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第二百四十五話 逃がさないというもの
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「僕が未来で出会ったのはかなり小さかった。それこそ蛇と言っていいくらいのサイズだったんだ」
「……嘘ではなさそうだな」
「うん。確かに長さはあったけど、体幹は間違いなく小さかった」
カインさんの言葉に頷いて説明をする。
するとそこでコトルクスは真っ赤な目を細めて僕を見ながら口を開いた。
【私を蛇だとぬかすか、人間のガキが。まあいい。どうせここでお前達は食われるのだからな!】
「ここで倒すぞ!」
「おう! <ヴォーテクス>!」
コトルクスが空中から水の弾を吐き出しこちらへ仕掛けて来た!
速いと思い僕も魔法で相殺を考えていたけど、ゼオラが渦巻く風の魔法で散らす。
「こっちだ!」
「さあ、どうする?」
カインさんとソリオさんもすぐに剣を抜いて散開し、注意を逸らす。空を飛んでいるので現状打つ手がない。だから別々の場所へ移動したのだ。
【ふん、地上を這い回るアリが吠えたところでなにがある? かぁぁぁ!】
「チッ……! <ライトニング>!」
頭にある角から雷撃を放ち、ヴォーテクスをかき消した。ゼオラはロッドを掲げてさらに雷の魔法を撃つ。
「おー、流石ゼオラ!」
「感心してねえでお前もなんか撃て!」
「オッケー! <アイスクラスター>!」
ゼオラに言われて僕も魔力を収束させて両手を翳す。そこから生み出された氷の塊がコトルクスに向かっていく。
【なんと……!?】
「うお、でかい!?」
「す、すごいわウルカ君!」
【小癪。だが、この程度――】
「ボルカノあの氷塊に火球を!」
【む! 承知した!】
コトルクスが雷撃をゼオラから氷塊に向けようとしたその時、ボルカノに合図を出して炎をぶつけてもらう。
その瞬間、氷塊は大爆発を起こし、礫がコトルクスを直撃した!
【ぐおおあ!?】
「よし!」
「やるじゃねえかウルカ! ……ん?!」
大爆発の中から大きな口を開けたコトルクスが姿を現し、ゼオラに向かって一直線に突っ込んでいた。
「危ない!?」
「ゼオラ! <ホーリーウォール>!」
【くぅ……神聖魔法とやらか……!】
「ディーネの防御魔法はピカイチでな! あたしにばかり目を向けて大丈夫か? ああ?」
【なに? ……ぐ!?】
巨大なアギトとホーリーウォールがぶつかり、バチバチと魔力が弾けていた。そこへ高度の下がったコトルクスへカインさんが斬りかかる。
「悪知恵は働くが、戦闘はお粗末なようだな」
【ほざくな人間風情が!】
「うおあ!? くそ!」
「ソリオ! <シャイニング>!」
【舐めるな……!!】
一気に乱戦となり、コトルクスの尻尾や爪がゼオラ達を襲う。空を飛ばなくてもあの大きさは脅威ということか。
「……ごめんボルカノ。あいつに突撃できるかい?」
【よかろう】
「勝ったら美味しいキャベツをたらふく食べさせてあげるよ!」
【それは魅力的な提案だな……!】
「わおーん!」
遠距離から魔法を撃つとカインさん達に当たるかもしれない。そう考えてボルカノを突撃に向かわせた。
巻き込んだのは申し訳ないけど、ここは一緒に戦ってもらった方が生き残れると思う。
そしてカインさん達を相手にしてこちらに気を回していないコトルクスにボルカノの体当たりが直撃した。
【そら!】
【貴様……!? 人間の味方をするのか!】
【我等は群れる存在では無いだろう? それにお前は……ドラゴンすらも騙し討つ。我が知らないと思ったか?】
ぶつかった瞬間、尻尾を振り回す。
それをコトルクスも尾を振って相殺し、お互い顔を突き合わせて言葉を交わす。
ボルカノは静かに語るけど、どうもコトルクスという存在は『生物』にとってよろしくないものらしい。
「チッ、鱗が硬い……!」
「がうううう!」
ソリオさんが悪態を付きながら刃を立てる。シルヴァもボルカノの背中から噛みついていたけど文字通り歯が立たないようだ。
【離れろ!】
「いけない! 皆さん、散開を!」
【……やるな!】
「ぐあ……!?」
「きゃん!?」
僕達の攻撃を嫌がったコトルクスがその場でぐるりと一回転しながら雷撃をまき散らす。
ボルカノはすぐに奴を突き飛ばして火球で追い打ちをかけた。ただ、僕とゼオラ、それとディーネさん以外は雷撃を受けていた。
「くっ……金属の鎧はもろに食らう……!」
【死ね!】
そのまま膝をついたカインさんにかぶりつこうとまた突っ込んでくる。距離が開いた今ならいけるか!
「そうはいくか! <ミズデッポウ>を食らえ!」
【なんだ……!? うお――】
僕の指から放たれた超水圧はコトルクスの左目を直撃した。思いのほか威力があったらしく硬い鱗を引き裂きまぶたのあたりから血しぶきが上がる。
【馬鹿な……!?】
「畳みかけたいが……身体が……」
「無理すんな! ディーネ、二人を頼むぜ。ウルカ、ボルカノ! 行くぜ!」
【ああ!】
「僕が牽制する。シルヴァは左から回り込んで!」
「うぉふ!」
しびれを治す魔法をディーネさんに任せて僕達はコトルクスへ突撃を開始する。空に飛ばれる前に決着をつけないと面倒なことになりそうだ。
それにしてもやはりそれほど強そうには感じない。絶対母さんの方が強いと思う。
【……おのれ。しかし久しぶりに私に傷をつけられる者とは面白い。ならばこちらも本気でいくぞ】
「……嘘ではなさそうだな」
「うん。確かに長さはあったけど、体幹は間違いなく小さかった」
カインさんの言葉に頷いて説明をする。
するとそこでコトルクスは真っ赤な目を細めて僕を見ながら口を開いた。
【私を蛇だとぬかすか、人間のガキが。まあいい。どうせここでお前達は食われるのだからな!】
「ここで倒すぞ!」
「おう! <ヴォーテクス>!」
コトルクスが空中から水の弾を吐き出しこちらへ仕掛けて来た!
