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メアリーと
しおりを挟む私はその後、再び熱が出てしまい2日程寝こんでしまいました。
メアリーが
「お嬢様...御自分の体を過信されてはいけません。私が責任を持ってお世話させて頂きます。」
メアリーにお世話をしてもらえるのは嬉しかったです。昔を思い出すから。
優しい記憶を思い出せるから…
「ねぇ、 メアリー 少しお話しをしない?」
「お嬢様... お身体に障りませんか?」
「えぇ、 大丈夫よ」
メアリーは少し心配気に見つめてきます。
大丈夫。私はもう大丈夫のはずです。
「何を話しましょうか?」
「メアリーはヨセフ と結婚して何年経つのかしら?」
「そうですねぇ。かれこれ30年程ですね」
「30年・・・ 」
30年と口に出しても想像が出来ません。
「メアリーとヨセフは仲が良いのね」
少し ... いいえ、大分私は羨んでしまいました。
私達はけっして仲が良いとはいえませんでしたから。
「仲良くなろうと努力したのですよ。私たち夫婦は」
「でもその努力が出来ない場合もあるわよね」
「そうですね、爵位がある方々には時としてそれが難しい場合があります。 でもお嬢様、アクラム様とのお話し合いの場で気持ちを確認し合われましたか?」
「確認も何も、アクラム様はずっと好きな人がいて、その人と一緒になるのよ」
自分で言っていて、悲しくなってきました。自分が好かれていない現実をつきつけられた気がするからです。
「なぜ回りくどいことをするのかアクラム様に尋ねられましたか?世間では離縁など醜聞という考えがまだあるのに、直接その女性にいかなかったことを」
そうです。本当はずっと疑問でした。
アクラム様がなぜ私と結婚したのか。
私が膝をかかえていると
メアリーは少し息をついて声をかけてくれました。
「もう一度、アクラム様とお話されませ。 こうなったらとことん疑問をぶつけなさいませ。それでも お嬢様のことを傷つけるようなことをアクラム様が仰いましたら、私とヨセフとっちめてあげます。」
それを聞いた私はぷっと笑ってしまいました。
メアリーも笑ってくれました。
そうです。アクラム様にこの際尋ねましょう。
たとえ私のことを愛していなくても、そして私はアクラム様のことを愛していることも。
それが、受け入れられなくても、心に区切りをつけましょう。
私はもう一度アクラム様とお話ししようと思いました。
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