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「桜、桜、もぅまったく。あの雨の中徘徊したのですって? 何考え出るんだか……ねぇ、聞いてる桜…
あなたどこかケガでもしたらどうするの⁉︎
あなたは出血すると血が止まらないんだから、小さな傷でも命取りになるのよ!
だから大人しくしていてお願いだから…
お母さんあなたのためにがんばってるんだから。
あのねそれとね、いい報せよ。臓器提供してくださる方が見つかったのですって。
もうすぐだから━━」
昨夜病室に帰ろうとしたところを、巡回中の看護師さんと鉢合わせてしまった
ずぶ濡れの姿を見て驚いた看護師は、朝になり母に連絡を入れたらしい
(あぁ、うるさい
私のため? いつもいつも私のためって━━
一体いつ私が何か頼んだというの?
勝手に決めて勝手に押し付けて、さも私が望んでいたかのように偽る
昔からそう
洋服だって、学校だって、
私の意志を一度でも聞いてくれたことあった?
桜にはこれがいいのよって全部母の希望を通すじゃない
なにひとつ私の希望を聞いてくれたことはんてない
それに提供って……
お金はどうしたの? 莫大な費用がかかるからって募金集めや仕事の掛け持ちでしんどいって言ってたじゃない
もう、いい加減ほっといて!)
叫び出したくなる気持ちとは裏腹に、倦怠感が強くて何も言えなかった
「桜、眠ってるのね……お母さん帰るね……もうすぐの辛抱だからね……」
あなたどこかケガでもしたらどうするの⁉︎
あなたは出血すると血が止まらないんだから、小さな傷でも命取りになるのよ!
だから大人しくしていてお願いだから…
お母さんあなたのためにがんばってるんだから。
あのねそれとね、いい報せよ。臓器提供してくださる方が見つかったのですって。
もうすぐだから━━」
昨夜病室に帰ろうとしたところを、巡回中の看護師さんと鉢合わせてしまった
ずぶ濡れの姿を見て驚いた看護師は、朝になり母に連絡を入れたらしい
(あぁ、うるさい
私のため? いつもいつも私のためって━━
一体いつ私が何か頼んだというの?
勝手に決めて勝手に押し付けて、さも私が望んでいたかのように偽る
昔からそう
洋服だって、学校だって、
私の意志を一度でも聞いてくれたことあった?
桜にはこれがいいのよって全部母の希望を通すじゃない
なにひとつ私の希望を聞いてくれたことはんてない
それに提供って……
お金はどうしたの? 莫大な費用がかかるからって募金集めや仕事の掛け持ちでしんどいって言ってたじゃない
もう、いい加減ほっといて!)
叫び出したくなる気持ちとは裏腹に、倦怠感が強くて何も言えなかった
「桜、眠ってるのね……お母さん帰るね……もうすぐの辛抱だからね……」
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