22 / 31
第六話 プロフェッサーディックの秘密④
しおりを挟む
「結局ティナはワシらの養子にする事を決め、ミコとニカのお陰であの子は少しずつ兄を失った悲しみから立ち直っていった。だがしかし、ワシは自分に何か十字架を背負わせなくては気が済まなかった。チイロの死に何か意味を持たせてやらなくては余りに浮かばれんと思ったんや」
其処でディックは一瞬言葉を切り、僅かに上を向き始めたフートと目を合わせた。その視線に何故か凄まじいバツの悪さを覚え慌てて顔を逸らすと、その先でハルトマンファンクラブと書かれた金色のカードの中で笑う少し若いディックと目が合いフートは顔を顰める。
一方のディックはその反応に気落ちした様子は無く、再び口を開き話を再開した。
「ワシはあの子を追い詰めた移民を悪と呼ぶ風潮、いやッ誰かを悪者にし正義を掲げる社会の構造を変えようと考えた。それが一番あの子の供養となると思ったんや。しかしワシの頭では幾ら考えた所でこの世から全ての悪者を消す方法は浮かばんかった。だが其れでも諦め悪く考えていると突如強い確信を纏った閃きが落ちてきた、世界から悪者が消えないのなら自分一人を悪者にすれば良いと」
「………それが、この街の真相ッ」
「そうや、済まんかったな」
フートは全てを理解してしまった。そしてそれに気付いたディックが何と表現して良いのか分からない、使命感に多少の罪悪感が混じる奇妙な表情をする。
「人間同士の信頼関係は150人が限度と言われ、それを超えればグループ化し排他が起こり対立が生じる。だが例外もある、それが戦時下や災害時などの皆が一方を向ける危機がある時や。だからワシは全人類が一方を向ける危機に自分自身がなる事を決めた、全人類が同意する悪者となる事を決めたんや。そうすることで皆が一つの正義の元に団結するヒーローとなる事が出来る。ワシという悪が巨大になれば成る程ハルトマンという正義の象徴は光輝き、人々の団結は強固となっていく」
ディックは自らが呼吸を忘れていた事に気付き、スゥと息を吸いそしてその言葉を放った。
「フート、ワシはお前が思い描いている様な孤高で社会転覆を狙うヴィランではない。プロフェッサーディックは言うなればプロレスでいう所のヒール、社会を維持する為に存在する歯車、嫌われ者を演じるピエロに過ぎん」
其れまでの内容で何となく分かっていた事ではあったが、改めて明確な言葉にされると流石に応えた。今思い返してみれば、ハルトマンが今程もてはやされ始めたのはプロフェッサーディックが現われてからだった気がしてくる。
「………………じゃあッ、つまり……オレが今まで憧れて手に汗握ってきた戦いは全て嘘だったって事ですか? アンタ達が演じる人形劇に馬鹿みたいに歓声を上げていただけッ」
「別に手を抜いてた訳やない。ハルトマンはこの事を知らんから全力で向き合わな簡単に殺されるからな。けど、手段を選ばなかったかと聞かれれば嘘になる。不意打ちを行ったり人質をとったりしとれば、若しかすると今頃勝とったかも知れへんな」
全てが仕組まれていたのである。
プロフェッサーディックは思い描いていた様な一人社会から独立し孤軍奮闘する反逆者ではなかった。それどころか社会の最奥部に位置する巨大歯車であるハルトマンを際立たせる為の付属品に過ぎなかったのだ。
この世で最も生きていると思っていた男は、実は初めから社会システムの一部だったのである。
「……なんで、何でそれをオレに教えたんです。こんな事知りたくなかった。知らないままで居させてくれれば、あの時あのままオレを拒絶してくれてれば………唯オレの自殺を肯定してさえくれれば迷わなかったのにッ」
フートの内側で滅茶苦茶に暴れ出したい様な、蹲って唯涙を流したい様な、今すぐ此処から逃げ出したい様な、そんな感情がグルグルと渦巻く。
単純に裏切られた訳ではなく、彼の言わんとしている事が理解できてしまった事が事態を更に複雑にする。だがその理解した内容は彼の思想と反するどころか、寧ろ真逆の考えであった。
自らを犠牲にし、社会を一つの正義で塗りつぶすなど許容できる訳が無いではないか。
「お前に教えたのは、唯の自己満足や。チイロによく似たお前に手を伸ばせば自分の罪が許される様な気がしたんや。それが救いに成らず逆に恨まれたとしても、自ら死へ向かうお前を無視出来んかった」
やはり、ディックもフートをチイロと重ねていたらしい。
