お飾りの侯爵夫人

愚人は夏の虫

物語…？


「私が夢見てた物語の通りにに動いてちょうだい！！」



「いい加減にしろ！！！！
あなたは何を訳の分からないことを言ってるんだ！」



サシリア様の声に負けないくらい、いえそれ以上の声で父が怒鳴ります。



その場にしゃがみ込んでしまったサシリア様。

その時、兄がどこかに視線を移したのを横目で見ました。


「私の息子と可愛いマレーネちゃんが結婚してしあわせに暮しました…て美しい物語でしょう？」



見上げるような形で彼女は私たちを見ていますが正直に申し上げますが、彼女が望んでいることが理解できませんでした。




サシリア様は私の母と同じかもしくは年上だったと思います。

















”コンコンコンコン”




と…その緊迫した状況の中…ドアをノックする音が聞こえました。


「はいれ」


父が促した相手は…ファビアンでした。



「ご領主様…ノルトハイム侯爵様がお目覚めになりました」



アクラム様が目を覚ましたと聞いたお二人ノルトハイム前侯爵夫妻は立ち上がり

「アクラムめに注意してまいります！！」
ルーベルト様が鼻息あらく言われました。



それを私の父が手で制し

「必要ない！彼にはこちらから話をつけよう！衛兵！お二人ノルトハイム前侯爵夫妻を丁重に治療院まで運んでやれ！彼らの妄言に惑わされるな！！」


「なっっっ…！！」


父がそう叫ぶと彼らを囲うように衛兵が入ってきます。


お二人ノルトハイム前侯爵夫妻は何かを叫んでいましたが、最早、衛兵に取り囲まれて話ができる状態ではありませんでした。