速いと思い僕も魔法で相殺を考えていたけど、ゼオラが渦巻く風の魔法で散らす。
「こっちだ!」
「さあ、どうする?」
カインさんとソリオさんもすぐに剣を抜いて散開し、注意を逸らす。空を飛んでいるので現状打つ手がない。だから別々の場所へ移動したのだ。
【ふん、地上を這い回るアリが吠えたところでなにがある? かぁぁぁ!】
「チッ……! <ライトニング>!」
頭にある角から雷撃を放ち、ヴォーテクスをかき消した。ゼオラはロッドを掲げてさらに雷の魔法を撃つ。
「おー、流石ゼオラ!」
「感心してねえでお前もなんか撃て!」
「オッケー! <アイスクラスター>!」
ゼオラに言われて僕も魔力を収束させて両手を翳す。そこから生み出された氷の塊がコトルクスに向かっていく。
【なんと……!?】
「うお、でかい!?」
「す、すごいわウルカ君!」
【小癪。だが、この程度――】
「ボルカノあの氷塊に火球を!」
【む! 承知した!】
コトルクスが雷撃をゼオラから氷塊に向けようとしたその時、ボルカノに合図を出して炎をぶつけてもらう。
その瞬間、氷塊は大爆発を起こし、礫がコトルクスを直撃した!
【ぐおおあ!?】
「よし!」
「やるじゃねえかウルカ! ……ん?!」
大爆発の中から大きな口を開けたコトルクスが姿を現し、ゼオラに向かって一直線に突っ込んでいた。
「危ない!?」
「ゼオラ! <ホーリーウォール>!」
【くぅ……神聖魔法とやらか……!】
「ディーネの防御魔法はピカイチでな! あたしにばかり目を向けて大丈夫か? ああ?」
【なに? ……ぐ!?】
巨大なアギトとホーリーウォールがぶつかり、バチバチと魔力が弾けていた。そこへ高度の下がったコトルクスへカインさんが斬りかかる。
「悪知恵は働くが、戦闘はお粗末なようだな」
【ほざくな人間風情が!】
「うおあ!? くそ!」
「ソリオ! <シャイニング>!」
【舐めるな……!!】
一気に乱戦となり、コトルクスの尻尾や爪がゼオラ達を襲う。空を飛ばなくてもあの大きさは脅威ということか。
「……ごめんボルカノ。あいつに突撃できるかい?」
【よかろう】
「勝ったら美味しいキャベツをたらふく食べさせてあげるよ!」
【それは魅力的な提案だな……!】
「わおーん!」
遠距離から魔法を撃つとカインさん達に当たるかもしれない。そう考えてボルカノを突撃に向かわせた。
巻き込んだのは申し訳ないけど、ここは一緒に戦ってもらった方が生き残れると思う。
そしてカインさん達を相手にしてこちらに気を回していないコトルクスにボルカノの体当たりが直撃した。
【そら!】
【貴様……!? 人間の味方をするのか!】
【我等は群れる存在では無いだろう? それにお前は……ドラゴンすらも騙し討つ。我が知らないと思ったか?】
ぶつかった瞬間、尻尾を振り回す。
それをコトルクスも尾を振って相殺し、お互い顔を突き合わせて言葉を交わす。
ボルカノは静かに語るけど、どうもコトルクスという存在は『生物』にとってよろしくないものらしい。
「チッ、鱗が硬い……!」
「がうううう!」
ソリオさんが悪態を付きながら刃を立てる。シルヴァもボルカノの背中から噛みついていたけど文字通り歯が立たないようだ。
【離れろ!】
「いけない! 皆さん、散開を!」
【……やるな!】
「ぐあ……!?」
「きゃん!?」
僕達の攻撃を嫌がったコトルクスがその場でぐるりと一回転しながら雷撃をまき散らす。
ボルカノはすぐに奴を突き飛ばして火球で追い打ちをかけた。ただ、僕とゼオラ、それとディーネさん以外は雷撃を受けていた。
「くっ……金属の鎧はもろに食らう……!」
【死ね!】
そのまま膝をついたカインさんにかぶりつこうとまた突っ込んでくる。距離が開いた今ならいけるか!
「そうはいくか! <ミズデッポウ>を食らえ!」
【なんだ……!? うお――】
僕の指から放たれた超水圧はコトルクスの左目を直撃した。思いのほか威力があったらしく硬い鱗を引き裂きまぶたのあたりから血しぶきが上がる。
【馬鹿な……!?】
「畳みかけたいが……身体が……」
「無理すんな! ディーネ、二人を頼むぜ。ウルカ、ボルカノ! 行くぜ!」
【ああ!】
「僕が牽制する。シルヴァは左から回り込んで!」
「うぉふ!」
しびれを治す魔法をディーネさんに任せて僕達はコトルクスへ突撃を開始する。空に飛ばれる前に決着をつけないと面倒なことになりそうだ。
それにしてもやはりそれほど強そうには感じない。絶対母さんの方が強いと思う。
【……おのれ。しかし久しぶりに私に傷をつけられる者とは面白い。ならばこちらも本気でいくぞ】
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