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第47話 フリンクはでかい
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「でっか!? え、なにこれでっか!?」
「トウガさん、これは一体……?」
「実は――」
さて、門へ辿り着いたところで門兵の二人がさっそく驚いて武器を構えていた。
もちろんフリンクの存在である。
ちなみにもう忘れているかもしれないがトウガは父さんの名前である。毎日野菜を売りに来るので、町の人の覚えはいいみたいだ。
ひとまず説明をすると、門兵は武器を収めてから俺を見る。
「精霊様とは驚いたな……」
「息子さんも初めてだな、そういや」
「まあ、そういうことで危害は一切加えないので大丈夫ですよ」
「フリンクはいい子だよ!」
『そうだよ!』
「うお!? 喋った!?」
父さんに続いてルーが片手を上げてから主張し、フリンクが声を上げた。門兵の二人はビクッと体を強張らせた後、息を吐いてから言う。
「トウガさんが言うならいいだろ。通ってよし!」
「子供も懐いているみたいだしな」
『僕は精霊だから大丈夫だよ!』
「口でかいなあ……」
少々心配そうだが特に困ることもない。少なくとも子供たちが背に乗っている間は自由に動けないしな。
そのまま移動しようとしたところで門兵の一人が声をかけてきた。
「クレアちゃんじゃないか。もう戻って来たのか?」
「今日は仕事じゃないの。この人とその精霊を連れていくって言ったのは私なのよ」
「へえ、そりゃ珍しい! って見たことないな」
「俺の息子だよ。精霊の主ってやつさ」
「「はあ!?」」
驚く門兵を尻目に、俺達は門をくぐり町の中へと入っていく。厚みのある外壁なので、トンネル状になった通路のようだ。
開け放しになっている内側の門があるなと思いつつ、いよいよ町の中へと足を踏み入れた。
「うおお、人が多い!」
「おうちもいっぱいだねー」
モントとリーオがフリンクの上で目を輝かせて叫ぶ。ちなみにこいつらの親にはきちんと話をしているのでちゃんと保護者をしなければならない。
まあ父さんがいるからというのも許可された一因だけど。
「この『トナリの町』はウチの村から近いし、物流もそれなりにあるわ。レンには武器とか要らないでしょうけど服とか雑貨を買うにはちょうどいいかもね」
「農具のメンテナンスとかしたいな。買い替えより鍛冶師とかに頼んだ方が安上がりだろうし」
「うんうん」
「それじゃ、俺はいつもの露店で商売をしているから適当に見回っていていいぞ。昼はみんなで飯屋にでも行くか」
「いいのか?」
「たまにはいいだろう。お前のおかげで金はあるし」
父さんが笑顔でそう言う。母さんが居ないのが残念だなとフリンクが呟き、ひとまず馬車を露店へ向けた。
「なんだありゃ……?」
「空飛ぶ魚……?」
『こんにちは!』
「こんちはー!」
「うお……!?」
「子供が乗っているぞ!? あ、危ない!」
「大丈夫だって!」
そして大通りに差し掛かるとフリンクが大注目されていた。予想通りなので警戒されていたとしても挨拶をするようにしている。ルーも挨拶をしていたが、サッと蜘蛛の子を散らすように距離を取られた。
やがて父さんの露店に到着し、馬車を止めてから設営を手伝う。
「悪いなあレン、クレアちゃん」
「いや、別にこれといった目的があるわけじゃないしいいよ。にしても毎日これをやってるのか。こっちこそ悪い」
「これから手伝えばいいじゃない」
『そうそう』
タープとか敷物などを設営し、野菜を並べる。この作業、野菜が地味に重量あるため結構きつい。もちろん畑仕事も大変だけどそれとはまた違うベクトルで仕事って感じだ。
俺が手伝えばかなり楽になるだろう。今後は考えないといけないかな。
『いらっしゃい、いらっしゃい!』
「いらっしゃーい」
「はは、お前達は町を見学するんだろ? 行ってきな」
「オッケー」
なぜか子供たちを降ろしたフリンクが売り子を始め、身体を縦にしヒレをぺちぺちと叩いていた。ルーたちも真似をする。
「なんだい、トウガさんは子守りの仕事もはじめたんかい? というかこのでかいのはなにさね。魔物?」
すると気の強そうなおばあちゃんが寄って来た。フリンクを見て鼻を鳴らしていると、ルーがトマトを持って差し出した。
「レン兄ちゃんのトマト美味しいよ! 買ってね!」
「おやまあ、可愛らしいお嬢さんだ。それで?」
「こいつは俺の息子でな。こっちのでかいのは精霊だ」
「精霊? この豚みたいな顔が?」
『豚じゃないよ! イルカだよ!』
おばあちゃんの言葉にフリンクが強く反論をすると、ひゃっひゃと笑いながらルーの手にあったトマトと野菜をいくつか買った。
「まあなんでもええわい! 不細工じゃが、愛嬌のある顔をしておる。またのう」
『不細工じゃないけどまたねー!』
人の美的感覚はそれぞれなので特に言及することは無い。フリンクもヒレを振っておばあちゃんを見送っていた。
「売れたー!」
「おお、ありがとうなルーちゃん。さ、それじゃ仕事をするか」
「そんじゃ今度こそ行ってくるよ」
『乗っていいよ』
「サンキュー!」
というわけでハリソンとメドレーにも挨拶をし、子供たちがフリンクに乗ったので移動を始める。
「とりあえず服かなあ。作業着と普段着は分けた方がいいわよ」
「任せる」
「うん!」
俺が適当に返事をすると、クレアは何故か嬉しそうに頷いていた。
相変わらずフリンクに注目が集まるけど、気にしても仕方ない。
