135 / 196
第六章:大魔王復活?
その128 復活……?
しおりを挟む「ここが……」
黄泉の丘――
原っぱだと呼んで差し支えないその場所。そこから見る景色は、ふわりとした風と相まってほのぼのとした気持ちになれた。
「よいっしょ」
「ありがとう」
「あんまり無理しないでくださいよ?」
「そういえば、仲が悪いと思っていたけどバス子はメディナを心配していたよね」
正直意外だった、とは言えないが。
「まあ、なんだかんだで一緒に居るわけですから死なれるのは寝覚めが悪いんですよねえ。ほら、『鹿』が合うって言うじゃありませんか」
それを言うなら――と僕が挟もうとしたところでメディナが言う。
「私は『馬』が合う。二人そろって」
「「馬鹿」」
「なんですよ」
「おー。いいコンビネーション。イチゴ大福仲間だもんね」
ガクっとなる僕とベルゼラに、エリィだけはパチパチと称賛の拍手を放っていた。ま、まあ、仲がいいのはいいことだよね……
とりあえず回復していないメディナを背負い、僕達は終着で間違いないと思われるストーンサークルへと足を踏み入れた。
「天気がいいのに空気がひんやりしているような気がするわね」
「確かにそんな気も……。それより、ここで儀式をする、ってことですけど具体的になにをやるんでしょうねえ」
ベルゼラとバス子が石の柱に手を当てながら見上げ、そんなことを話している。
このストーンサークルは奇麗な円柱が十二本地面に刺さっていて、その上に四角い石柱が、円の形に沿ってぐるりと横倒しに乗っている、という形だ。
ベルゼラの言う通り、サークル内と外では外気温が違い、さらにシン、としていて風の音すらも遮断されているような空間だな、と感じる。
「レオス、降ろす。座っていれば平気」
「やるわね、メディナ」
「?」
「そういうのは変わってないんだね……」
ダジャレっぽい言い回しに反応するエリィに目を細めると、口に手を当てて焦る。
「あ、あはは、記憶は確かにエリザベスだけど、根本は『エリィ』だから仕方ないのよ。ソレイユ様もしばらくは記憶の混濁があるって言ってたしね」
「なるほどね。まあ、僕も最初はそうだったしわかるけど。さて、とりあえず聖杯と大魔王の灰をっと……」
サークルの中心で僕はカバンから必要な道具を取り出していると、ベルゼラがネックレスを差し出してきた。
「これもよね?」
「あ、そうそう。悪いけど借りるね」
聖杯に灰とネックレスを入れる。
「いいわよ、お父様の復活のためだし。後は……聖杯を満たす生き血ね」
「そういえば……」
そんなことを言っていたような覚えがある……まずい、用意していない!?
「……無いですね、血」
「うん……魔物でも倒して手に入れようと思ってたけど、ゴタゴタに巻き込まれていてすっかり忘れていたよ……」
その話を聞いたのもベルゼラとバス子に出会った時だし、忘れていても無理はない。と、心の中で言い訳をしつつ、冷や汗を流す。ここまで来てダメでしたというのはいくらなんでもあんまりだ。
どうしよう、みんなに待っていてもらって魔物の生き血をかき集めてくるかな? でも、魔物の血で大丈夫なのか心配でもある。やっぱり女の子の生き血? でもみんなにそんなことはさせられないし、町に戻るのは少し遠いし、どう言いくるめて血を採るかもすぐに思いつかない。
じゃあ僕の血で、と言いたいけど聖杯を満たすほどの血を抜いたら死んでしまいそうである。
「レオス」
「あー、まいったなあ……ん? メディナ、どうしたの?」
僕の裾をくいくいと引っ張り、呼ぶのでメディナへと振りむくと、いいアイデアがあると言わんばかりに眉を吊り上げていた。相変わらずそれ以外で感情は読み取りにくい。
「多分、レオスの血なら、少しあればいいと思う」
「そうなの?」
エリィが首を傾げて聞くと、メディナはこくりと頷き、また僕を見て口を開いた。どうやらここからが本番らしい。
「拳聖がいれば楽だった。けど、ここは私の出番」
「ルビア? なんでルビアが関係あるのさ」
「すぐにわかる。レオス、聖杯を持って私を見る」
「? こう?」
「嫌な予感しかしないんですけど……」
言われるがまま、聖杯を持ってメディナを見ると――
ぺろん
と、服の前をはだけ、形のいいバストを露わにした……!? 着痩せするタイプ……! とかそういうことを考えている余裕もなく、
「ぶはっ……!?」
と、僕の鼻から血が噴き出した。
「大噴火!? というかあんた姐さんほどじゃないですけど大きいですね!?」
「ぶい」
「くっ……」
「ベル、そんなに悔しそうな顔をしなくても……」
そんな会話を聞きながら、ぼたぼたと流れる血を聖杯へと注いでいく。全部を満たすことはできないけど、灰とネックレスが血に染まるくらいは噴き出したようだ。
すると――
「あ! レオスさん、中央! サークルの中央が光ってます! 聖杯を置くんじゃないですか!?」
「本当だ! よし……!」
「鼻血を出しながらキリっとした顔も悪くないわね」
ほっといてよ!? 反論する間も惜しいので、僕は聖杯を光の中心へ置く。どうやら、太陽の光がここだけに射しているみたいだ。聖杯を光の中へ置いて、一歩下がる。
ボシュゥ……
「聖杯が……!」
「いよいよお父様が……!」
聖杯から奇妙な煙が噴き出し、ストーンサークルを覆っていく。今度は聖杯が輝き、カタカタと震えだした。
カタカタ……カタカタカタカタカタ……
カッ!
「うわ!?」
「きゃあ!?」
「まぶしい」
「ふふふ……」
「め、めがぁあ!?」
聖杯がひときわ輝き、僕達は視界を奪われる。だが、それも一瞬のことですぐに光はおさまり、聖杯の様子を伺おうと目を向けると――
「ふはははは! 我、復活せり!」
居丈高に若い男が笑っていた。
……尻丸出しで。となるともちろん……
「いやあああああ! 変態ぃぃぃ!」
ベルゼラの悲鳴を皮切りに、エリィが顔を赤らめ、両手で顔を覆う。
「……最低……」
そしてバス子が大魔王(?)と思われる男へ槍を投げる態勢に入っていた。
「悪よ滅びろ……!」
「やめるバス子」
メディナが足を掴んで止めていた。やはりご主人に危害を加えるのは良しとしないのか。
「槍が汚れる。ここは魔法で吹き飛ばすのが得策」
「なるほど」
違った。
わーわーと僕達が暴れていると、男が僕達に気付き、振り返ろうとした!?
「む、小僧か! それに我が娘もいるよう――」
「こっちを向くなぁぁぁぁ! <ファイヤーボール>!」
「なんでっ!?」
ボゴン!
勢いよく地面にファイヤーボールがヒットし、爆風で男が吹き飛んでいった。奇跡的にうつ伏せで倒れてくれたのは僥倖というほかない。
が、男はその後ピクリとも動かなくなってしまう。
「あ、あれ? だ、大丈夫……ですか?」
「はらほろ……」
布を持っておそるおそる近づくと……男は気絶していた。
それにしても、随分若い顔をしているな……本当に大魔王?
0
お気に入りに追加
1,594
あなたにおすすめの小説
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる