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公爵令嬢様は発明好き
私のモノに触れないで下さいませね
しおりを挟む「レイモンド…ここで待っててちょうだい。父上にご挨拶に行ってくるわ(ついでに王立図書館の禁書覗いて帰ってこようっと)」
王宮の客間の前で話す2人。
ここの使用はすでに許可を得ている。
「心の声がダダ漏れですよ、お嬢…。図書館へは俺も行きます」
「ふっ。よく分かったわね。」
「何年貴女の従者をしてると思ってるんですか?」
「分かってるわよ。私が望んだのだから」
「そうですよ?ちゃんと責任持ってくださいね」
「はいはい」
軽くあしらうアリシア。レイモンドとの掛け合いも通常運転だ。
「とりあえず、お父様に会いに行ってくるわ。作ったドレスを見せないで着替えたら泣きそうだもの」
今回は、彼女のドレスはエクルベージュの色のドレスだ。
総レースでコルセットではなく後ろをコルセット風にリボンで結ぶもの。
全体的に薄くぼんやりしてしまいそうであるが、青色のレースが所々に使われておりポイントになっている。
髪の毛を緩く編み込みダウンスタイルに。
その編み込みにもレースを一緒に編み込んでいる。
彼女の美しさに儚さをプラスしている。
「そうですね…公爵様は娘の貴女を溺愛しているから」
「それは分かっているわ。貴方もよ?」
「何がですか?」
キョトンとレイモンドがアリシアを見る。
「貴方も私に充分甘いわよ。それに父上も貴方には甘いわ。家族だからよ」
「…家族…ですか」
「そうよ」
レイモンドはその言葉を噛みしめるように呟く。
それを見ていたアリシアは微笑む。
「さて、そろそろいくわ。もうじきくるでしょう。砂糖にたかる蟻のように」
「蟻って…あんたは」
はぁっと1つ息を吐いた。
レイモンドはドアの取手に手をかける。
「お気をつけて」
「それはこちらのセリフよ。すぐに戻るわ」
「かしこまりました」
バタン!!
と突然大きな音がする。
「レイモンド・ティアソンがいるのはここかしら!!」
大きな声をあげ仁王立ちで立っているのはレイチェル・カールトン侯爵令嬢さまだ。
「カールトン侯爵令嬢?」
若干しかめっ面になったが、直ぐに表情を整えるレイモンド。
ツカツカと近寄ってくる、レイチェル嬢。
「貴方!私のモノになりなさい!!」
「は?」
「私のモノになりなさい、これは命令よ!!」
意味がわからないのかと苛々した様子で話すレイチェル。
「いえ…あの…私はアリシア様…公爵家と契約を交わしている身ですのでそれを裏切るわけには参りません」
「ティアソンなんて貴族いないじゃないの!どうせあの女が遊びで囲っているのでしょう?」
「仮にそうだとしても貴方様のモノになる道理がありませんが?」
「まぁ!!私が遊んであげると言っているのよ?光栄に思いなさい。いえ思わなければならないわ。もうすぐ私は王太子妃になるのだから!!あの公爵令嬢よりずっと身分の高いね!」
「そうだとしても、男を囲うなど貴方様の御名に傷が付きますが?」
レイモンドは段々苛々してきた。
この厚顔無恥な振る舞い、金切り声どうしたらこうも人不快にさせる態度が取れるのだろうかと。
「貴族社会では愛人を囲うことなどもはや常識よ!私はセリオスの妃として王族に入るわ!セリオスも美しいから私のモノになるのよ!」
レイモンドはため息をつきたくなる。
その思考のおかしさ最早異常である。
「いえ、あのお断りします」
「貴方に断る権利はなくってよ!その醜いオッドアイの貴方を囲ってあげるというのだから感謝して欲しいくらいだわ!!」
「私のモノに触らないで下さいな、レイチェル・カールトン?」
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