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最終部:タワー・オブ・バベル
その335 器
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<バベルの塔:74階>
ビューリックの吐き捨て村を越えたレイド達は、少しの休憩の後、礼拝堂からの転移陣で74階へ移動した。転移先はダンジョンのような迷路ではなく、広々とした空間だった。
「なんだか見たことがありますね」
「こ、こら、離せよ! カイムも見てないで何とか言え!」
「羨ましい」
「そうじゃないよ!?」
フレーレがユウリの腕を掴んだまま、口に指を当ててキョロキョロと見渡していると、レイドとエリックが静かに口を開いた。
「見覚えがあって当然だな。ここは、ビューリックの地下にあった闘技場に良く似ている」
「そうだねー。ちょっとこっちの方が広い気がするけど、観客席まで再現しているとは驚きだ。さて――」
エリックがすぅっと息を吸い、大声で薄暗い闘技場に向けて叫んだ。
「僕達はデダイトから話を聞いている! 居るんだろうー? 出てきなよ」
エリックの声に呼応するかのように、奥からやせ細った陰気な男が姿を現す。それは見紛うはずもない、ビューリック元国王であったゴナティソであった。
【……ひっひっひ……久しいなエリック。貴様にやられた刺し傷が疼くわ】
「そりゃ良かった。そのまま化けて出てこなければ尚良かったのにねー」
【ふん。減らず口は相変わらずじゃのう、ところでわしの国は今どうなっておるのじゃ? ん?】
「……国の心配をするより、自分の心配をした方がいいんじゃないか? この人数に勝てるとは思えないがな」
ノゾムが腕組みをしながら言うと、肩で笑いながらレイド達を一瞥した。
【ひい、ふう、みい……それに女神二人か。ひっひ……むしろそれでよくここまで来たのう。じゃが、ここで貴様等は終わりじゃ! 女神を捕えてその力を奪い、神裂へリベンジを果たす。女は殺さん。わしのおもちゃになってもらおうかのう】
ゴナティソが嫌な手つきを女性陣に向けると、フレーレがユウリの後ろから激怒していた。
「へ、変態さんには罰が下るといいんです! さ、エクソリアさん! やっちゃいましょう!」
『やれやれ……女神の扱いが雑になってきていないかい? 言われなくてもきっちり倒しておくよ』
【んー、威勢がいいわい。喘ぎ声はどうか楽しみ……む、お主……まさか……】
「?」
フレーレを見て目を見開くゴナティソ。
【あの時は逃したが、娘がわざわざやってきてくれるとはのう! 月並みじゃが、ここで貴様等は終わりじゃ! わしの糧になるがいい!】
ゴゴゴゴ……
「地面が揺れている?」
カルエラートが前衛に回り込み、ゴナティソが暗闇の中へと消える。一言呟いた後、地面が大きく裂けた!
「これは……! あの時の三つ首の魔物か!」
暗闇の中から出てきたのは、ビューリック最後の戦いで現れたケルベロスだった。しかし今度は全身が真っ黒の体毛に覆われている。
【ふわぁっはっはっは!! その通りじゃ! あの時のケルベロスを強化し、さらにはわしと融合することで飛躍的な進化を遂げた! その力を身を持って味わえ!】
クォォォン!
ゴァァァ!
シャァァァァ!
「気をつけろ、こいつはブレスで攻撃してくるぞ!」
レイドの助言通り、三匹の頭がそれぞれ炎・氷・電撃のブレスを吐いてきた。だが、全員が広範囲に渡って散り、ダメージを受けた者は居なかった。
そこへゴナティソベロスは、エリックに狙いを定めて襲いかかる。
【ふほほほほ! 逃げ惑え! この巨体、この力を見たか! あの時殺された恨み、今こそ晴らしてやるわい!】
ガキン!
