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6、初めての終わり
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知らないサラリーマン風の若い男だった。
目が合ったその瞬間に、お互いが何を感じ、この衝撃が何を意味するものなのかわかった。
言葉一つ交わすことなく、見つめ合ったまま目をそらすことができなかった。見知らぬα。男の目はとても静かだった。
足が動かなかった。近づいてくる男から逃げ出すことはできない。そのまま手をひかれ、駐車場にとめられた車に導かれた。
車の中で関係をもった。
それは何トンもの海水が一気に塊で頭から降ってきたような、これまで感じたことのない激しい情動だった。
自分の行いを悔やんだりはしない。
それを非難するものは、経験すればいい。あの大きなものにからめとられる感覚。気づけば、すでに陸から遠く離れている。決して戻ることができない沖に流されている。
つきあげてくるような抗えない本能的な何か。
セックスは、毎日のようにしていたのに、まるで覚えたてのようにぎこちなく、相手の言いなりになった。何度も何度もしつこい単調なピストン運動を狭い車内でうけいれ、車の天井や窓に頭をぶつけた。
これまでで一番感じて泣いた。イっている最中に首筋を噛まれた。
そんな風になりながら、真っ先に思ったのが、どうやってこのことを夫たちに隠し通せるか、ということだった。七か月の交際と一年の結婚生活。三人で築き上げてきた心地よいリズム、くらし。それを死んでも手放したくなかった。
神様どうか、俺から大切なものをとりあげないでください。
流助は「運命の番」であろう見知らぬ男に突っこまれゆさぶられながら、祈った。
「もう、離れない、僕の運命」
まだ名前も知らない相手に言われ、ただうなずいて相手の身体に腕をまわした。
大事なものを全部捨てることになるのだと、その時やっと理解した。
目が合ったその瞬間に、お互いが何を感じ、この衝撃が何を意味するものなのかわかった。
言葉一つ交わすことなく、見つめ合ったまま目をそらすことができなかった。見知らぬα。男の目はとても静かだった。
足が動かなかった。近づいてくる男から逃げ出すことはできない。そのまま手をひかれ、駐車場にとめられた車に導かれた。
車の中で関係をもった。
それは何トンもの海水が一気に塊で頭から降ってきたような、これまで感じたことのない激しい情動だった。
自分の行いを悔やんだりはしない。
それを非難するものは、経験すればいい。あの大きなものにからめとられる感覚。気づけば、すでに陸から遠く離れている。決して戻ることができない沖に流されている。
つきあげてくるような抗えない本能的な何か。
セックスは、毎日のようにしていたのに、まるで覚えたてのようにぎこちなく、相手の言いなりになった。何度も何度もしつこい単調なピストン運動を狭い車内でうけいれ、車の天井や窓に頭をぶつけた。
これまでで一番感じて泣いた。イっている最中に首筋を噛まれた。
そんな風になりながら、真っ先に思ったのが、どうやってこのことを夫たちに隠し通せるか、ということだった。七か月の交際と一年の結婚生活。三人で築き上げてきた心地よいリズム、くらし。それを死んでも手放したくなかった。
神様どうか、俺から大切なものをとりあげないでください。
流助は「運命の番」であろう見知らぬ男に突っこまれゆさぶられながら、祈った。
「もう、離れない、僕の運命」
まだ名前も知らない相手に言われ、ただうなずいて相手の身体に腕をまわした。
大事なものを全部捨てることになるのだと、その時やっと理解した。
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