69 / 377
第五部:終わりの始まり
その91 フォルサとドラゴン
しおりを挟む
フレーレの倒したドラゴンゾンビから光が飛び出し、ふわっとフォルサとフレーレの前へ飛んできて止まる。
そして強く輝いた!
「わっ!」
「……」
次にフレーレが目を開けるとそこには黒い鱗を全身に纏ったドラゴンが立っていた。
しかし体は透けている。幽体というやつだ。
「手加減したとはいえこの俺を回復魔法で削りきるとはな。フォルサよ、これで良かったのか?」
喋る度に空気が震え、思わず耳を塞ぐフレーレ。だが、それよりも気になっていたことがあった。
構わずフォルサとドラゴンは話し続ける。
「え? 学院長……?」
「そうね、ありがとう。いい切っ掛けにはなったと思う。もう行くの?」
ドラゴンは目を細めて満足そうに頷き、今度はフレーレへと向き直る。
「悪くない魔法だったぞ、回復魔法であそこまで崩されるとは思わなかったわ! はっはっは! もっともお前には辛い事のようだがな」
目を逸らさず黙ってドラゴンの言葉を聞く。
「俺はお前ではないからその心は分からん。だが、回復魔法を捨てる事も出来たはずなのに、それでもまた使うとお前は決めた。辛い事を克服しようとする気持ちは必ず報われるだろうさ。ま、最初からそうだったりするんだが、後は自分次第だ! いつもうまくいくとは限らない、それが人間だろう? 回復魔法を使って死なせちまった負い目はあるだろうが結果的には生き返ったんだし、いいんだよそれはそれで。それでも前に進むのがお前達なんだろうが。俺なんか欲望に任せて暴れてたら討伐されちまったんだぞ? それに比べりゃお前は大したもんだって」
慰めてくれているのか、馬鹿にされているのか微妙な言葉を言い放つ黒いドラゴン。
それを聞いたフレーレの目には涙が浮かんでいた。
「あ、やべ泣かせちまったか!?」
「い、いえ……すいません。少し何か分かった気がします……」
「……ま、自分一人で背負いこむなってことだな。さて、そろそろ行くか」
「どこへ行くんですか?」
「ちょっと野暮用でな、俺の魂は別の世界へ送られるらしい。俺は退屈しなければなんでもいいけどな!」
死んだと言うのにあまり悲壮感が無いのはこのドラゴンの性格の寄る所なのか、それとも死んでも別の世界で生き返ることができるからという安全を確保されているからか。
「そうですか……」
「そんな顔をするな、おかげでアンデッドになりきらず済んだ。助かったぞ。そして頑張れよ、お前のやりたい事のために……ではなフォルサ」
「ああ」
フォルサがぶっきらぼうに答えると再び光の玉になり、洞窟の天井へと登って行く。
「そういえば名乗っていなかったな、俺はミナルーシュ、ブラックドラゴンに間違えられるが、ダークドラゴンのミナルーシュだ!」
「お元気で! ありがとうございました!」
「もう死んでるけどな! じゃあな!」
そのまま光は天井をすり抜けて行きやがて見えなくなった。
「逝ったわね……」
「学院長とミナルーシュさんはお知り合いだったんですか?」
「ええ」
それだけ言うとフォルサは踵を返して洞窟の入り口へとさっさと歩き出してしまった。手には残されたドラゴンの牙をもって。
「あ、待ってくださいよ!」
慌てて追いかけるフレーレ、そして外に出た時フォルサは語り始める。
「あいつは私の友達だったんだよ。君の知っての通り私は変わり者だ。そして強大な力があった。そんな私に友達が出来る訳もなかったが、そんな時同じく強大な力を持つミナルーシュと出会った」
フォルサが満月を背にしてフレーレへと向く。
「どんなに力を出しても壊れない彼は、本当に良い遊び相手だった。向こうも全力で遊んでくれるから気兼ねなく会いに行ったよ」
「遊び相手……」
全力で遊ぶ、イコール戦闘なのだろうが、ドラゴンとまともにぶつかる事を遊びと呼べるフォルサを、改めておかしいと思っていた。
「そんな時だ、彼が傷だらけで倒れているのを見つけたのは。聞けば調子にのって暴れていた所を人間に倒されたと。もちろん私は軽い気持ちでリザレクションをかけた。息はあったからこれで回復すると思っていた、だが……」
