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「お目覚めですか?」


穏やかな声で呼びかけられて、心地よい眠りから覚める。

いつの間に眠ってしまったのだろう。

目をこすりながら上体を起こすと、目の前の光景に愕然とする。

「こここは⁉︎」

自分寝ているベッド以外は何もない。
一面が真っ白の空間。


「気がつかれました?」
と声の持ち主を探すと、純白の衣装を身に纏った女性が莉子の側に近づいてくる。

はちみつ色に輝く金色の髪を靡かせながら。

眩しさに目を細めながら、莉子はその女性に見惚れる。

「ここは、あなたの住んでいた世界と異世界との狭間の場所。莉子さん、あなたにお願いがあるのです。」

「は?」

言われた言葉の意味を理解出来ずに、莉子は言葉に詰まる。


「うふふ。や~ね。何言ってるのこの人?って思ってるでしょ。

あなたは、事故に巻き込まれてしまったの
。受け入れるのはつらいわよね…。

あなたの記憶を見せてもらったわ。とても苦労していたようね。
でも安心して。今度こそ幸せになれるよう
に、特別に祝福を与えましょう。
ふふ。どこから突っ込もうか悩んでるわ
ね?
大丈夫よ。私は女神だから。

ただ、無条件にってことではなくて、あなたにお願いがあるの。
実はね、この国の重要人物達が憎み合って殺し合ってしまうの。

莉子さん、どうか彼らを、この国の未来を救ってちょうだい。」

「あの、まず一つお聞きしますが、私は死んだのですか? 」

「医師から数日が山だと言われているわ。
詳しくは体験すれば分かるから。じゃー、
そういうことで、よろしくね‼︎」


呆然とする莉子を、その女性はそっと突き落とすように莉子の肩を押す。

「え⁉︎」

「言い忘れるところだったわ。
必ず彼らを救ってね~。でないと
あなたは、今度こそ本当に消えてしまう
から。魅了魔法をかけたから、彼らから警戒されないから大丈夫よ!うふ」


「ちょっと!意味わかんないんですけどー!」


物凄い勢いで落下していく莉子は、もうだめだと意識を手放した。
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