「甘いね。僕だって遊んでいた訳じゃない。返り討ちにしてやるよー?」
正面の頭からの攻撃を受け止め、挑発するように言い放つエリック。それが気にいらないゴナティソがこめかみに青筋を立てて残りの首に指示を出した。
【しゃらくさい! 三方向からはかわせまい! 死ね! ……む? 何故動かん……!?】
「おいおい、こっちは人数がいっぱいいるんだ。エリックとだけ遊んでるのはちょっとずるいな」
「お初にお目にかかる、ビューリックの『元』王よ。俺の名はヴァイゼ。元魔王でルーナの父だ。ルーナが世話になったらしいな」
エリックに襲いかかろうとした二本の首は、レイドとヴァイゼがそれぞれ食い止めていた。さらにレイドが言葉を続ける。
「そうそう、お前がこんなアホな王じゃ無ければルーナがエリックに誘拐されることも無かったんだよな。あの時はエリックにトドメを譲ったけど、俺もギタギタにしてやりたかったんだ。というわけで、晴らさせてもらうぞ! 真空烈破ぁ!」
「娘の仇だ、死んでもらう。煉獄剣・無惨」
ドシュ! バシャ! ドブシュ!
ギュオォォォォ!!
グガアァァァァァ!?
左と右の首が二人の攻撃を受け、血しぶきを上げる。エリックもすかさず正面の首を押し返すと、ゴナティソが距離を取った。
【ルーナの……娘の仇だと!? 待て! 死んでおらんじゃ――】
ターン……
「距離が離れたら私の出番ね。久しぶりにスナイパーとしての動きが出来るわね」
アイリが放ったライフル弾はゴナティソの肩を撃ち抜いた。
【ぐぬう……異世界の武器か!? わしの攻撃手段がケルベロスだけだと思うなよ≪紅蓮の嵐≫】
ゴォォォウ!
ゴナティソが放った炎の竜巻がフレーレやシルキー、セイラを狙う。だが、セイラが一歩前に出て魔法に対し、魔法で応戦した。
「ま、元国王がパワーアップしてもこんなものでしょうね≪ブリザーストーム≫!!」
ビュオゥ!
【竜巻が凍る!? 馬鹿な……馬鹿な馬鹿な! 融合したわしは無敵のハズじゃああああ! ならば人質としてくれる!】
激怒したゴナティソがセイラ達へ直接攻撃に出ると、今度はフレーレがメイスを持って躍り出た。
「そういえば頭が三つで体が一つだとご飯を食べる時と寝る時は別々なんですかね? それはともかく、わたしもルーナを助けるために色々苦労をさせられましたからね……聖魔光! フルスイング!」
ギャイン!?
正面の頭へメイスがヒットし、目を回すケルベロス。すかさず、ニールセンがその首を叩き落とした。
「私もお役に立ちませんとね! カイム殿!」
ニールセンの声で、カームとカイムが空からゴナティソへと襲いかかる。
「覚悟……!」
<おい、ヴィオーラの国王はどこだ?>
ガキン! カン!
カイムの刀を、伸ばした爪で返していると、カームが静かに質問をしていた。
【あやつはボスとして80階に居るわ! それを聞いてどうする? どうせ貴様等は先に進んでも――】
「……どうなるんだ?」
「悪い、カイム。こいつのトドメは俺が刺す」
「承知しました……!」
ゴナティソが言い終わる前に、レイドのセイクリッドセイバーがゴナティソの首を刎ねた……!
「終わったみたいだね。でかいほうが銃を当てるには楽なんだよな」
「そうね。ちょっと可哀相だけど、制圧させてもらうわね」
ダダダダダダ……
ターン! ターン!
グギャ!?
ガォォォン!?
「今回はこいつで我慢しよう。ふん!」
ザクン!
