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私達の姿を見ると、ソファーへ座るように促した。

「ニコライ、至急の用件とは?
マリーベル嬢までお連れして、何事だ」

神官長に問われて、ニコライ様が口を開く。

「神官長、今朝、神殿内で幾つかのトラブルが発生しました。」

「トラブル? どんなことだ」

「簡潔にまとめますと、神官達の外履き用下足靴から片方だけ靴が紛失、調理場では砂糖と塩が入れ替えられる、時計の時間が遅れているなど…」

「なんだ、そのくだらないいたずらは⁉︎

ハハッ、神官達も弛んでいるようだな。
ニコライ、お前の監督不行きなのではないか?

こんないたずらのことを、マリーベル嬢にまでお聞かせするとは。」

「いえ、それだけではありせん。」

「まだ他に何かあるのか?」

「はい、女神像が…」

「女神像に何かあったのか?」

神官長は先程までとはうってかわり、ひどく動揺した様子で、ニコライの言葉を待つ

「はい、女神像の、イヤリングと、宝石の花束が紛失しており、周囲の花も刈り取られておりました。ですが━━」


「なんだと!それは本当か⁉︎
わしのコレクションが‼︎
何ということだ‼︎
ニコライ! 至急犯人を見つけるのだ!
なんとしても取り戻さなければ!」

神官長は怒りのあまりソファーから立ち上がると、部屋の中を右往左往していた。

「わしのコレクションが! おのれ」

「神官長さま、どうか落ち着かれてくださいませ」

苛立ちを隠せない神官長へ、マリーベルは優しく声をかける。
けれど、そんなマリーベルの声は耳に入っていないようだった。

「神官長、宝石は確保しました。」

「なんだと? でかした‼︎  ニコライ、犯人も捉えたのか?」

「いいえ、宝石は講堂の女神像に飾られていました。寄付箱も破壊されておりましたが、盗られた形跡はありませんでした。」

「この神殿に盗賊が?」


「神殿内を見回った所、マリーベルさまの部屋の前には花が山積みにされておりました。

おそらく女神像の周囲の刈られた花かと思われます。

いたずらとして片付けるには、無理があるかと。

マリーベルさまを狙った者かもしれず、心配でしたのでこうしてお連れしました。」

ええっ⁉︎ 

あの花は、侵入者によって置かれたものだったの? 
私に対しての悪意……?

「ニコライさま、私が……狙われたのですか?」
 
「断言はできませんが、個人の部屋の前に異変があったのはマリーベル様だけのようですし。

騎士団へ報告するつもりです。

マリーベル様の安全も考えて、至急帰られた方がよろしいかと」

「ふむ……マリーベル嬢の安全を考えたら帰すのがよいだろうな。
だが……わしのコレクションの件が…。」
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