「自己満足ついでに言わせて貰うで。肉親がおらず、周囲に頼れる人間も居らんかったお前には世界の全てが敵に見えとるだろう。けどな、世界ってのはお前が思ってるほど悪いもんやないで。奪ってくるだけやなく与えてくれる人だって居るんや、無条件にな。社会という物が善か悪かを判断するにはお前の年齢じゃまだ時期尚早や。リアリストになんて何時でも成れる、根拠の無い夢希望を語れるのは若者の特権なんやで?」
ディックの穏やかで優しい視線を感じるが、フートはその視線でさえ直視する事が出来ず顔を伏せる。
「ワシは言っていたな、秘密を知って弟子に成りたいとお前が言えたら弟子にすると。どうするかはお前が決めろ。何も弟子になったからって全てワシに習う必要は無い、唯の踏み台として使ってくれても一向に構わん。当然、ワシの伸ばした手を拒絶するという選択も歓迎しよう………」
其処でディックは返答を求める様に間を作る。だがやはり、フートは何も言葉を発する事が出来なかった。
自らの信念を貫くのであれば此処での選択肢は拒絶以外に有り得ないだろう。しかし、それを行動に移そうとするとフライパンにこびり付いた焦げの如き憧れが邪魔をするのだ。では弟子入りを選ぶかと聞かれれば、それもまた過去が邪魔をして選ぶ事が出来ないのである。
沈黙は一分程続き、ディックがくしゃりと笑ったのを合図として壊れた。
「まあ、別に今すぐ回答を貰おうとは思っとらん。お前の人生に関わる問題やからな、ゆっくり考えてから回答をくれれば良い。それと助けて貰った礼に暫くうちに泊まってけ。此処は設備が充実しとるから工学の勉強も捗るし、何より飯の心配が要らん。何か分からんことがあったら直ぐワシに聞けるしな」
「………飯食うだけ食って結局居なくなるかも知れませんよ」
「ああ、構わんよ。ワシも其処まで引退を急いどる訳でもないしなッ」
結局フートはその日の内に結論を出すことが出来なかった。こういう物はその日のうちに答えを出さなくては堂々巡りになるとは分かっていたが、出来なかった。
つい一時間前まで彼の弟子に成りたくて仕方が無かった筈なのに、今はそれが歪にねじ曲がってしまっている。今まで散々否定されてきた社会の一部に戻るなんて納得出来ない。だがこのままの自分ではいけないという事も分かってる。
振り上げた拳を何処に下ろせば良いのか分からないまま、唯時だけが流れていったのだった。
其処でディックは一瞬言葉を切り、僅かに上を向き始めたフートと目を合わせた。その視線に何故か凄まじいバツの悪さを覚え慌てて顔を逸らすと、その先でハルトマンファンクラブと書かれた金色のカードの中で笑う少し若いディックと目が合いフートは顔を顰める。
一方のディックはその反応に気落ちした様子は無く、再び口を開き話を再開した。
「ワシはあの子を追い詰めた移民を悪と呼ぶ風潮、いやッ誰かを悪者にし正義を掲げる社会の構造を変えようと考えた。それが一番あの子の供養となると思ったんや。しかしワシの頭では幾ら考えた所でこの世から全ての悪者を消す方法は浮かばんかった。だが其れでも諦め悪く考えていると突如強い確信を纏った閃きが落ちてきた、世界から悪者が消えないのなら自分一人を悪者にすれば良いと」
「………それが、この街の真相ッ」
「そうや、済まんかったな」
フートは全てを理解してしまった。そしてそれに気付いたディックが何と表現して良いのか分からない、使命感に多少の罪悪感が混じる奇妙な表情をする。
「人間同士の信頼関係は150人が限度と言われ、それを超えればグループ化し排他が起こり対立が生じる。だが例外もある、それが戦時下や災害時などの皆が一方を向ける危機がある時や。だからワシは全人類が一方を向ける危機に自分自身がなる事を決めた、全人類が同意する悪者となる事を決めたんや。そうすることで皆が一つの正義の元に団結するヒーローとなる事が出来る。ワシという悪が巨大になれば成る程ハルトマンという正義の象徴は光輝き、人々の団結は強固となっていく」
ディックは自らが呼吸を忘れていた事に気付き、スゥと息を吸いそしてその言葉を放った。
「フート、ワシはお前が思い描いている様な孤高で社会転覆を狙うヴィランではない。プロフェッサーディックは言うなればプロレスでいう所のヒール、社会を維持する為に存在する歯車、嫌われ者を演じるピエロに過ぎん」
其れまでの内容で何となく分かっていた事ではあったが、改めて明確な言葉にされると流石に応えた。今思い返してみれば、ハルトマンが今程もてはやされ始めたのはプロフェッサーディックが現われてからだった気がしてくる。