「久しぶりに登って来たんだ、一体くらい大物を倒させてくれ」
ヴァイゼの一撃とカルエラートの闇の剣が、残っていた首を切断しケルベロスは息絶えた。首だけとなったゴナティソが信じられないといった感じで叫ぶ。
【そ、そんな!? わしは強化されたはず……!? ケルベロスも確実に強くなっていたのに、何故じゃ……!?】
その言葉に、バステトが真顔で答えた。
<あんたはその器じゃなかったってことだにゃ。王としても、戦士としても。あんた達も協力して迎え撃って来れば良かったのにゃ。どうしても勝ちたいのなら、くだらないプライドは捨てるべきだったにゃ>
【ばか、な……わしは最強だと、言っておった! 嘘だったのか! 神裂ぃぃぃぃ! この世界は! そして魔王と女神の力を持ったルーナ……それとわしのものではなかったのか――】
ボヒュ……
切断された首は、恨みごとを吐きながら灰となって消えた。
ビューリックの吐き捨て村を越えたレイド達は、少しの休憩の後、礼拝堂からの転移陣で74階へ移動した。転移先はダンジョンのような迷路ではなく、広々とした空間だった。
「なんだか見たことがありますね」
「こ、こら、離せよ! カイムも見てないで何とか言え!」
「羨ましい」
「そうじゃないよ!?」
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「僕達はデダイトから話を聞いている! 居るんだろうー? 出てきなよ」
エリックの声に呼応するかのように、奥からやせ細った陰気な男が姿を現す。それは見紛うはずもない、ビューリック元国王であったゴナティソであった。
【……ひっひっひ……久しいなエリック。貴様にやられた刺し傷が疼くわ】
「そりゃ良かった。そのまま化けて出てこなければ尚良かったのにねー」
【ふん。減らず口は相変わらずじゃのう、ところでわしの国は今どうなっておるのじゃ? ん?】
「……国の心配をするより、自分の心配をした方がいいんじゃないか? この人数に勝てるとは思えないがな」
ノゾムが腕組みをしながら言うと、肩で笑いながらレイド達を一瞥した。
【ひい、ふう、みい……それに女神二人か。ひっひ……むしろそれでよくここまで来たのう。じゃが、ここで貴様等は終わりじゃ! 女神を捕えてその力を奪い、神裂へリベンジを果たす。女は殺さん。わしのおもちゃになってもらおうかのう】
ゴナティソが嫌な手つきを女性陣に向けると、フレーレがユウリの後ろから激怒していた。
「へ、変態さんには罰が下るといいんです! さ、エクソリアさん! やっちゃいましょう!」
『やれやれ……女神の扱いが雑になってきていないかい? 言われなくてもきっちり倒しておくよ』
【んー、威勢がいいわい。喘ぎ声はどうか楽しみ……む、お主……まさか……】
「?」
フレーレを見て目を見開くゴナティソ。
【あの時は逃したが、娘がわざわざやってきてくれるとはのう! 月並みじゃが、ここで貴様等は終わりじゃ! わしの糧になるがいい!】
ゴゴゴゴ……
「地面が揺れている?」
カルエラートが前衛に回り込み、ゴナティソが暗闇の中へと消える。一言呟いた後、地面が大きく裂けた!
「これは……! あの時の三つ首の魔物か!」
暗闇の中から出てきたのは、ビューリック最後の戦いで現れたケルベロスだった。しかし今度は全身が真っ黒の体毛に覆われている。
【ふわぁっはっはっは!! その通りじゃ! あの時のケルベロスを強化し、さらにはわしと融合することで飛躍的な進化を遂げた! その力を身を持って味わえ!】
クォォォン!
ゴァァァ!
シャァァァァ!
「気をつけろ、こいつはブレスで攻撃してくるぞ!」
レイドの助言通り、三匹の頭がそれぞれ炎・氷・電撃のブレスを吐いてきた。だが、全員が広範囲に渡って散り、ダメージを受けた者は居なかった。
そこへゴナティソベロスは、エリックに狙いを定めて襲いかかる。
【ふほほほほ! 逃げ惑え! この巨体、この力を見たか! あの時殺された恨み、今こそ晴らしてやるわい!】
ガキン!
「甘いね。僕だって遊んでいた訳じゃない。返り討ちにしてやるよー?」
正面の頭からの攻撃を受け止め、挑発するように言い放つエリック。それが気にいらないゴナティソがこめかみに青筋を立てて残りの首に指示を出した。
【しゃらくさい! 三方向からはかわせまい! 死ね! ……む? 何故動かん……!?】
「おいおい、こっちは人数がいっぱいいるんだ。エリックとだけ遊んでるのはちょっとずるいな」
「お初にお目にかかる、ビューリックの『元』王よ。俺の名はヴァイゼ。元魔王でルーナの父だ。ルーナが世話になったらしいな」
エリックに襲いかかろうとした二本の首は、レイドとヴァイゼがそれぞれ食い止めていた。さらにレイドが言葉を続ける。
「そうそう、お前がこんなアホな王じゃ無ければルーナがエリックに誘拐されることも無かったんだよな。あの時はエリックにトドメを譲ったけど、俺もギタギタにしてやりたかったんだ。というわけで、晴らさせてもらうぞ! 真空烈破ぁ!」
「娘の仇だ、死んでもらう。煉獄剣・無惨」
ドシュ! バシャ! ドブシュ!
