われていた。
スピネルは兄弟の中でもこの次兄と特に仲が良いのだが、次兄は実によく女からモテた。昔からいつも女の子に囲まれていたし、愛想が良いのでご婦人方からの受けも良かった。
本人もそれが楽しいらしくあちこちのご令嬢と遊び回っていたが、ある時それで非常に痛い目に遭った。
学院で兄に恋をしたとあるご令嬢といつものように付き合ったのだが、実はそのご令嬢には親が決めた婚約者が既にいたのである。
兄はその事を知らなかったし、そのご令嬢は幾人もいる「親しい女性」の一人でしかなかったので、当然すぐに身を引こうとした。
だが、激怒した婚約者の方が兄に決闘を申し込んだので話がややこしくなった。
挑まれた決闘を避けるのは騎士の沽券に関わる。なので仕方なくそれを受けたが、うっかり相手を叩きのめしてしまった。
少々やりすぎたと思った兄は、ご令嬢と婚約者の男に「これからは二人で仲良くしてほしい」と言ったらしいのだが、それで収まる訳もない。
結果として、兄が己のために戦ってくれたのだと信じていたご令嬢、負けてしまった婚約者、その両方から恨みを買うことになった。
この二人があれこれ言って回ったために、学院での兄の評判も著しく下がったらしい。
兄はこの一件が原因で、決まりかけていた侯爵家への婿養子の話が立ち消えになった。
父や母からは厳しく叱責を受け、罰として長期休みの間ずっと実家の騎士団の下働きをさせられたりしていた。
まあ、転んでもただでは起きない兄はその後で近衛騎士団の試験を受けてあっさり合格し、「身を固めるよりこっちの方が気楽でいい」などと言っていたのだが。
その次兄の影響を大いに受けて育ったスピネルもまた、昔から女の子が好きだった。
実際結構モテているが、次兄の失敗を見て少々慎重になることにした。
自分は第一王子の従者という立場もあるし、迂闊な事はできない。
従者になって以来こちらに寄ってくる貴族のご令嬢はさらに増えたが、あまり積極的に来られるのは下心が透けて見える気がしてどうも好きではない。
かと言ってこちらから寄って行くと、軽い気持ちでも変に勘違いされたりするので面倒だ。
勘違いしているのが本人だけならまだ良いが、その親がしゃしゃり出て来る事がままあるので困る。もっと気楽に付き合えないものかと思う。
従者の自分でこれなのだから王子はさぞや大変な事になるだろうと思っていたら、案外あっさりと良さそうな相手が見つかっているのだから不公平だ。
彼女は本人も親も特にがっついたりしていないし、気の置けないほのぼのとした付き合いをしている。
別に羨ましくなどないが、不公平だ。
だから近頃は貴族以外の女性に目を向けていて、城にいる若いメイドなどと親しくしている。
向こうもこちらが遊びだと分かっているから気が楽だ。
特によく部屋の掃除にやって来るアンヌあたりとは良い感じの仲だ。まだ深い関係にはなっていないが興味はある。向こうも満更ではなさそうだし。
そんな事を考えながら通りを眺めていると、少し離れた所で一人の少女がウロウロとしているのが見えた。
栗色の巻毛は艶があり、肌は白いし身なりは整っている。どこかの豪商の娘か、あるいはお忍びの貴族と言った雰囲気だ。
歳はスピネルよりも2つ3つ年上くらいだろうか。胸元も腰周りもむっちりとして、肉付きが良い。
その少女は何か困ったようにおろおろとした様子で辺りを見回していた。助けを求めているように見える。
スピネルはちらりと後ろを振り返る。
王子は肉屋の隣のパン屋に移動する所のようだ。目が合ったので「俺はいい」という意味で首を振っておく。
護衛も王子に付いて行ったのでちょうどいい。スピネルは少女の方へと近付いた。
「どうしたんだ、お嬢さん?」
そう声をかけると、少女がスピネルの方を振り向いた。
少し垂れた目元には泣きぼくろがあって色っぽい。好みのタイプだ。
「あの、連れに怪我人がいるんだけど、急に傷が痛み出したみたいで…一体どうしたら良いか…」