「まずは商店街へいきましょ」
そう言ってクレアは俺の手を引いて前を歩き出した。
「トウガさん、これは一体……?」
「実は――」
さて、門へ辿り着いたところで門兵の二人がさっそく驚いて武器を構えていた。
もちろんフリンクの存在である。
ちなみにもう忘れているかもしれないがトウガは父さんの名前である。毎日野菜を売りに来るので、町の人の覚えはいいみたいだ。
ひとまず説明をすると、門兵は武器を収めてから俺を見る。
「精霊様とは驚いたな……」
「息子さんも初めてだな、そういや」
「まあ、そういうことで危害は一切加えないので大丈夫ですよ」
「フリンクはいい子だよ!」
『そうだよ!』
「うお!? 喋った!?」
父さんに続いてルーが片手を上げてから主張し、フリンクが声を上げた。門兵の二人はビクッと体を強張らせた後、息を吐いてから言う。
「トウガさんが言うならいいだろ。通ってよし!」
「子供も懐いているみたいだしな」
『僕は精霊だから大丈夫だよ!』
「口でかいなあ……」
少々心配そうだが特に困ることもない。少なくとも子供たちが背に乗っている間は自由に動けないしな。
そのまま移動しようとしたところで門兵の一人が声をかけてきた。
「クレアちゃんじゃないか。もう戻って来たのか?」
「今日は仕事じゃないの。この人とその精霊を連れていくって言ったのは私なのよ」
「へえ、そりゃ珍しい! って見たことないな」
「俺の息子だよ。精霊の主ってやつさ」
「「はあ!?」」
驚く門兵を尻目に、俺達は門をくぐり町の中へと入っていく。厚みのある外壁なので、トンネル状になった通路のようだ。
開け放しになっている内側の門があるなと思いつつ、いよいよ町の中へと足を踏み入れた。
「うおお、人が多い!」
「おうちもいっぱいだねー」
モントとリーオがフリンクの上で目を輝かせて叫ぶ。ちなみにこいつらの親にはきちんと話をしているのでちゃんと保護者をしなければならない。
まあ父さんがいるからというのも許可された一因だけど。
「この『トナリの町』はウチの村から近いし、物流もそれなりにあるわ。レンには武器とか要らないでしょうけど服とか雑貨を買うにはちょうどいいかもね」
「農具のメンテナンスとかしたいな。買い替えより鍛冶師とかに頼んだ方が安上がりだろうし」
「うんうん」
「それじゃ、俺はいつもの露店で商売をしているから適当に見回っていていいぞ。昼はみんなで飯屋にでも行くか」
「いいのか?」
「たまにはいいだろう。お前のおかげで金はあるし」
父さんが笑顔でそう言う。母さんが居ないのが残念だなとフリンクが呟き、ひとまず馬車を露店へ向けた。
「なんだありゃ……?」
「空飛ぶ魚……?」
『こんにちは!』
「こんちはー!」
「うお……!?」
「子供が乗っているぞ!? あ、危ない!」
「大丈夫だって!」
そして大通りに差し掛かるとフリンクが大注目されていた。予想通りなので警戒されていたとしても挨拶をするようにしている。ルーも挨拶をしていたが、サッと蜘蛛の子を散らすように距離を取られた。
やがて父さんの露店に到着し、馬車を止めてから設営を手伝う。
「悪いなあレン、クレアちゃん」
「いや、別にこれといった目的があるわけじゃないしいいよ。にしても毎日これをやってるのか。こっちこそ悪い」
「これから手伝えばいいじゃない」
『そうそう』
タープとか敷物などを設営し、野菜を並べる。この作業、野菜が地味に重量あるため結構きつい。もちろん畑仕事も大変だけどそれとはまた違うベクトルで仕事って感じだ。
俺が手伝えばかなり楽になるだろう。今後は考えないといけないかな。
『いらっしゃい、いらっしゃい!』
「いらっしゃーい」
「はは、お前達は町を見学するんだろ? 行ってきな」
「オッケー」
なぜか子供たちを降ろしたフリンクが売り子を始め、身体を縦にしヒレをぺちぺちと叩いていた。ルーたちも真似をする。
「なんだい、トウガさんは子守りの仕事もはじめたんかい? というかこのでかいのはなにさね。魔物?」
すると気の強そうなおばあちゃんが寄って来た。フリンクを見て鼻を鳴らしていると、ルーがトマトを持って差し出した。
「レン兄ちゃんのトマト美味しいよ! 買ってね!」
「おやまあ、可愛らしいお嬢さんだ。それで?」
「こいつは俺の息子でな。こっちのでかいのは精霊だ」
「精霊? この豚みたいな顔が?」
『豚じゃないよ! イルカだよ!』
おばあちゃんの言葉にフリンクが強く反論をすると、ひゃっひゃと笑いながらルーの手にあったトマトと野菜をいくつか買った。
「まあなんでもええわい! 不細工じゃが、愛嬌のある顔をしておる。またのう」
『不細工じゃないけどまたねー!』
人の美的感覚はそれぞれなので特に言及することは無い。フリンクもヒレを振っておばあちゃんを見送っていた。
「売れたー!」
「おお、ありがとうなルーちゃん。さ、それじゃ仕事をするか」
「そんじゃ今度こそ行ってくるよ」
『乗っていいよ』
「サンキュー!」
というわけでハリソンとメドレーにも挨拶をし、子供たちがフリンクに乗ったので移動を始める。
「とりあえず服かなあ。作業着と普段着は分けた方がいいわよ」
「任せる」
「うん!」
俺が適当に返事をすると、クレアは何故か嬉しそうに頷いていた。
相変わらずフリンクに注目が集まるけど、気にしても仕方ない。
「まずは商店街へいきましょ」
そう言ってクレアは俺の手を引いて前を歩き出した。
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