リザレクションは効果を発揮した。だが、それ以上に流した血の量が多すぎてすでに傷を塞いだ程度では助からないところまできていた。それほど致命傷だったという。回復魔法で傷は癒えるが流した血液や欠損した部位は戻って来ない。
そのため失った血、それもドラゴンに輸血なども存在しないので、しばらくした後に息を引き取ったのだ。
「学院長にそんな事があったなんて……何でも出来る人だと思っていました……」
「驚いた? 私だってこういうこともあるのよ、死なせてしまって大いに泣いたわ。 それから何とか繋ぎとめようとして、ドラゴンゾンビになってしまった。それからずっとあの洞窟に縛っていたの……」
「友達だったんでしょう? どうしてわたしに倒させる真似を……」
「頃合いだと思ったのよ、あのままにしておけばミナルーシュは自我を保てなくなる。ゾンビ化というのはそういうものなの。かといって情のある私が手を下すことは出来なかった。そこで君を利用させてもらったのよ」
恐らく嘘だろうとフレーレは考えていた。その気になればこの人は何とでもするだろう。でもわたしの為にミナルーシュを成仏させたのだと直感で思った。
「……おかげで少しは使えるようになりました、お二人には何と言っていいか……」
「いいのよ。でもこれでスッキリしたわ、あの様子なら彼も違う世界で楽しくやってくれるでしょう! 次は私の番ね、そして明日は最終日……君には聖魔光と、リザレクションを習得してもらうわね♪」
「え? ……ええ!? そんな無茶をまた……いえ、無茶ではないんですね」
「そうよ、自分を信じなさい。私は出来ない事は言わない。それが私の答えよ」
「分かりました。明日は……必ずやり遂げて見せます」
決意の表情をしたフレーレが強くうなずいていた。
「(君と私は良く似ている……だから……)」
---------------------------------------------------
そしていよいよ最終日。
朝食を手早く済ますと、二人は外に出る。
「さ、今日が最終日だ。まずは聖魔光の基本を教えるわね」
「は、はい!」
聖魔光……フォルサが編み出したというその技は魔力と回復魔法等の神聖な力を合わせて作り出されると言うのだ。
聖魔のバランスをどちらかに寄せれば、通常の魔物や人間に対してもアンデッドに対しても効果が得られると言う
「イメージは粘土や絵の具を混ぜる感じで魔力と神聖力を同時に集中するのよ。魔力は一昨日上げたからバランスは取れているハズだけど……」
「そのために底をつくまでマジックアローを使わせたんですね……」
呆れながら目を瞑って集中する。ノウハウは先ほど聞いたことでだいたいのイメージが出来ていた。
やがて手に金色の光を作る事に成功する。
「で、できた! できましたよ学院長! きゃあ!?」
ボン! と気持ちのいい音を立てて、金の光は爆発する。集中を切らしたせいであった。
顔が真っ黒になり、タオルを貰おうとフォルサの所へ行くとジャンナと談笑していた。
「なるほど。君の女神の力は勇気なのね、あの子がお守り代わりにするのも分かるわね」
<ぴー。昔のフレーレはどうだったの? あの子あたしに似てるのよね>
「私にも似ているのよ? 子供の頃に色々あったからね、私もあの子も……」
<あたしは親とか居たけど、ちょっとね……>
何だか二人(?)して遠い目をしているので声をかけづらかったが、とりあえず成功した事とタオルを貰いにフォルサへと話しかけるフレーレだった。
「あら、もうできたの? 流石ね。後はそれを繰り返し練習すればいいわ、攻撃にも守りにも転じれるから応用は君次第ね」
「え、それだけですか? てっきり必殺技みたいなのをやるのかと……」
「私が始祖だからねえ……そうだ、ちょっと私と戦ってみましょうか。何か私もつかめるかもしれないし!」
「ええ……流石にそれはわたしの命が危ない気がしますけど……」
「大丈夫よ。(多分)ルールは回復魔法ありの聖魔光を使っての戦いよ、ジャンナは30分計測をお願いね」
<ぴー。分かったわ>
「今、多分って言いませんでした!? はあ、こうなったらやるしかありませんか……」
ジャンナの合図と共に、最後の訓練が始まった。
そして強く輝いた!