「怪我人?どうして?」
「王都に来る途中で魔獣に襲われて、馬車の御者が怪我をしたの。ええと、ここには私とお父さんとで商談に来たんだけど、その途中で…。手当てはしたし、大丈夫そうだったからお父さんは商談に行っちゃったんだけど、さっきから急に…」
という事は、やはり商人の娘か。
毒を持つ魔獣にやられた傷は、その場では何ともなくても後になってから突然悪化する場合がある。
「力になれるかも知れない。怪我人を見せてくれ」
騎士として簡単な救護術は知っているし、初級の治癒や毒消しの魔術も使える。
手に負えそうになければ急いで医者を呼んでくればいい。
そう申し出たスピネルに、少女の顔がぱっと明るくなった。
「あ、ありがとう…!こっちよ、付いて来て」
少女の案内で横道へと入っていくと、少し進んだ先に馬車が停められているのが見えた。
「あそこよ。今はあの荷台の中で休んでいるの」
「分かった」
荷台に近付き、幌を持ち上げて中を覗こうとする。
その瞬間、ふらりと意識が揺れた。みるみる目の前が暗くなっていく。
しまったと思うのと同時に、スピネルの身体は大きく前へと傾いた。
目的は、民の暮らしを実際に目にする事での社会勉強。
王子は軒先に大きな腿肉をいくつもぶら下げた肉屋と何か話をしている。話し好きの店主らしく、ハムにするならどこ産の豚肉が良いだの、何やらあれこれと喋っている。
その近くにはちゃんと護衛の騎士と魔術師が控えているが、今日は特に頭が固く真面目な騎士が付いて来たので、スピネルは少々窮屈だった。
せっかく城下町まで来ているのだからもっと自由に見て回りたいし、商人以外の平民たちと話もしたい。
特に、同年代の女の子とだ。
スピネルは今年14歳になった。王子は2つ年下の12歳。
その王子はここ数年、かなり親しくしている少女がいる。性格は相当変わっているが見た目は可愛い。
まだ恋愛関係には程遠そうだが、なかなかお似合いに見える二人だ。
第一印象はあまり良くなさそうな出会いだったのだが、今思えば王子は最初から妙に彼女を気にしている様子だった。
それが少し不思議だったのだが、要するに好みのタイプだったんだろうなという結論になった。
スピネルには理解できない好みだ。彼女はまだ子供だというのもあるが、細すぎてあまりに頼りない。
自分はもっと大人っぽくて色気がある女がいい。
自分もそろそろ恋人が欲しい年頃である。
女の子に興味もあるし、年下の王子に先を越されるのはちょっと面白くない。
できれば先に恋人を作りたいが、次兄のレグランドからは女には十分に気を付けろとよくよく言われていた。
スピネルは兄弟の中でもこの次兄と特に仲が良いのだが、次兄は実によく女からモテた。昔からいつも女の子に囲まれていたし、愛想が良いのでご婦人方からの受けも良かった。
本人もそれが楽しいらしくあちこちのご令嬢と遊び回っていたが、ある時それで非常に痛い目に遭った。
学院で兄に恋をしたとあるご令嬢といつものように付き合ったのだが、実はそのご令嬢には親が決めた婚約者が既にいたのである。
兄はその事を知らなかったし、そのご令嬢は幾人もいる「親しい女性」の一人でしかなかったので、当然すぐに身を引こうとした。
だが、激怒した婚約者の方が兄に決闘を申し込んだので話がややこしくなった。
挑まれた決闘を避けるのは騎士の沽券に関わる。なので仕方なくそれを受けたが、うっかり相手を叩きのめしてしまった。
少々やりすぎたと思った兄は、ご令嬢と婚約者の男に「これからは二人で仲良くしてほしい」と言ったらしいのだが、それで収まる訳もない。
結果として、兄が己のために戦ってくれたのだと信じていたご令嬢、負けてしまった婚約者、その両方から恨みを買うことになった。
この二人があれこれ言って回ったために、学院での兄の評判も著しく下がったらしい。
兄はこの一件が原因で、決まりかけていた侯爵家への婿養子の話が立ち消えになった。
