265 / 377
最終部:タワー・オブ・バベル
その286 独白
しおりを挟む
ヒュイン……
転移陣から抜け出た私とレイドさんの前に、先に出ていたみんなが武器を構えて一点を見つめる。足元には銃のようなものが真っ二つになって転がっており、お父さんかパパが壊したのだろうと思う。弾丸もそこらじゅうに落ちていた。
「こっちにはノゾムがいるってのに随分な歓迎だな」
「あはははは! それでもしっかり対応してくるんだから流石だよ! ノゾムが助けにきてくれたのは感謝しているけど、捕まっちゃったらねえ? 安全のため一緒に始末しないとさ」
「……もしお前が捕まっていたら俺も同じことをしただろう……俺達はそういう環境で生きて来たからな……」
『平和な日本でそんなことがあると思えないんだけど……』
エクソリアさんがノゾムの言葉に対して疑問を口にすると、少し高い建物の上にいるユウリが銃を構えて私達に言う。
「あはは、そういうのはいいよ。それじゃ、やるかい?」
「待って。私はノゾム兄さんを助けたい、この人達を倒しても父さんと私達三人が一緒じゃないと……」
スッと、女の子も構えを解くと、レイドさんが口を開いた。
「お前達はともかく、悪いが神裂は倒させてもらう。この世界を破壊しようとしているやつを許す訳にはいかないからな。ノゾムを助けたいと思う心があるなら、ここを通してくれないだろうか?」
「あはは、そんなことをすると思うかい? アイリ、嫌なら動かなくていいよ? 僕一人で殺すさ。ノゾムも一緒に、だけどね」
「仲間でしょ!?」
私が叫ぶと、ユウリは鼻で笑いながら私に言う。
「まあ、僕達は父さんのおかげで兄妹みたいに育てられたけど、本当の兄妹じゃないし、君達を殺せば父さんの役に立てると思えばノゾム一人くらい仕方ないかな?」
ノゾムとアイリという女の子はまだ言葉が通用しそうだけど、ユウリはダメだ。本当に自分のやりたいようにしか考えられないのか、ノゾムを見捨てるつもりみたい。すると、ノゾムがおもむろに口を開いた。
「……お前が一番過酷だったから無理もない……だが、そうなってしまったのは俺にも責任がある……」
「どういうことだ?」
お父さんが尋ねると、目を瞑り、深呼吸してから、自分たちの境遇を語り始めた。
「そこの女神が言うとおり、俺達は日本という平和な国で暮らしていた。そうだな……俺は6歳、アイリとユウリは5歳かそこらだったろう」
「……ノゾム兄さん?」
アイリが不思議そうな顔でノゾムの名を呼ぶも、気にした風も無く話を続ける。
「……俺の両親は海外で仕事をする人達でな、クリスマスは家族で過ごそうと俺は飛行機で中東から日本へ母親と向かっていた」
「ヒコウキ? チュウトウ……?」
海外以外の言葉はまるで理解ができず、私は単語を口走っていた。
『後で説明してあげるから、今は気にしないで』
『それで……?』
「離陸してから数十分……そんな時、事件は起きた。俺の……俺達の乗った飛行機が、墜落した……」
「墜落……ってことは空を飛ぶ何かに乗っていたのかしら?」
ママの言葉に頷いてから言葉を続けるノゾム。
「その通りだ。後から知ったことだが、あれは事故ではなく、テロリストの仕業だったらしい。テロリストというのはこの世界で言うなら盗賊が一番近い。後は飛行機に偉い人が乗っていた、という話もあったが……墜落した飛行機は爆発を免れたものの、バラバラ。俺は生き延びることができたが、庇ってくれた両親は……」
――言葉を詰まらせるが、庇って亡くなったのだというのは容易に想像できた。運が良かったのもあるのだろうけど、この後の話は不運が続いていくという言葉以外見つからない酷いものだった。
「しばらくして、人が集まってきた。両親も死に自分もこのまま死ぬかもしれない、そう思った矢先だったからこれで助かると子供ながらホッとしたもんだ。だが現実は甘くなかった。現れたのは飛行機を墜としたテロリストたちだった。生き残った人は彼等に連れ去られた。その中に、アイリとユウリもいた、そういうことだ」
「……私は小さかったし、ショックだったから良く覚えていない……」
「ふん、今更そんな話をして何になるんだよ。くだらない……!」
悲しそうに言う、アイリと対称的にさっきまで笑っていた顔を怒りの表情に変えて吐き捨てるユウリ。
「……大人は人質、もしくは見せしめに殺害。子供は……俺達は……テロリストの道具へと変えられていったんだ……」
「道具?」
「ああ、子供を戦争の道具にしたんだ。俺達は銃を持たされ、ナイフの使い方などを教わった。何も分からないまま、撃って殺した。それに子供というだけで油断しやすいのもあるから、爆弾を詰めたリュックを持たされ、大勢の人の中で爆発させられた子も、いた……」
「ひ、酷過ぎるわ!? あ、もしかして死んだのはそのせい……?」
「いや、俺達は……」
ターン!