「わっ!」
「……」
次にフレーレが目を開けるとそこには黒い鱗を全身に纏ったドラゴンが立っていた。
しかし体は透けている。幽体というやつだ。
「手加減したとはいえこの俺を回復魔法で削りきるとはな。フォルサよ、これで良かったのか?」
喋る度に空気が震え、思わず耳を塞ぐフレーレ。だが、それよりも気になっていたことがあった。
構わずフォルサとドラゴンは話し続ける。
「え? 学院長……?」
「そうね、ありがとう。いい切っ掛けにはなったと思う。もう行くの?」
ドラゴンは目を細めて満足そうに頷き、今度はフレーレへと向き直る。
「悪くない魔法だったぞ、回復魔法であそこまで崩されるとは思わなかったわ! はっはっは! もっともお前には辛い事のようだがな」
目を逸らさず黙ってドラゴンの言葉を聞く。
「俺はお前ではないからその心は分からん。だが、回復魔法を捨てる事も出来たはずなのに、それでもまた使うとお前は決めた。辛い事を克服しようとする気持ちは必ず報われるだろうさ。ま、最初からそうだったりするんだが、後は自分次第だ! いつもうまくいくとは限らない、それが人間だろう? 回復魔法を使って死なせちまった負い目はあるだろうが結果的には生き返ったんだし、いいんだよそれはそれで。それでも前に進むのがお前達なんだろうが。俺なんか欲望に任せて暴れてたら討伐されちまったんだぞ? それに比べりゃお前は大したもんだって」
慰めてくれているのか、馬鹿にされているのか微妙な言葉を言い放つ黒いドラゴン。
それを聞いたフレーレの目には涙が浮かんでいた。
「あ、やべ泣かせちまったか!?」
「い、いえ……すいません。少し何か分かった気がします……」
「……ま、自分一人で背負いこむなってことだな。さて、そろそろ行くか」
「どこへ行くんですか?」
「ちょっと野暮用でな、俺の魂は別の世界へ送られるらしい。俺は退屈しなければなんでもいいけどな!」
死んだと言うのにあまり悲壮感が無いのはこのドラゴンの性格の寄る所なのか、それとも死んでも別の世界で生き返ることができるからという安全を確保されているからか。
「そうですか……」
「そんな顔をするな、おかげでアンデッドになりきらず済んだ。助かったぞ。そして頑張れよ、お前のやりたい事のために……ではなフォルサ」
「ああ」
フォルサがぶっきらぼうに答えると再び光の玉になり、洞窟の天井へと登って行く。
「そういえば名乗っていなかったな、俺はミナルーシュ、ブラックドラゴンに間違えられるが、ダークドラゴンのミナルーシュだ!」
「お元気で! ありがとうございました!」
「もう死んでるけどな! じゃあな!」
そのまま光は天井をすり抜けて行きやがて見えなくなった。
「逝ったわね……」
「学院長とミナルーシュさんはお知り合いだったんですか?」
「ええ」
それだけ言うとフォルサは踵を返して洞窟の入り口へとさっさと歩き出してしまった。手には残されたドラゴンの牙をもって。
「あ、待ってくださいよ!」
慌てて追いかけるフレーレ、そして外に出た時フォルサは語り始める。
「あいつは私の友達だったんだよ。君の知っての通り私は変わり者だ。そして強大な力があった。そんな私に友達が出来る訳もなかったが、そんな時同じく強大な力を持つミナルーシュと出会った」
フォルサが満月を背にしてフレーレへと向く。
「どんなに力を出しても壊れない彼は、本当に良い遊び相手だった。向こうも全力で遊んでくれるから気兼ねなく会いに行ったよ」
「遊び相手……」
全力で遊ぶ、イコール戦闘なのだろうが、ドラゴンとまともにぶつかる事を遊びと呼べるフォルサを、改めておかしいと思っていた。