父や母からは厳しく叱責を受け、罰として長期休みの間ずっと実家の騎士団の下働きをさせられたりしていた。
まあ、転んでもただでは起きない兄はその後で近衛騎士団の試験を受けてあっさり合格し、「身を固めるよりこっちの方が気楽でいい」などと言っていたのだが。
その次兄の影響を大いに受けて育ったスピネルもまた、昔から女の子が好きだった。
実際結構モテているが、次兄の失敗を見て少々慎重になることにした。
自分は第一王子の従者という立場もあるし、迂闊な事はできない。
従者になって以来こちらに寄ってくる貴族のご令嬢はさらに増えたが、あまり積極的に来られるのは下心が透けて見える気がしてどうも好きではない。
かと言ってこちらから寄って行くと、軽い気持ちでも変に勘違いされたりするので面倒だ。
勘違いしているのが本人だけならまだ良いが、その親がしゃしゃり出て来る事がままあるので困る。もっと気楽に付き合えないものかと思う。
従者の自分でこれなのだから王子はさぞや大変な事になるだろうと思っていたら、案外あっさりと良さそうな相手が見つかっているのだから不公平だ。
彼女は本人も親も特にがっついたりしていないし、気の置けないほのぼのとした付き合いをしている。
別に羨ましくなどないが、不公平だ。
だから近頃は貴族以外の女性に目を向けていて、城にいる若いメイドなどと親しくしている。
向こうもこちらが遊びだと分かっているから気が楽だ。
特によく部屋の掃除にやって来るアンヌあたりとは良い感じの仲だ。まだ深い関係にはなっていないが興味はある。向こうも満更ではなさそうだし。
そんな事を考えながら通りを眺めていると、少し離れた所で一人の少女がウロウロとしているのが見えた。
栗色の巻毛は艶があり、肌は白いし身なりは整っている。どこかの豪商の娘か、あるいはお忍びの貴族と言った雰囲気だ。
歳はスピネルよりも2つ3つ年上くらいだろうか。胸元も腰周りもむっちりとして、肉付きが良い。
その少女は何か困ったようにおろおろとした様子で辺りを見回していた。助けを求めているように見える。
スピネルはちらりと後ろを振り返る。
王子は肉屋の隣のパン屋に移動する所のようだ。目が合ったので「俺はいい」という意味で首を振っておく。
護衛も王子に付いて行ったのでちょうどいい。スピネルは少女の方へと近付いた。
「どうしたんだ、お嬢さん?」
そう声をかけると、少女がスピネルの方を振り向いた。
少し垂れた目元には泣きぼくろがあって色っぽい。好みのタイプだ。
「あの、連れに怪我人がいるんだけど、急に傷が痛み出したみたいで…一体どうしたら良いか…」
「怪我人?どうして?」
「王都に来る途中で魔獣に襲われて、馬車の御者が怪我をしたの。ええと、ここには私とお父さんとで商談に来たんだけど、その途中で…。手当てはしたし、大丈夫そうだったからお父さんは商談に行っちゃったんだけど、さっきから急に…」
という事は、やはり商人の娘か。
毒を持つ魔獣にやられた傷は、その場では何ともなくても後になってから突然悪化する場合がある。
「力になれるかも知れない。怪我人を見せてくれ」
騎士として簡単な救護術は知っているし、初級の治癒や毒消しの魔術も使える。
手に負えそうになければ急いで医者を呼んでくればいい。
そう申し出たスピネルに、少女の顔がぱっと明るくなった。
「あ、ありがとう…!こっちよ、付いて来て」
少女の案内で横道へと入っていくと、少し進んだ先に馬車が停められているのが見えた。
「あそこよ。今はあの荷台の中で休んでいるの」
「分かった」
荷台に近付き、幌を持ち上げて中を覗こうとする。
その瞬間、ふらりと意識が揺れた。みるみる目の前が暗くなっていく。
しまったと思うのと同時に、スピネルの身体は大きく前へと傾いた。
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