私の問いにノゾムが振り返ると、ユウリが銃を撃ってきた。
「昔話はもういいだろ! 僕達は死んだ、そしてここに来て父さんの役に立つ。それ以外に何か必要か? ……やっぱりもろとも殺すよ、ノゾム」
「……父さんは恩人だ。でも、この世界を破滅させることが俺には正しいとは思えない。確かに父さんはおかしなことをする人だったけど……真意を父さんに聞く必要があると思った。この世界を力で滅ぼすのは、俺達を苦しめたテロリストたちと何が違う?」
「うるさいうるさい! まずはお前から死ね!」
「……! ダメよ!」
激高したユウリの銃から、パーン、と乾いた音が響く。
だが銃は空を向いていた。横に居たアイリが咄嗟に体当たりをして逸らさせたようだった。
「この距離はユウリの思うつぼだ、一旦散開して様子見するぞ!」
「幸い建物もあるしね、こっちへ行くわ」
私達は広場から建物内へと移り、そっと窓からユウリ達を見ると、ユウリがアイリの首を掴みながら叫んでいた。
「邪魔をしたな! ……チッ、見ろ、隠れられたじゃないか。まあいいや。君も手伝ってよね、僕はノゾムだろうが異世界の人間だろうが見つけたら殺すことにしたよ」
「……きゃ!?」
アイリを叩きつけながら、ユウリはいいことを思いついたとばかりに口元をニヤリと歪めてアイリに言った。
「……そうだ! ノゾムを殺されたくなかったら、君が僕より早く異世界人を先に全部無効化しなよ! 運が良かったらノゾムが撃たれる前に終わるかもしれないね!」
「……くっ……」
「おっと、僕を撃とうだなんて馬鹿なことは辞めた方がいいよ? そうだね、とりあえず足を挫いときなよ」
ゴキッ!
「ああああ!?」
「大げさだなあ、折っちゃいないよ。どうせ狙撃しかできないんだ、いいだろそれで?(まだ君には使い道があるしね、あは♪)」
あいつ、本当に最悪だ……! ノゾム達の芝居かもしれないけど、体当たりで攻撃を反らしてノゾムを助けたのはあの子の良心だと思いたい。できれば助けたい!
それにはまず――
「お待たせ。鬼ごっこの始まりだよ! ルールは簡単さ、君達が全滅するか、僕が死ぬかだ!」
銃を乱射しながらユウリが私達に迫ってきた!