「そんな時だ、彼が傷だらけで倒れているのを見つけたのは。聞けば調子にのって暴れていた所を人間に倒されたと。もちろん私は軽い気持ちでリザレクションをかけた。息はあったからこれで回復すると思っていた、だが……」
リザレクションは効果を発揮した。だが、それ以上に流した血の量が多すぎてすでに傷を塞いだ程度では助からないところまできていた。それほど致命傷だったという。回復魔法で傷は癒えるが流した血液や欠損した部位は戻って来ない。
そのため失った血、それもドラゴンに輸血なども存在しないので、しばらくした後に息を引き取ったのだ。
「学院長にそんな事があったなんて……何でも出来る人だと思っていました……」
「驚いた? 私だってこういうこともあるのよ、死なせてしまって大いに泣いたわ。 それから何とか繋ぎとめようとして、ドラゴンゾンビになってしまった。それからずっとあの洞窟に縛っていたの……」
「友達だったんでしょう? どうしてわたしに倒させる真似を……」
「頃合いだと思ったのよ、あのままにしておけばミナルーシュは自我を保てなくなる。ゾンビ化というのはそういうものなの。かといって情のある私が手を下すことは出来なかった。そこで君を利用させてもらったのよ」
恐らく嘘だろうとフレーレは考えていた。その気になればこの人は何とでもするだろう。でもわたしの為にミナルーシュを成仏させたのだと直感で思った。
「……おかげで少しは使えるようになりました、お二人には何と言っていいか……」
「いいのよ。でもこれでスッキリしたわ、あの様子なら彼も違う世界で楽しくやってくれるでしょう! 次は私の番ね、そして明日は最終日……君には聖魔光と、リザレクションを習得してもらうわね♪」
「え? ……ええ!? そんな無茶をまた……いえ、無茶ではないんですね」
「そうよ、自分を信じなさい。私は出来ない事は言わない。それが私の答えよ」
「分かりました。明日は……必ずやり遂げて見せます」
決意の表情をしたフレーレが強くうなずいていた。
「(君と私は良く似ている……だから……)」
---------------------------------------------------
そしていよいよ最終日。
朝食を手早く済ますと、二人は外に出る。
「さ、今日が最終日だ。まずは聖魔光の基本を教えるわね」
「は、はい!」
聖魔光……フォルサが編み出したというその技は魔力と回復魔法等の神聖な力を合わせて作り出されると言うのだ。
聖魔のバランスをどちらかに寄せれば、通常の魔物や人間に対してもアンデッドに対しても効果が得られると言う
「イメージは粘土や絵の具を混ぜる感じで魔力と神聖力を同時に集中するのよ。魔力は一昨日上げたからバランスは取れているハズだけど……」
「そのために底をつくまでマジックアローを使わせたんですね……」
呆れながら目を瞑って集中する。ノウハウは先ほど聞いたことでだいたいのイメージが出来ていた。
やがて手に金色の光を作る事に成功する。
「で、できた! できましたよ学院長! きゃあ!?」
ボン! と気持ちのいい音を立てて、金の光は爆発する。集中を切らしたせいであった。
顔が真っ黒になり、タオルを貰おうとフォルサの所へ行くとジャンナと談笑していた。
「なるほど。君の女神の力は勇気なのね、あの子がお守り代わりにするのも分かるわね」
<ぴー。昔のフレーレはどうだったの? あの子あたしに似てるのよね>
「私にも似ているのよ? 子供の頃に色々あったからね、私もあの子も……」
<あたしは親とか居たけど、ちょっとね……>