「………………じゃあッ、つまり……オレが今まで憧れて手に汗握ってきた戦いは全て嘘だったって事ですか? アンタ達が演じる人形劇に馬鹿みたいに歓声を上げていただけッ」
「別に手を抜いてた訳やない。ハルトマンはこの事を知らんから全力で向き合わな簡単に殺されるからな。けど、手段を選ばなかったかと聞かれれば嘘になる。不意打ちを行ったり人質をとったりしとれば、若しかすると今頃勝とったかも知れへんな」
全てが仕組まれていたのである。
プロフェッサーディックは思い描いていた様な一人社会から独立し孤軍奮闘する反逆者ではなかった。それどころか社会の最奥部に位置する巨大歯車であるハルトマンを際立たせる為の付属品に過ぎなかったのだ。
この世で最も生きていると思っていた男は、実は初めから社会システムの一部だったのである。
「……なんで、何でそれをオレに教えたんです。こんな事知りたくなかった。知らないままで居させてくれれば、あの時あのままオレを拒絶してくれてれば………唯オレの自殺を肯定してさえくれれば迷わなかったのにッ」
フートの内側で滅茶苦茶に暴れ出したい様な、蹲って唯涙を流したい様な、今すぐ此処から逃げ出したい様な、そんな感情がグルグルと渦巻く。
単純に裏切られた訳ではなく、彼の言わんとしている事が理解できてしまった事が事態を更に複雑にする。だがその理解した内容は彼の思想と反するどころか、寧ろ真逆の考えであった。
自らを犠牲にし、社会を一つの正義で塗りつぶすなど許容できる訳が無いではないか。
「お前に教えたのは、唯の自己満足や。チイロによく似たお前に手を伸ばせば自分の罪が許される様な気がしたんや。それが救いに成らず逆に恨まれたとしても、自ら死へ向かうお前を無視出来んかった」
やはり、ディックもフートをチイロと重ねていたらしい。
「自己満足ついでに言わせて貰うで。肉親がおらず、周囲に頼れる人間も居らんかったお前には世界の全てが敵に見えとるだろう。けどな、世界ってのはお前が思ってるほど悪いもんやないで。奪ってくるだけやなく与えてくれる人だって居るんや、無条件にな。社会という物が善か悪かを判断するにはお前の年齢じゃまだ時期尚早や。リアリストになんて何時でも成れる、根拠の無い夢希望を語れるのは若者の特権なんやで?」
ディックの穏やかで優しい視線を感じるが、フートはその視線でさえ直視する事が出来ず顔を伏せる。
「ワシは言っていたな、秘密を知って弟子に成りたいとお前が言えたら弟子にすると。どうするかはお前が決めろ。何も弟子になったからって全てワシに習う必要は無い、唯の踏み台として使ってくれても一向に構わん。当然、ワシの伸ばした手を拒絶するという選択も歓迎しよう………」
其処でディックは返答を求める様に間を作る。だがやはり、フートは何も言葉を発する事が出来なかった。
自らの信念を貫くのであれば此処での選択肢は拒絶以外に有り得ないだろう。しかし、それを行動に移そうとするとフライパンにこびり付いた焦げの如き憧れが邪魔をするのだ。では弟子入りを選ぶかと聞かれれば、それもまた過去が邪魔をして選ぶ事が出来ないのである。
沈黙は一分程続き、ディックがくしゃりと笑ったのを合図として壊れた。
「まあ、別に今すぐ回答を貰おうとは思っとらん。お前の人生に関わる問題やからな、ゆっくり考えてから回答をくれれば良い。それと助けて貰った礼に暫くうちに泊まってけ。此処は設備が充実しとるから工学の勉強も捗るし、何より飯の心配が要らん。何か分からんことがあったら直ぐワシに聞けるしな」
「………飯食うだけ食って結局居なくなるかも知れませんよ」
「ああ、構わんよ。ワシも其処まで引退を急いどる訳でもないしなッ」
結局フートはその日の内に結論を出すことが出来なかった。こういう物はその日のうちに答えを出さなくては堂々巡りになるとは分かっていたが、出来なかった。
つい一時間前まで彼の弟子に成りたくて仕方が無かった筈なのに、今はそれが歪にねじ曲がってしまっている。今まで散々否定されてきた社会の一部に戻るなんて納得出来ない。だがこのままの自分ではいけないという事も分かってる。
振り上げた拳を何処に下ろせば良いのか分からないまま、唯時だけが流れていったのだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)
あおっち
SF
港に立ち上がる敵AXISの巨大ロボHARMOR。
遂に、AXIS本隊が北海道に攻めて来たのだ。
その第1次上陸先が苫小牧市だった。
これは、現実なのだ!
