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「エリー様良ければこちらを」

家令は私へブランケットを渡してくれた。
自分が薄いナイトドレスだということを忘れていた
 
 ブランケットを羽織ると家令の後に続き廊下を進む。てっきり隣の部屋へと向かうと思っていたけれど、家令はぐんぐんと進む。


どうして続き部屋となっている隣りの部屋ではないのだろう。
 あの離縁届といい私の存在はいったい…


「申し遅れました。私のことはマクスとお呼びください」



「マクス…さん」

妻となったと思っていけれど、離縁と言われているので、自分の立場が分からずに家令の呼び方も悩んで口にした



「どうぞ呼び捨てでマクスと。」

マクスの後につづいて階段を降りて歩いて行くと、視界にふっと何かが目に入った。

何かしら?

立ち止まり、目線を移すと、女性の後ろ姿だった。その女性は先程私達が歩いてきた方向へと進むと、階段を登って行った。

誰かしら?

メイド服には見えなかったけれど。


「エリー様、どうかされましたか?もうすぐ到着致しますこちらです」


「あ、えぇ」

私はマクスの後を追いかける

「こちらのお部屋をお使いください」

案内された部屋へ入室すると、トランクが置かれていた。

父が送ったと言っていた荷物ね。

「お荷物はこちらへお運びしたのですが、さすがに女性のお荷物を開けることが出来ず…このままで申しわけありません」

女性のメイドがいないのかしら。
条件として、誰も連れてこないように言われていたから、てっきりこのお邸にはたくさんのメイドがいるものだと思っていたのだけど。

「大丈夫よ。自分で整理できるから。それよりも、離縁とはどういうことなのでしょう?」

「少しだけお待ちを」

マクスは一旦退出すると、紅茶の乗ったワゴンを押して戻ってきた

「体が温まります。こちらをひとまずどうぞ」

「ありがとう」
 
ソファーへと座り、用意された紅茶を一口飲むとじんわりと冷えていた身体が温まる。

カップをテーブルに置くとマクスは先程の話の続きを始めた。

「いきなりこういったお話をお聞かせするのは躊躇われますが、

状況をご説明する為には必要なことでして。
実は…旦那様は…呪われているのです」


「呪い?」

相手を苦しめる呪術は禁忌とされている。
だが消えた訳ではない。
そういった闇の魔法を扱える者、隠れて研究するものなどいるともきく。

いったい誰がそんなことを
「もしかして、旦那様はそのせいであぁいう風に?」



「いぇ、旦那様は…元々女性関係が派手な方でして…」


「そ、そうでしたか…」

ん?ではいったい呪いとは?

マクスは深呼吸をすると言葉を続けた。
まるで昔話を話すように





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