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7、夫のアレがアレだとしても

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 帰宅するやいなや、鳥飼は大げさな仕草でイオを抱き上げる。身長の高いイオでさえ、大きい鳥飼には軽々だ。いきなりだったので、ぎゃあ、と悲鳴をあげる。そのまま寝室に連れ去られた。
 コートを脱いでベッドに横たわる。広い広い海みたいに広いベッドはもともと三人のためのものだったが、今は二人で使っている。
 広い分には何も問題ない。
  ただ鳥飼が不在の時、その広さが途方もなくて、寂しさがふりつもる。ベッドだけじゃない。部屋もがらんとしている。三人の時は一人になりたくて自室にこもることもあったくらいだったのが、嘘みたいだ。
「イオくん……」
 知覚が鈍くなったところで、こちらからすればαの瞳が魅力的なのはかわらず、見られるだけで感じる。
 目をそらし、また目を合わせた。
 そしてちゃんと言葉にして要求した。
「したい……して」
 中途半端に衣服をぬいだ。裸よりも煽情的なバランスで肌を見せながらイオはキスを求めた。鳥飼は応じて、口を食む。
 服の隙間に手をさしいれ性器をやわやわとなでてくれる。丹念な愛撫でイオを寸前まで追いつめる。
「もうほしいですか?」
 イオはこくん、とうなずいた。
 するとさっと立ち上がってベッドを離れた。広いベッドに放置されてしまうが、耐える。準備が必要なのはわかっている。でもこういう時の間が、とてもやるせない。イオはすぐにもらえるよう、そそくさと服を全部脱いだ。
 鳥飼はクローゼットから二人に必要なモノをだしてきた。
 それは馬なみに巨大な、黒々としたディルドだった。
 目の当たりにすると毎度複雑な気分になるが、身体の方は明確に欲しがっている。体面を保ったり言い訳を並べるにはせっぱつまりすぎていた。昔から、緊張した日は性欲が高まりやすい。
「ん、はやく」
「少し待ってくださいね」
 鳥飼は手早くディルドにローションをつけた。イオは自分の脚をかかえて、それをまった。イオの尻にあてられた先端は、人間のそれに極限まで模しているので柔らかかったが、実際のペニスに比べれば温かさはない。やさしくあたって、冷たいままぐっとめりこむ。
「あ……っ、あ、ああっあ……、」
 鳥飼に思わずしがみつく。できるだけ脱力する努力をし、人工の張型を必死にうけいれようとする。
「イオくん、すみません、しがみつかれると、やりにくいから……」
 ためらいがちに鳥飼が言う。言葉と違って目はとても冷静だった。
「ご、ごめ……」
 鳥飼の身体をしぶしぶ離して、挿入しやすいよう尻を浮かせる。
「上手です」

 キスは耳におりて、ちゅっ、ちゅっと繰り返される音でさらに感じた。
「今、まだ先っぽだけ」
 鳥飼は励ますみたいに経過をいちいち報告してくる。イオはこくんとうなずく。
「ん」
「どんどんのんでます」
「ふ……ん、ん、ん、」
「半分」
「あ、あ、……や、あ」
「がんばって、もうすぐ全部はいる。あと少しです、息を吐いて」
 優しい言葉とうらはらに、そこから急に深く、ぐりっと進められる。イオは一瞬息がとまった。しかしそれではいけないと、はッ、はッと荒く短い呼吸を繰り返す。
「よくがんばりました。全部、入りました」
 あんな大きなものが全部……と思う。そこからゆっくりと角度をつけて動かされた。奥のびりっとするところに届くたびに声をあげた。
「……あっ、かたい、届く、……ぅ、あ、きもちい、きもちい、あ、ん、……ん、ッ……おっきいよう」
「……イオくん……すごくきれいです」
 目じりからこぼれた涙を舌でなめとられた。極太の大きなものを咥えこんでいるのをじっと見られていた。空いた方の手でイオの乳首までいじってくれる。一糸乱れていない鳥飼にすべてをさらけだしていると思うと、恥ずかしくて何度だって泣いてしまう。
「……ぁ、いく、いっちゃう……、おっきいので……ふ、ふさがれてるから……おなか、おく、かんじる、」
 黒く太いおもちゃで犯されて、やめてといいながら自分で腰を振った。前に一切触られていないのにまたたく間にはたはたと射精した。
 イオが達すると、鳥飼は事務的な手つきでアナルからディルドをずるりと抜いた。その抜ける感じにも声がでてしまう。うつぶせて脱力するがベッドを立ち去ろうとする気配に反応して、「いかないで」と言った。
「すぐ戻りますから」といって頭をなでられた。去っていく背中を見る。熱が急速に冷めていった。
 洗面所で水を使う音がする。
 ……自分で洗うと言っているのに何度言ってもきいてくれない。こんなの羞恥プレイだ。イオは唇を噛んだ。

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