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8、失恋と旅行
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鳥飼はイオを見た。イオの目はとても穏やかで落ち着いてみえた。天窓からの光で、イオの周辺はキラキラと輝いている。その場の思いつきで言っているのではないということが、わかる。
「それはどういう、」
鳥飼はイオの真意を知りたくて、注意深く尋ねた。
「言葉どおりの意味だよ。ねえ、誠は流助の居場所知ってるんでしょ」
間近にあったベンチにどさりと座る。頭を抱えた。
「どうしてそれを」
「そりゃあ、一緒に暮らしていたらわかるよ。なーんて嘘。カマかけた」
イオは舌をだす。そして鳥飼の隣に座った。
鳥飼は流助の父親から「運命の番」の件を告げられてすぐ、調査会社に依頼をかけた。しかしその結果に納得がいかず、鳥飼一族と深いつながりのある探偵に再調査を依頼した。
探偵は、鳥飼が知る限り最も優秀でキレ者で、ミッションを完遂する。
しかし彼と連絡をとるには、両親を通さないわけにはいかない。
両親は交換条件としてイオを紹介することを提示してきた。それが先日の会食だ。鳥飼はたった数時間が耐えられず途中で退席したが、務めは果たした。
それで一連のことは終了し、すべて終わったのだ。
「イオくん、なぜ、いまさら」
イオは右に、左にかわいらしく小首をかしげる。するとイオの周りのキラキラも一緒にふわふわと動く。
「……つらいもんだよね。何したわけでもないのに、そばにいた人が突然いなくなるんだもん。ぼくもいろいろ考えたよ。何がいけなかったのかな、って」
「はい」
「どう考えても何も、誰も悪くないよね」
前を向いたままふうっと一呼吸つき、しばらく黙った。いつになく真剣に言葉を選ぶ様子に、鳥飼は全身で耳を傾けた。
「きっと大きな流れがあって、自分の意思ではどうしようもない何か、そういうのを運命っていうのなら、それに流されたとして、誰も悪くない。
最初本当に頭にきた。でも考えれば考えるほど、αやΩじゃなくても、どうしようもない何かによっていろんなことが決まることってある。
ぼくね、昔はもっと野心家で、相当ガツガツしてたんだ。十代の頃、モデルの仕事を始めた頃の自分がいまのぼくを見たらたぶん絶望するよ。ショーにも出ていない。何者にもなれていない。小さな仕事ばかりだ。決して努力を怠ったわけじゃないのに」
「それはどういう、」
鳥飼はイオの真意を知りたくて、注意深く尋ねた。
「言葉どおりの意味だよ。ねえ、誠は流助の居場所知ってるんでしょ」
間近にあったベンチにどさりと座る。頭を抱えた。
「どうしてそれを」
「そりゃあ、一緒に暮らしていたらわかるよ。なーんて嘘。カマかけた」
イオは舌をだす。そして鳥飼の隣に座った。
鳥飼は流助の父親から「運命の番」の件を告げられてすぐ、調査会社に依頼をかけた。しかしその結果に納得がいかず、鳥飼一族と深いつながりのある探偵に再調査を依頼した。
探偵は、鳥飼が知る限り最も優秀でキレ者で、ミッションを完遂する。
しかし彼と連絡をとるには、両親を通さないわけにはいかない。
両親は交換条件としてイオを紹介することを提示してきた。それが先日の会食だ。鳥飼はたった数時間が耐えられず途中で退席したが、務めは果たした。
それで一連のことは終了し、すべて終わったのだ。
「イオくん、なぜ、いまさら」
イオは右に、左にかわいらしく小首をかしげる。するとイオの周りのキラキラも一緒にふわふわと動く。
「……つらいもんだよね。何したわけでもないのに、そばにいた人が突然いなくなるんだもん。ぼくもいろいろ考えたよ。何がいけなかったのかな、って」
「はい」
「どう考えても何も、誰も悪くないよね」
前を向いたままふうっと一呼吸つき、しばらく黙った。いつになく真剣に言葉を選ぶ様子に、鳥飼は全身で耳を傾けた。
「きっと大きな流れがあって、自分の意思ではどうしようもない何か、そういうのを運命っていうのなら、それに流されたとして、誰も悪くない。
最初本当に頭にきた。でも考えれば考えるほど、αやΩじゃなくても、どうしようもない何かによっていろんなことが決まることってある。
ぼくね、昔はもっと野心家で、相当ガツガツしてたんだ。十代の頃、モデルの仕事を始めた頃の自分がいまのぼくを見たらたぶん絶望するよ。ショーにも出ていない。何者にもなれていない。小さな仕事ばかりだ。決して努力を怠ったわけじゃないのに」
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