転移陣から抜け出た私とレイドさんの前に、先に出ていたみんなが武器を構えて一点を見つめる。足元には銃のようなものが真っ二つになって転がっており、お父さんかパパが壊したのだろうと思う。弾丸もそこらじゅうに落ちていた。
「こっちにはノゾムがいるってのに随分な歓迎だな」
「あはははは! それでもしっかり対応してくるんだから流石だよ! ノゾムが助けにきてくれたのは感謝しているけど、捕まっちゃったらねえ? 安全のため一緒に始末しないとさ」
「……もしお前が捕まっていたら俺も同じことをしただろう……俺達はそういう環境で生きて来たからな……」
『平和な日本でそんなことがあると思えないんだけど……』
エクソリアさんがノゾムの言葉に対して疑問を口にすると、少し高い建物の上にいるユウリが銃を構えて私達に言う。
「あはは、そういうのはいいよ。それじゃ、やるかい?」
「待って。私はノゾム兄さんを助けたい、この人達を倒しても父さんと私達三人が一緒じゃないと……」
スッと、女の子も構えを解くと、レイドさんが口を開いた。
「お前達はともかく、悪いが神裂は倒させてもらう。この世界を破壊しようとしているやつを許す訳にはいかないからな。ノゾムを助けたいと思う心があるなら、ここを通してくれないだろうか?」
「あはは、そんなことをすると思うかい? アイリ、嫌なら動かなくていいよ? 僕一人で殺すさ。ノゾムも一緒に、だけどね」
「仲間でしょ!?」
私が叫ぶと、ユウリは鼻で笑いながら私に言う。
「まあ、僕達は父さんのおかげで兄妹みたいに育てられたけど、本当の兄妹じゃないし、君達を殺せば父さんの役に立てると思えばノゾム一人くらい仕方ないかな?」
ノゾムとアイリという女の子はまだ言葉が通用しそうだけど、ユウリはダメだ。本当に自分のやりたいようにしか考えられないのか、ノゾムを見捨てるつもりみたい。すると、ノゾムがおもむろに口を開いた。
「……お前が一番過酷だったから無理もない……だが、そうなってしまったのは俺にも責任がある……」
「どういうことだ?」
お父さんが尋ねると、目を瞑り、深呼吸してから、自分たちの境遇を語り始めた。
「そこの女神が言うとおり、俺達は日本という平和な国で暮らしていた。そうだな……俺は6歳、アイリとユウリは5歳かそこらだったろう」
「……ノゾム兄さん?」
アイリが不思議そうな顔でノゾムの名を呼ぶも、気にした風も無く話を続ける。
「……俺の両親は海外で仕事をする人達でな、クリスマスは家族で過ごそうと俺は飛行機で中東から日本へ母親と向かっていた」
「ヒコウキ? チュウトウ……?」
海外以外の言葉はまるで理解ができず、私は単語を口走っていた。
『後で説明してあげるから、今は気にしないで』
『それで……?』
「離陸してから数十分……そんな時、事件は起きた。俺の……俺達の乗った飛行機が、墜落した……」
「墜落……ってことは空を飛ぶ何かに乗っていたのかしら?」
ママの言葉に頷いてから言葉を続けるノゾム。
「その通りだ。後から知ったことだが、あれは事故ではなく、テロリストの仕業だったらしい。テロリストというのはこの世界で言うなら盗賊が一番近い。後は飛行機に偉い人が乗っていた、という話もあったが……墜落した飛行機は爆発を免れたものの、バラバラ。俺は生き延びることができたが、庇ってくれた両親は……」
――言葉を詰まらせるが、庇って亡くなったのだというのは容易に想像できた。運が良かったのもあるのだろうけど、この後の話は不運が続いていくという言葉以外見つからない酷いものだった。
「しばらくして、人が集まってきた。両親も死に自分もこのまま死ぬかもしれない、そう思った矢先だったからこれで助かると子供ながらホッとしたもんだ。だが現実は甘くなかった。現れたのは飛行機を墜としたテロリストたちだった。生き残った人は彼等に連れ去られた。その中に、アイリとユウリもいた、そういうことだ」
「……私は小さかったし、ショックだったから良く覚えていない……」
「ふん、今更そんな話をして何になるんだよ。くだらない……!」
悲しそうに言う、アイリと対称的にさっきまで笑っていた顔を怒りの表情に変えて吐き捨てるユウリ。
「……大人は人質、もしくは見せしめに殺害。子供は……俺達は……テロリストの道具へと変えられていったんだ……」
「道具?」
「ああ、子供を戦争の道具にしたんだ。俺達は銃を持たされ、ナイフの使い方などを教わった。何も分からないまま、撃って殺した。それに子供というだけで油断しやすいのもあるから、爆弾を詰めたリュックを持たされ、大勢の人の中で爆発させられた子も、いた……」
「ひ、酷過ぎるわ!? あ、もしかして死んだのはそのせい……?」
「いや、俺達は……」
ターン!
