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7、夫のアレがアレだとしても

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 送ったメッセージに何も返してこないので、翌日義両親に電話で尋ねると、たいしたことはないが体調をくずし寝ているから、と言われた。また数日がたった。心配してもう一度連絡すると、電話に出た義父が会って話したいと申し出てきた。
 イオと鳥飼は顔を見合わせた。その時はまだ、流助とそれっきりになることなど思いもしなかった。ただ流助の体調が心配だった。
 家に来た義両親は、専門医の証明書と記入済の離婚届けを持参し、床に手をついて頭を下げた。証明書には首筋の噛み傷が「運命の番」のものであるという判定がされていて、離婚届には流助の署名捺印があった。
 言われていることをみじんも理解できなかった。
 とりあえず二人にはお引き取り願うと、鳥飼は関係各所に連絡をとり対応に追われはじめた。
 イオは一人ベランダに出て、祈るような気持ちで何度も何度も流助の携帯にメッセージを送り、電話をかけた。しかしメッセージに既読はつかず、一度も着信がとられることはなかった。祈りは断たれた。

 
 流助が「運命の番」に出会ったという。
 そのため離婚したいと一方的に告げられた。
 
 その二つの事実が、最後に見たにやにや笑い、仕事に出かけるイオに「うまいもんいっぱい作るから~っ、けーっこんき、ね、ん、び、だーかーらー」と変なふしをつけて歌ったふざけた顔と一致しない。
「犯罪に巻きこまれたんじゃないか」
「『運命の番』、って本当にそうなの何かの間違いじゃ?」
「誰かに弱みを握られて」
「実はすごく悪い病気かなんかで」
 イオは鳥飼にいろいろ訴えたが、鳥飼は何も言わず、数日後調査会社によって得た結果をイオにみせた。
「本当らしいです。証明書も診断も本物でした」
「……嘘だ。流助と直接会って話すまで信じない」
「会いたくない、会っても話すことはないと言っているそうです。もう、その『相手』と一緒に暮らしている」
「そんなの、だって、流助、嘘だ、だって、」
「イオくん」
 鳥飼は取り乱すイオに冷静すぎる声で告げた。
「……『運命の番』は絶対です」
「は? そんなの関係ないし! なに訳知り顔に言っちゃてんの? 今頃流助がぼくらじゃない誰かといるって、気が狂いそうにならないの? よくそんな普通の顔してられるよね!?」
 イオは怒りの矛先を鳥飼に向け、鳥飼を責めたてた。
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