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「ミズキ様。私も同行致します。何があっても必ずあなたを守ります」
部屋に戻った私にエイルが唐突に口を開いた。魔王を封印しに行くにあたってつけられる護衛に私が不安を抱いていることを敏感にも感じ取ったのだろうか。大した勘の良さだ。
「ありがとう」
相変わらずの無表情だけれど彼の優しさは十分に伝わったので私はお礼を言った。でもなぜか彼はとても不満そうだ。
「あなたは何も分かっていない」
ため息交じりにエイルが言う。
分かっていないとは何を分かっていないと言っているのだろうか。
首をかしげる私を見てエイルは一気に距離を縮めてきた。そして私の腕を引き、抱きしめる。彼の逞しく、硬い胸板。気が付けば私は彼の腕に囚われていた。
「エ、エイル」
どくどくと心臓がうるさい。体内を巡る血液が超特急で全身を駆け巡る。
「必ず守ります。魔王からも、殿下からも。全てから」
男性を匂わせる低い声が耳朶にかかる。それだけでぞくりとする。
「あなたを傷つけはさせない」
彼の手が赤くなった私の頬に触れる。見上げた私が見たのは甘く、色気の含んだ彼の顔だった。その顔が徐々に近づいてきた。彼を凝視するしかできない私の唇に彼の唇が触れた。それは本当に触れた程度のものだったから私はすぐには何が起こったか分からなかった。
「っ」
分かって、赤くなっていた頬がさらに赤くなった。きっと今熱を測ったら四〇度はあるかもしれない。
エイルは何事もなかったかのように部屋を出て行ったが、取り残された私は床に座り込みそこから動けなかった。唇に触れると彼の感触がまだそこにあった。それが余計に私の体を熱くさせる。
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