その発見者の苫小牧市民たちは、戦渦から脱出できるのか。
それを助ける千歳シーラスワンの御舩たち。
同時進行で圧力をかけるAXISの陽動作戦。
台湾金門県の侵略に対し、真向から立ち向かうシーラス・台湾、そしてきよしの師範のゾフィアとヴィクトリアの機動艦隊。
新たに戦いに加わった衛星シーラス2ボーチャン。
目の離せない戦略・戦術ストーリーなのだ。
昨年、椎葉きよしと共に戦かった女子高生グループ「エイモス5」からも目が離せない。
そして、遂に最強の敵「エキドナ」が目を覚ましたのだ……。
SF大河小説の前章譚、第4部作。
是非ご覧ください。
※加筆や修正が予告なしにあります。
バンクエットオブレジェンズ~フルダイブ型eスポーツチームに拉致ッ、スカウトされた廃人ゲーマーのオレはプロリーグの頂点を目指す事に!!~
NEOki
SF
廃人ゲーマー『群雲疾風』は極めていた鬼畜ゲーのサービス終了によって生きがいを失っていた。しかしそんな中バーチャルアイドルとして活躍する妹から案件を受けたという今巷で大人気のフルダイブ型対戦ゲームを勧められ、難易度の低い一般ゲーでは満足出来ないと思いながらも善意を無碍にできず一日だけプレイしてみる事に。しかしその一日でまさかのプロリーグで活躍するトッププロとマッチングし、ゴミスキルだと思われていた0.1秒の無敵を鬼畜ゲーで鍛えた異常な動体視力により敵の攻撃へ合わせ続け勝利目前という所まで追い込む。しかし流石にトッププロの壁は厚くあと一歩が足りず敗北した疾風は、その対戦した№1プレイヤー『レッドバロン』と自らの間に大きな隔たりを感じ新たな鬼畜ゲーの発見に胸を踊らせたのであった。
そしてその後限定スキン目当てで参加したリアルイベントでセミプロレベルの選手を打ちのめし、怪しげな三人組に目を付けられた彼は巨大な黒いワンボックスカーへと引き摺り込まれ………?
ゲームに熱く成った事のある全ての人へ送るEスポーツ青春譚!!
毎日1話確定更新ッ!! お気に入り、評価等々を一つでも頂けたら一日2話更新ッ!!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
烈火の大東亜
シャルリアちゃんねる
SF
現代に生きる男女2人の学生が、大東亜戦争[太平洋戦争]の開戦直後の日本にタイムスリップする。
2人はその世界で出会い、そして共に、日本の未来を変えようと決意し、
各海戦に参加し、活躍していく物語。その時代の日本そして世界はどうなるのかを描いた話。
史実を背景にした物語です。
本作はチャットノベル形式で書かせて頂きましたので、凝った小説らしさというより
漫画の様な読みやすさがあると思いますので是非楽しんでください。
それと、YOUTUBE動画作製を始めたことをお知らせします。
名前は シャリアちゃんねる です。
シャリアちゃんねる でぐぐってもらうと出てくると思います。
URLは https://www.youtube.com/channel/UC95-W7FV1iEDGNZsltw-hHQ/videos?view=0&sort=dd&shelf_id=0 です。
皆さん、結構ご存じかと思っていましたが、意外と知られていなかった、第一話の真珠湾攻撃の真実等がお勧めです。
良かったらこちらもご覧ください。
主に政治系歴史系の動画を、アップしています。
小説とYOUTUBEの両方を、ごひいきにして頂いたら嬉しく思います。
天使の歌声を追って俺はVtuberになることを決意する!
菅原みやび
SF
【これは戦う、近未来のVtuber達の物語……】
20XX年の近未来、全人類は、とある理由により地下に潜伏することになる。
昔日本だった場所の地下にある一つ【地下未来都市 天神】。
そこに住むゲーム大好き少年【白野 無紅(しらの むく)】はネットで知り合った知人【黒野 瑠璃(くろの るり)】と友人の【青井 優(あおい ゆう)】のアドバイスを受けVtuberのオーディションを受けることに。
無紅がVtuberを受ける一番の理由はオーディション事務所【国津アルカディア】が運営していた旧作のVRゲームで一人の天使と出会った事……。そう、無紅はその天使にもう一度会うために国津アルカディアのVtuberになることを決意したのだ。
オーディションの結果は驚いたことになんと合格‼ その結果に素直に喜ぶ無紅。
実はこの事務所、新しいVRゲーム【アルカディアアドベンチャー】のシンガー枠のテスターを探しており、社員の一人である瑠璃が無紅を予め候補選定していたからだったのだ!
