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「陛下は一度も王妃の元へ訪れていないのか?」
「幽閉塔ってあれだろ、罪を犯した王族が入る」
「ああ。あんなところに王妃を閉じ込めていたのか。何てことだ」
「紳士の風上にもおけないな。愛人を作ることは悪いことではないが、それなりのマナーがあるだろうに」
「平民の娘を愛人にして、平気で公の場に連れ回していると聞いたが。まさか、そこまでとはな」
「小国の出ならそのような扱いも致し方なしとなるが、相手はオレスト国の姫だろ」
「自殺行為としか言えんな。無理心中に付き合わされる民が哀れだよ」
国外の貴族はシャルロッテの言葉に呆れを滲ませ、国内の貴族は青ざめていた。
「幽閉塔だと」
「王妃の宮にいないことは知っていたが、まさかそんな所に」
「有り得ない、有り得ないわ!頭がどうかしてるんじゃないの」
トワ様とリヴィお兄様は眉間に皺を寄せ、アンネは怒りのあまり叫んでいた。本来ならはしたない行為ではあるが、こういう状況なので咎める者は居ない。寧ろ、彼女は会場に居る一部の馬鹿達を除いた貴族の心を代弁したのだ。
「クレバー陛下、あなたは我が国と戦争でもしたいのですか?」
リヴィお兄様は笑顔を完全に消し、映像を見て固まったままのクレバー陛下を睨みつけた。
「どうして直ぐそうなる?俺はお前達の為に面倒な女を引き受けてやったんだぞ?」
へぇ。そんなふうに考えていたんだ。
「どういう意味かな?」
「お前達が貿易をするのに俺の国の力が必要なんだろ。この女はその為に嫁いで来たんだろ。俺に体を売りに来るような娼婦を、生まれながらの王族であり、高貴なこの身が貰ってやったんだ。感謝されこそすれ、責められる謂れはない」
政略結婚が何かを分かっていないのか、この男は。本当に、王族か?
会場に居る貴族はもう呆れて物が言えなくなっている。
リヴィお兄様とトワ様は生憎、帯剣は赦されていないのでこの場にないが、あったら直ぐにクレバー陛下の首を飛ばしにかかっていただろう。でも、私は知っている。二人が武器を隠し持っていることを。
「娼婦?あなたは私の義妹に向かってそう言ったのかしら?」
アンネお義姉様の額に青筋が立ち、手にしている扇は折れてしまいそうなほど握りしめている。
「事実だろう」
「厭らしい王妃ね。クレバーもそう思わない?」
クスリと笑ってシャルロッテはクレバー陛下の腕に抱きつこうとしたがクレバー陛下はそれを拒んだ。
「あん。クレバーどうしたの?」
「黙れ、尻軽女。お前も、それからコブラ達も。俺を騙して陰で笑っていたんだろう」
「ち、違うわ。あれはあの女と取り巻きが仕組んだことよ」
「そうですよ、陛下。我々と彼女はそのような関係ではありません」
「信じて下さい」
「黙れ!全員、捕縛しろ。こいつらは処刑だ」
「陛下っ!」
「そんなぁ」
「こんな理不尽なこと許されるわけがない」
「そうだ。俺達の両親が黙っているわけがない」
「あら。黙っているわよ。だって、あなた達はもう貴族じゃないもの。全員、勘当されているわよ」
元婚約者だった令嬢の一言で側近達は青褪める。
まぁ、あれだけ好き放題していたら家に災いの火の粉が飛ぶ前に斬り捨てるのは当然ね。
彼らはそんなこと思いもしなかったようだけど。
「幽閉塔ってあれだろ、罪を犯した王族が入る」
「ああ。あんなところに王妃を閉じ込めていたのか。何てことだ」
「紳士の風上にもおけないな。愛人を作ることは悪いことではないが、それなりのマナーがあるだろうに」
「平民の娘を愛人にして、平気で公の場に連れ回していると聞いたが。まさか、そこまでとはな」
「小国の出ならそのような扱いも致し方なしとなるが、相手はオレスト国の姫だろ」
「自殺行為としか言えんな。無理心中に付き合わされる民が哀れだよ」
国外の貴族はシャルロッテの言葉に呆れを滲ませ、国内の貴族は青ざめていた。
「幽閉塔だと」
「王妃の宮にいないことは知っていたが、まさかそんな所に」
「有り得ない、有り得ないわ!頭がどうかしてるんじゃないの」
トワ様とリヴィお兄様は眉間に皺を寄せ、アンネは怒りのあまり叫んでいた。本来ならはしたない行為ではあるが、こういう状況なので咎める者は居ない。寧ろ、彼女は会場に居る一部の馬鹿達を除いた貴族の心を代弁したのだ。
「クレバー陛下、あなたは我が国と戦争でもしたいのですか?」
リヴィお兄様は笑顔を完全に消し、映像を見て固まったままのクレバー陛下を睨みつけた。
「どうして直ぐそうなる?俺はお前達の為に面倒な女を引き受けてやったんだぞ?」
へぇ。そんなふうに考えていたんだ。
「どういう意味かな?」
「お前達が貿易をするのに俺の国の力が必要なんだろ。この女はその為に嫁いで来たんだろ。俺に体を売りに来るような娼婦を、生まれながらの王族であり、高貴なこの身が貰ってやったんだ。感謝されこそすれ、責められる謂れはない」
政略結婚が何かを分かっていないのか、この男は。本当に、王族か?
会場に居る貴族はもう呆れて物が言えなくなっている。
リヴィお兄様とトワ様は生憎、帯剣は赦されていないのでこの場にないが、あったら直ぐにクレバー陛下の首を飛ばしにかかっていただろう。でも、私は知っている。二人が武器を隠し持っていることを。
「娼婦?あなたは私の義妹に向かってそう言ったのかしら?」
アンネお義姉様の額に青筋が立ち、手にしている扇は折れてしまいそうなほど握りしめている。
「事実だろう」
「厭らしい王妃ね。クレバーもそう思わない?」
クスリと笑ってシャルロッテはクレバー陛下の腕に抱きつこうとしたがクレバー陛下はそれを拒んだ。
「あん。クレバーどうしたの?」
「黙れ、尻軽女。お前も、それからコブラ達も。俺を騙して陰で笑っていたんだろう」
「ち、違うわ。あれはあの女と取り巻きが仕組んだことよ」
「そうですよ、陛下。我々と彼女はそのような関係ではありません」
「信じて下さい」
「黙れ!全員、捕縛しろ。こいつらは処刑だ」
「陛下っ!」
「そんなぁ」
「こんな理不尽なこと許されるわけがない」
「そうだ。俺達の両親が黙っているわけがない」
「あら。黙っているわよ。だって、あなた達はもう貴族じゃないもの。全員、勘当されているわよ」
元婚約者だった令嬢の一言で側近達は青褪める。
まぁ、あれだけ好き放題していたら家に災いの火の粉が飛ぶ前に斬り捨てるのは当然ね。
彼らはそんなこと思いもしなかったようだけど。
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