何だか二人(?)して遠い目をしているので声をかけづらかったが、とりあえず成功した事とタオルを貰いにフォルサへと話しかけるフレーレだった。
「あら、もうできたの? 流石ね。後はそれを繰り返し練習すればいいわ、攻撃にも守りにも転じれるから応用は君次第ね」
「え、それだけですか? てっきり必殺技みたいなのをやるのかと……」
「私が始祖だからねえ……そうだ、ちょっと私と戦ってみましょうか。何か私もつかめるかもしれないし!」
「ええ……流石にそれはわたしの命が危ない気がしますけど……」
「大丈夫よ。(多分)ルールは回復魔法ありの聖魔光を使っての戦いよ、ジャンナは30分計測をお願いね」
<ぴー。分かったわ>
「今、多分って言いませんでした!? はあ、こうなったらやるしかありませんか……」
ジャンナの合図と共に、最後の訓練が始まった。
0
お気に入りに追加
4,187
あなたにおすすめの小説
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ハズレスキルがぶっ壊れなんだが? ~俺の才能に気付いて今さら戻って来いと言われてもな~
島風
ファンタジー
とある貴族の次男として生まれたアルベルトは魔法の才能がないと蔑まれ、冷遇されていた。 そして、16歳のときに女神より贈られる天恵、才能魔法 が『出来損ない』だと判明し、家を追放されてしまう。
「この出来損ない! 貴様は追放だ!!」と実家を追放されるのだが……『お前らの方が困ると思うのだが』構わない、実家に戻るくらいなら辺境の地でたくましく生き抜ぬこう。 冷静に生きるアルだった……が、彼のハズレスキルはぶっ壊れだった。。
そして唯一の救いだった幼馴染を救い、大活躍するアルを尻目に没落していく実家……やがて毎日もやしを食べて生活することになる。
妹しか愛していない母親への仕返しに「わたくしはお母様が男に無理矢理に犯されてできた子」だと言ってやった。
ラララキヲ
ファンタジー
「貴女は次期当主なのだから」
そう言われて長女のアリーチェは育った。どれだけ寂しくてもどれだけツラくても、自分がこのエルカダ侯爵家を継がなければいけないのだからと我慢して頑張った。
長女と違って次女のルナリアは自由に育てられた。両親に愛され、勉強だって無理してしなくてもいいと甘やかされていた。
アリーチェはそれを羨ましいと思ったが、自分が長女で次期当主だから仕方がないと納得していて我慢した。
しかしアリーチェが18歳の時。
アリーチェの婚約者と恋仲になったルナリアを、両親は許し、二人を祝福しながら『次期当主をルナリアにする』と言い出したのだ。
それにはもうアリーチェは我慢ができなかった。
父は元々自分たち(子供)には無関心で、アリーチェに厳し過ぎる教育をしてきたのは母親だった。『次期当主だから』とあんなに言ってきた癖に、それを簡単に覆した母親をアリーチェは許せなかった。
そして両親はアリーチェを次期当主から下ろしておいて、アリーチェをルナリアの補佐に付けようとした。
そのどこまてもアリーチェの人格を否定する考え方にアリーチェの心は死んだ。
──自分を愛してくれないならこちらもあなたたちを愛さない──
アリーチェは行動を起こした。
もうあなたたちに情はない。
─────
◇これは『ざまぁ』の話です。
◇テンプレ [妹贔屓母]
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング〔2位〕(4/19)☆ファンタジーランキング〔1位〕☆入り、ありがとうございます!!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。