私の問いにノゾムが振り返ると、ユウリが銃を撃ってきた。
「昔話はもういいだろ! 僕達は死んだ、そしてここに来て父さんの役に立つ。それ以外に何か必要か? ……やっぱりもろとも殺すよ、ノゾム」
「……父さんは恩人だ。でも、この世界を破滅させることが俺には正しいとは思えない。確かに父さんはおかしなことをする人だったけど……真意を父さんに聞く必要があると思った。この世界を力で滅ぼすのは、俺達を苦しめたテロリストたちと何が違う?」
「うるさいうるさい! まずはお前から死ね!」
「……! ダメよ!」
激高したユウリの銃から、パーン、と乾いた音が響く。
だが銃は空を向いていた。横に居たアイリが咄嗟に体当たりをして逸らさせたようだった。
「この距離はユウリの思うつぼだ、一旦散開して様子見するぞ!」
「幸い建物もあるしね、こっちへ行くわ」
私達は広場から建物内へと移り、そっと窓からユウリ達を見ると、ユウリがアイリの首を掴みながら叫んでいた。
「邪魔をしたな! ……チッ、見ろ、隠れられたじゃないか。まあいいや。君も手伝ってよね、僕はノゾムだろうが異世界の人間だろうが見つけたら殺すことにしたよ」
「……きゃ!?」
アイリを叩きつけながら、ユウリはいいことを思いついたとばかりに口元をニヤリと歪めてアイリに言った。
「……そうだ! ノゾムを殺されたくなかったら、君が僕より早く異世界人を先に全部無効化しなよ! 運が良かったらノゾムが撃たれる前に終わるかもしれないね!」
「……くっ……」
「おっと、僕を撃とうだなんて馬鹿なことは辞めた方がいいよ? そうだね、とりあえず足を挫いときなよ」
ゴキッ!
「ああああ!?」
「大げさだなあ、折っちゃいないよ。どうせ狙撃しかできないんだ、いいだろそれで?(まだ君には使い道があるしね、あは♪)」
あいつ、本当に最悪だ……! ノゾム達の芝居かもしれないけど、体当たりで攻撃を反らしてノゾムを助けたのはあの子の良心だと思いたい。できれば助けたい!
それにはまず――
「お待たせ。鬼ごっこの始まりだよ! ルールは簡単さ、君達が全滅するか、僕が死ぬかだ!」
銃を乱射しながらユウリが私達に迫ってきた!
0
お気に入りに追加
4,187
あなたにおすすめの小説
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
妹しか愛していない母親への仕返しに「わたくしはお母様が男に無理矢理に犯されてできた子」だと言ってやった。
ラララキヲ
ファンタジー
「貴女は次期当主なのだから」
そう言われて長女のアリーチェは育った。どれだけ寂しくてもどれだけツラくても、自分がこのエルカダ侯爵家を継がなければいけないのだからと我慢して頑張った。
長女と違って次女のルナリアは自由に育てられた。両親に愛され、勉強だって無理してしなくてもいいと甘やかされていた。
アリーチェはそれを羨ましいと思ったが、自分が長女で次期当主だから仕方がないと納得していて我慢した。
しかしアリーチェが18歳の時。
アリーチェの婚約者と恋仲になったルナリアを、両親は許し、二人を祝福しながら『次期当主をルナリアにする』と言い出したのだ。
それにはもうアリーチェは我慢ができなかった。
父は元々自分たち(子供)には無関心で、アリーチェに厳し過ぎる教育をしてきたのは母親だった。『次期当主だから』とあんなに言ってきた癖に、それを簡単に覆した母親をアリーチェは許せなかった。
そして両親はアリーチェを次期当主から下ろしておいて、アリーチェをルナリアの補佐に付けようとした。
そのどこまてもアリーチェの人格を否定する考え方にアリーチェの心は死んだ。
──自分を愛してくれないならこちらもあなたたちを愛さない──
アリーチェは行動を起こした。
もうあなたたちに情はない。
─────
◇これは『ざまぁ』の話です。
◇テンプレ [妹贔屓母]
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング〔2位〕(4/19)☆ファンタジーランキング〔1位〕☆入り、ありがとうございます!!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。