ギュオォォォォ!!
グガアァァァァァ!?
左と右の首が二人の攻撃を受け、血しぶきを上げる。エリックもすかさず正面の首を押し返すと、ゴナティソが距離を取った。
【ルーナの……娘の仇だと!? 待て! 死んでおらんじゃ――】
ターン……
「距離が離れたら私の出番ね。久しぶりにスナイパーとしての動きが出来るわね」
アイリが放ったライフル弾はゴナティソの肩を撃ち抜いた。
【ぐぬう……異世界の武器か!? わしの攻撃手段がケルベロスだけだと思うなよ≪紅蓮の嵐≫】
ゴォォォウ!
ゴナティソが放った炎の竜巻がフレーレやシルキー、セイラを狙う。だが、セイラが一歩前に出て魔法に対し、魔法で応戦した。
「ま、元国王がパワーアップしてもこんなものでしょうね≪ブリザーストーム≫!!」
ビュオゥ!
【竜巻が凍る!? 馬鹿な……馬鹿な馬鹿な! 融合したわしは無敵のハズじゃああああ! ならば人質としてくれる!】
激怒したゴナティソがセイラ達へ直接攻撃に出ると、今度はフレーレがメイスを持って躍り出た。
「そういえば頭が三つで体が一つだとご飯を食べる時と寝る時は別々なんですかね? それはともかく、わたしもルーナを助けるために色々苦労をさせられましたからね……聖魔光! フルスイング!」
ギャイン!?
正面の頭へメイスがヒットし、目を回すケルベロス。すかさず、ニールセンがその首を叩き落とした。
「私もお役に立ちませんとね! カイム殿!」
ニールセンの声で、カームとカイムが空からゴナティソへと襲いかかる。
「覚悟……!」
<おい、ヴィオーラの国王はどこだ?>
ガキン! カン!
カイムの刀を、伸ばした爪で返していると、カームが静かに質問をしていた。
【あやつはボスとして80階に居るわ! それを聞いてどうする? どうせ貴様等は先に進んでも――】
「……どうなるんだ?」
「悪い、カイム。こいつのトドメは俺が刺す」
「承知しました……!」
ゴナティソが言い終わる前に、レイドのセイクリッドセイバーがゴナティソの首を刎ねた……!
「終わったみたいだね。でかいほうが銃を当てるには楽なんだよな」
「そうね。ちょっと可哀相だけど、制圧させてもらうわね」
ダダダダダダ……
ターン! ターン!
グギャ!?
ガォォォン!?
「今回はこいつで我慢しよう。ふん!」
ザクン!
「久しぶりに登って来たんだ、一体くらい大物を倒させてくれ」
ヴァイゼの一撃とカルエラートの闇の剣が、残っていた首を切断しケルベロスは息絶えた。首だけとなったゴナティソが信じられないといった感じで叫ぶ。
【そ、そんな!? わしは強化されたはず……!? ケルベロスも確実に強くなっていたのに、何故じゃ……!?】
その言葉に、バステトが真顔で答えた。
<あんたはその器じゃなかったってことだにゃ。王としても、戦士としても。あんた達も協力して迎え撃って来れば良かったのにゃ。どうしても勝ちたいのなら、くだらないプライドは捨てるべきだったにゃ>
【ばか、な……わしは最強だと、言っておった! 嘘だったのか! 神裂ぃぃぃぃ! この世界は! そして魔王と女神の力を持ったルーナ……それとわしのものではなかったのか――】
ボヒュ……
切断された首は、恨みごとを吐きながら灰となって消えた。
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