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第3章 決着

XXXI.ポケットの中身

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 「グロリア嬢、今回のテストの結果ざます」
 実質でカーネル先生からイジメ(?)を受けているグロリアのポケットには愛するミハエル様から受け取った意地悪な姉を懲らしめる為の小瓶が入っていた。

 「まだまだ合格点はあげられないざますが、ペーパーテストの結果は徐々にあがってきていますざます」
 「こんなこと、普通の令嬢には必要がないわ。
 あなたは分からないかもしれないけど貴族の令嬢は殿方に愛されていればいいのよ」
 「何バカなことを言っているざますか。
 確かに女性が政治に関わることはないざます。
 ですが、グロリア嬢に言っていることは極論ざます。
 関わらずとも近隣諸国の簡単な情勢や自国の歴史ぐらいは頭に入れておくのは普通の令嬢でも当然のことざます。
 グロリア嬢にはもう少し、常識というものを学んでもらう必要があるざますね」

 カーネル先生がずっとついているのと、セシルがあまり邸に居ないのでグロリアはなかなかこの小瓶を使うことができずにいた。

 「お姉様は今、どうしているの?」
 「お出かけをしているざます」
 「だから、どこに行っているのかって聞いているの」
 「そんなことよりも勉強を」
 「私知っているのよ。お姉様は隣国の王子と逢引きしているのでしょう」
 「傍には我が国の王子もついているざます。それにこれは王命により行われているざます」
 「私はお姉様の妹なのよ。なのにどうして私だけ何も知らされていないの?」
 「必要がないざます。知ったところで今のグロリア嬢には何もできないざます」
 「できるわよ」
 「ではまず己の領分というものを自覚する必要があるざますね」
 「イサック殿下の歓迎会にだって行かせてもらえなかった」
 「グロリア嬢は夜会は苦手ではなかったざますか?
 今まで出ていなかったざますよね。
 ああ、イサック殿下目当てざますか。でしたら今の倍以上は努力が必要ざます。
 それこそ血の滲むような努力をしてもまだ足りないざますね」
 「私は夜会が苦手だから行かなかったのではないわ!
 今まで行きたくても行けなかったのよ、体が弱いから。
 それに殿下目当てではないわ。私はお姉様のようにはしたなくわないもの」
 「グロリア嬢はいったい何をもって『はしたない』と定義づけをしているのか知らないざますが。姉上を貶めることしができない人間に王族との関わり合いは無理ざますね。
 分かったら、勉強を再開するざます。
 野望が高いのは結構ざますが、それが自分の首を絞めることにも繋がるざます。
 よく覚えておくことざますね」
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