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3:年上上司の愛し方(※)

(10)※

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「あ……っ、ぁ……っ!」
「……ここ……?」
「ぅあ……っ……っ!」
「ん……っ」

 びくんびくんっと奥村は体を揺らし、息を荒げる。彼の後ろに入れた指はきゅうきゅうと締め付けられ、きついながらも感じているのはよく分かった。
 くちゅくちゅという卑猥な音は、後ろ側なのか、前からなのか分からないぐらいに混ざっている。竿をべろりとなめて、その濃い味にくらりとした。あまりにも可愛い。

「礼人さん、下の毛も薄い……」
「なっ!?」
「あ、ごめん……色がっていう意味」

 かわいいな、と濱口は笑うと、ちゅうっと奥村の熱の塊に口付けながら先をくちゅくちゅと吸った。

「あ……っ! ふぁ……っ! だめ……っ!」
「ここ?」

 ちろちろと先端を舐め、また深くまでくわえて根元を扱く。あああ、と背中が震え、濱口の顔をおさえたまま、奥村は精をはなってしまう。
 真っ白に意識が飛んだのかもしれない。こくり、と喉の音を鳴らすと、向こうの体がこわばった。かあっと体全体を赤く染める様があまりにも愛らしい。

「……っ!!  飲むなよっ!」
「え、だって!」

 勿体ねえじゃん、と頬に散ったそれもぺろりと舐めると、奥村は信じられないという目線を送ってきた。うう、と唸っているのはよほど恥ずかしいのだろう。

「お前……ほんとに、男はじめてなのか?」
「うん……オレ、礼人さんとこうなるの……何回も想像してたから……」
「……っ!」

 でも、想像なんかより、何百倍もいいよ、と言うと、相手は首から上を真っ赤にして顔を覆ってしまった。

「……そんなの」

 オレは……できねえぞ……、期待するなよ、と口淫に僅かな抵抗を見せるのすらかわいらしい。
 濱口は、予想してました、と笑顔を浮かべて、そんなのいいよ、と奥村を抱き締めた。

「わかってるって……。あ、キスする前に口ゆすいでこようか? そういうの、イヤ?」
「……あ……」

 すぐにその場を去ろうとした濱口の腕をひきとめ、奥村はじっと彼を見つめる。

「……いい……キスして……」

 素直な言葉に、思いがけないところで罠があるんだから、と濱口は苦笑いをこぼすと、はいはい、と子供相手のようなキスをゆっくりおとして、また体を重ねていく。

「礼人さん、えっち……」
「……っ! どっちがだよ!」

 舌を絡め合っていくと、いつものような無味な舌の味じゃなくて、なんだか違和感のある味が口の中にひろがる。奥村もつい顔をしかめていた。

「にっが……まず……」

 お前、よく飲めたな、こんなもん、と、うええ、と舌を出して眉間に皺を寄せる表情がかわいい。濱口は、すりっと奥村の頬に自分の頬を寄せ、きゅうっと細い体を抱きしめた。

「……何?」
「……礼人さん、もう……」

 オレのもヤバい……と、太腿に熱を擦り付けてしまう。奥村の視線が痛い。びくびくとそそりたった其処は、同じ男なのに違うもんなんだな……などと自覚する。嫌がられるかなと思ったが、手でおそるおそる触れてきてくれた。もうそれだけで濱口の熱はどんどんとあがっていく。
 ヤバい、とか、気持ちいいとか、素直に声が漏れてしまった。
 くちゅくちゅと卑猥な音がもれ、先走りの液とともに、血管の浮き出たそれがびくびくと震えた。

「……く、口では、しねえから……な……」
「いいって、そんなの……」

 キスしてたいよ、と濱口は奥村の目を見て笑うと、奥村の体をつぶさないように優しくキスをしながら、あいた右手で彼のものも少しずつ刺激し始めた。
 肌が触れ、ただの熱を求め合うようにまぐわう。抱き合って、奥村が、リードしたいのか、濱口の手をどかせ、二人分を刺激していたのだけれど、だんだんと気がそれてきたのか手がゆるんでしまっていた。
 濱口はその手をそっと離すと、強引に二人分を掴み、ぐちゅぐちゅとまたそれを摺り合わせる。奥村がそれに気付いて、オレが! と見てくるけれど、そこはさせてよ? と押さえ込んで最後まで導こうとする。濱口がまた奥村を先にイかせ、そのあと、すぐに奥村の腹に多くの精を放った。

(11)※

 心地よい脱力感で、頭の中がチカチカっと何かがひかるように一瞬意識が飛んだ。気が緩んで、どさりと彼に乗りかかると、奥村の息と心臓の音も随分あがっていて、それがまた興奮する。

「……重い。熱い……」
「ごめんなさい……」

 むうっとしている奥村に対し、濱口は、ははっと苦く笑い、もうちょっとー……と甘えてしまう。
 奥村は、仕方ねえな……と言いながら、彼の背中に手をまわしてくれた。それから二人でゆっくりと抱き合う。そのままごろりと横になると、濱口はシーツの上で幸せそうに目を細めた。

「今日、オレ、すっげえ量多いかも……ひかねえ?」
「引いてる」
「嘘、礼人さんだって多いしな」
「……んなことねー……」
「意外と早いし?」
「っ!!  んなことねえだろ! 普通だよ!」

 ははっ、と濱口が笑うと、奥村はむうっとむくれて、まるで子供みたいだった。ほんとかわいいんだから、とシーツに頬を寄せ、じっと彼の顔を見つめる。
 濱口はごろんっと寝転がって、腕枕のように奥村の頭を引き寄せた。

「へへー……こういうの、礼人さんにしたかったんだ!」
「……」

 耳まで赤くして、バカか! と小さく言うけれど、奥村もそこから離れはしない。ちょうどいいポジションを探して小さな頭を彼の腕にのせ、大人しくおさまっている。

「……なあ」
「ん?」
「……その……」

 何かを言い淀んでいる奥村の言いたいことがわかって、濱口はあいている右腕で彼の腰を抱く。びくんっと揺れた奥村の腰に掌を這わせ、形のよい尻をきゅっと掴んでは、長い指を双丘の間に這わせた。

「……こっち……」
「……ぅあ……っ」
「ちょっとずつ、カイハツさせてください」
「……っ!」

 奥村はわなわなと唇を震わせたものの、小さく、生意気なんだよ……、と言うだけだった。そんな反応に、濱口も小さく笑う。

「礼人さん……」

 ぎゅうっと抱き締め、すげえスキ、ともう一度伝えて額にキスをする。
 あんまり幸せそうに笑うから、彼の腕の中に奥村はおさまって、胸に顔を埋めた。腕をまわして、ぎゅうっと抱き締め返す。濱口はそんな奥村に驚いて、焦ったように苦く笑った。

「あ、礼人さん、あんまりくっつかれると……っ」
「……生意気だからだ」

 腕の中から、濱口を見上げて、奥村はにっこりと笑ってくる。
 彼なりの仕返しのつもりなのかもしれないが、そんなの、何の仕返しにもなっていなくって。
 濱口は、ああああ、もう!!  と腕の力を強め、奥村に怒られて止められるまで、その彼の細い体を抱き締め続けた。
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