お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩

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決めたこと

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私は知りたいと思いました。
アクラム様の学生時代からのこと。

自分の思い出の中で美化しつつ、現実から目を逸らし続けたのは私の過ちです。

兄も友人と言いながら武と文で交わらない時間が多く、アクラム様のことをちゃんと知っているわけではありませんでした。

私はどこまでも箱入りのお嬢様で、これでは”お飾り”と揶揄されても仕方ありません。


この婚姻関係を続けられるかと考えたとき、私はもうアクラム様との未来を考えることができなくなっていました。

やはり、彼の言葉が誠実でなかったことが一番だったのでしょう。

私は包み隠さず話してほしかった。
学生時代のことでも婚約関係にはあったのに、相手の女性から自分の婚約者との関係を伝えられ寧ろあちらのほうが本物の恋人関係のようでした。
結婚後も私が思い悩んでいたことは、彼女との関係でした。
侯爵家では孤立し、アクラム様はいつも帰ってこられない。
どこで何をしているかも教えられないまま私はずっといたのです。

今思えばおかしな事が沢山あって、それでも認めたくなくてでも離婚を切りだしたら見えてきた真実…

私は向き合わなければならないのです。
自分のためにもアクラム様やブリュンヒルド様のことも…















私はそう結論付けて、兄の部屋に参りました。

入室の許可を得るために、ドアをノックいたします。


「入れ」



「失礼いたします」



兄は私の姿を確認すると、すぐに立ち近づいてきました。


「マレーネ!大丈夫か!!」


二の腕をしっかりともたれているので痛いです。お兄様…

「痛い…痛いですわ、お兄様っ!」


「…あ、あぁ…すまない」


「…ご心配おかけして申し訳なりません。お願いがあってまいりました」


途端に目つきを鋭くする兄。
たぶんこれは誤解しているのでしょう。


「アクラムのことかっ!あいつは一発殴ってやらんと気が済まない!あいつのところに戻るつもりか!!」


ああ…やっぱり…


「違います、戻る戻らないではなく、それを決める材料が欲しいのです」



「材料?」


私は真っ直ぐに兄をみました。






「アクラム様の身辺調査をするための情報屋の紹介をお兄様にお願いしたいのです。」












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