候補選定理由は『無紅が無類のゲーム好きであり、その熱意と様々な実績がゲーム業界に貢献している。そして貢献していく』と面接官一同に伝わったこと。更には特殊能力【フィーリングコピー】を持っていたから。
フィーリングコピー。それは、無紅が無意識に良いと思った対象人物の特技をそっくり自分のものにしてしまうというもの。実は無紅は無意識に昔聴いた【天使の歌声】をフィーリングコピーしていたのだった。
また、それとは別に無紅には驚くべき秘密が隠されているのだが、当の本人は気づいていない。
こうして、無紅は高校の学園生活をしながら、Vtuberとして成長しつつ、VRゲーム【アルカディアアドベンチャー】の世界を冒険していくことになるのだが……。
実は、このアルカディアアドベンチャーは、ただのVRオンラインゲームでは無くて……。
近未来地下都市で繰り広げられる、無紅と友人達のVtuber活動兼、思い人である天使を探す、【笑いあり、感動あり、複雑に絡んだ色恋沙汰あり、そして涙あり】の冒険活劇が今スタートする!
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
MMS ~メタル・モンキー・サーガ~
千両文士
SF
エネルギー問題、環境問題、経済格差、疫病、収まらぬ紛争に戦争、少子高齢化・・・人類が直面するありとあらゆる問題を科学の力で解決すべく世界政府が協力して始まった『プロジェクト・エデン』
洋上に建造された大型研究施設人工島『エデン』に招致された若き大天才学者ミクラ・フトウは自身のサポートメカとしてその人格と知能を完全電子化複製した人工知能『ミクラ・ブレイン』を建造。
その迅速で的確な技術開発力と問題解決能力で矢継ぎ早に改善されていく世界で人類はバラ色の未来が確約されていた・・・はずだった。
突如人類に牙を剥き、暴走したミクラ・ブレインによる『人類救済計画』。
その指揮下で人類を滅ぼさんとする軍事戦闘用アンドロイドと直属配下の上位管理者アンドロイド6体を倒すべく人工島エデンに乗り込むのは・・・宿命に導かれた天才学者ミクラ・フトウの愛娘にしてレジスタンス軍特殊エージェント科学者、サン・フトウ博士とその相棒の戦闘用人型アンドロイドのモンキーマンであった!!
機械と人間のSF西遊記、ここに開幕!!
法術省 特務公安課 ‐第0章‐『法術概論』
秋山武々
SF
ー2045年、誰でも魔法使いになれる日常が訪れるー
※この章は本編へ繋がる補完的物語です。
2020年、大気圏上での二つの隕石の衝突。人類は世界の終末を迎えようとしていたが、衝突した隕石は地球に衝突することなく散開。最小限の災害で事なきを得る。
それ以降、世界各地で火、水、風、地などの自然現象を意図的に発生させることが可能な人間、謂わゆる超常現象と呼ばれていた非科学的且つ説明不可能の現象を創造できる人間が増加していく。
国連は人間が発生させる、もしくはその事象に関連する行為・行動を「法術」と規定し、該当する人間を強制的に保護観察下に置いていくが、人権を求めた者や法術を悪用したテロリストは様々な法術事件を発生させ、国連への反発と批判は高まってしまったことで後に三大法術事件が起きてしまう。
人間の体内に法術に関連する細胞が存在することが発表され、全人類に遺伝子IDの発行と登録の義務化がされたことで各国での法術を利用した犯罪は抑止され鎮静化を迎えた。
2040年以降、世界は法術が日常となりつつあり、今や国の産業となっている。
先進国は法術利用に重点を置いた産業開発、資源開発、軍事開発に国の財を投資するようになっていた。
国内では官公庁に新たに法術省が新設され、以前までの官公庁の業務や事案にですら間接的に関与することが許可され、法術が国家に不可欠なものになっていた。
法術をデジタル化し、素質など関係なく適正さえあれば誰でもダウンロードができ、人生を豊かにできる。
世界では法術ダウンロード可決への賛否が騒がれていた。
人が魔法を使う。そんな話はもはや空想の話ではなくなっている。
しかし、法術犯罪も凶悪化の一途を辿るのだった。
法術省特務公安課の磐城は法術テロの被害者であり、弟を昏睡状態にさせたテロの重要参考人である「ブラックグローブ」を日々追い求めていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる