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学問と女性
しおりを挟む「お前、薬草学を修めていただろ?」
「はい」
「それを使って私のところの商品開発に携われ。」
「商品開発...ですか」
先ほどは満面の笑みに見えた兄の顔が少し悪い顔に見えたのは気のせいでしょうか?
薬草はメアリーの影響で始めたものでした。
私は幼い頃、少し体が弱く、よくメアリーが薬草茶を作ってくれました。
それがとても美味しかったのです。
実は薬草茶は美味しくないのが定番なのですが、メアリーが淹れてくれるお茶は、ほんのりした甘味があり優しい味でした。そのことは薬草学を学ぶまで知りませんでした。
後にメアリーに
「メアリーのお茶は体も心も治しちゃうのね」
と伝えたら、 泣いてしまいました。
「嬉し泣きです」
と 言ってくれたので、良かったです。
そこから、美味しくて、体に良いものを追究して、在学中に王妃様に薬草茶を献上するまでになりました。
薬草学は男性が修める学問として一般的で、女性は私以外いませんでした。
心ない言葉も多々有りましたが、私は人に喜んでほしくて、メアリーが淹れてくれたあのお茶がもっと広く知れ渡ればという想いでした。
その頃アクラム様とはすでに婚約関係でありましたが、失恋もしていましたので、忘れたいという想いもあり、研究に没頭しておりました。
しかし、結婚する上で薬草のことは自分の身の回りだけにとどめるようにしたのです。
それはアクラム様と約束したのです。
「結婚するんだ、それに侯爵夫人が働かなくて良い」
働きたかった訳ではありませんが、私の中で少し研究したかった意欲がありました。しかし、それは邪魔なもの。
女が学を修めるなんて、はしたないのかもしれません。
「かしこまりました。 アクラム様の御心のままに」
そう私は伝えました。
心では少し泣きそうになりながら...
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