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第一部
ある男視点 2
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「先輩。」
若い隊員が気さくに近づいて来る。私を見て怖がらずに接してくれる者は珍しい。
『あぁ。こっちだ』
「はい。頼まれた物です。最近おつかいが多くないですか~。」
『わるい。助かる。今度何か奢る。』
後輩から荷物を受け取る。
「まぁ、いいですけど。たまには交代しますよ。」
『いや、大丈夫だ』
「俺も一応任務に加わる許可とってあるんですけどね。まぁいいですけど…
あ、先輩」
軽く不貞腐れながらも、言葉を続ける様子にほっとする。
人付き合いが苦手だが、この隊員のことは多少は気に入っている。
『なんだ?』
「近いうち、会議が開かれるそうですよ」
『なんの会議だ?』
「なんでも、対象者に関することだとか。俺も、詳しくは知らないですけど」
『どういうことだ?』
対象者に関することと聞いて、たまらずに後輩に詰め寄っていた。
「ちょっ、ちょっと先輩。ストップ。近いっすよ。恐いですって。」
『うるさい。生まれつきこういう顔なんだ。どんな内容だ?』
「だから詳しくは知らないんですって。本当ですって。
そんなに気になるなら、自分で確認に行ったらいいじゃないですか~」
『… ……無理だ』
「ちょっと、その間はなんなんです?
ほんっと、融通効かないですよね先輩は」
『キース、少しでも何か分かったら早急に知らせてくれ』
「はぁ。分かりました。じゃ失礼します」
『あぁ』
遠ざかる若者を見送る。
隊が縮小されて、一人になってからは、着替えや食事などの為に交代の者がやってくるようになった。
毎日来るのが煩わしくて、邪険にするうちに、数日に一度、ついには週に一度になってしまった。
訪れる者も、毎回違う者がきていたが。
一人で任務遂行する重責もあり、気持ちに余裕がなかったこともあり、近付き難い雰囲気をだしていたのだろう。
気難しいのは、自分でも分かっている。
去年あたりから、キースという若者だけが訪れるようになった。
確か、17と言っていたか。この任務についた時の私と、同じくらいか。キースが次の担当になるのだろうか。
私も、年齢的にそろそろ街へ戻されるのかもしれない。
確かに昔に比べると、体力の衰えは感じる。
昔は野宿をしていたが、テントを張るようになった。
最近は、少し離れた所に小屋を建ててもらった。
着替えや用を足す時、仮眠をとるときに便利だ。
もしも、この任務から外れたら、私は街へ戻され、通常の任務に就くことになるだろう。
だが、リィーンは、どうなる?
キースはまだ若い。
リィーンと同じ歳か。
キースに任せても、よいものだろうか
若気の至りということもある。万が一リィーンに何かあったら、私は冷静ではいられない。
若い隊員が気さくに近づいて来る。私を見て怖がらずに接してくれる者は珍しい。
『あぁ。こっちだ』
「はい。頼まれた物です。最近おつかいが多くないですか~。」
『わるい。助かる。今度何か奢る。』
後輩から荷物を受け取る。
「まぁ、いいですけど。たまには交代しますよ。」
『いや、大丈夫だ』
「俺も一応任務に加わる許可とってあるんですけどね。まぁいいですけど…
あ、先輩」
軽く不貞腐れながらも、言葉を続ける様子にほっとする。
人付き合いが苦手だが、この隊員のことは多少は気に入っている。
『なんだ?』
「近いうち、会議が開かれるそうですよ」
『なんの会議だ?』
「なんでも、対象者に関することだとか。俺も、詳しくは知らないですけど」
『どういうことだ?』
対象者に関することと聞いて、たまらずに後輩に詰め寄っていた。
「ちょっ、ちょっと先輩。ストップ。近いっすよ。恐いですって。」
『うるさい。生まれつきこういう顔なんだ。どんな内容だ?』
「だから詳しくは知らないんですって。本当ですって。
そんなに気になるなら、自分で確認に行ったらいいじゃないですか~」
『… ……無理だ』
「ちょっと、その間はなんなんです?
ほんっと、融通効かないですよね先輩は」
『キース、少しでも何か分かったら早急に知らせてくれ』
「はぁ。分かりました。じゃ失礼します」
『あぁ』
遠ざかる若者を見送る。
隊が縮小されて、一人になってからは、着替えや食事などの為に交代の者がやってくるようになった。
毎日来るのが煩わしくて、邪険にするうちに、数日に一度、ついには週に一度になってしまった。
訪れる者も、毎回違う者がきていたが。
一人で任務遂行する重責もあり、気持ちに余裕がなかったこともあり、近付き難い雰囲気をだしていたのだろう。
気難しいのは、自分でも分かっている。
去年あたりから、キースという若者だけが訪れるようになった。
確か、17と言っていたか。この任務についた時の私と、同じくらいか。キースが次の担当になるのだろうか。
私も、年齢的にそろそろ街へ戻されるのかもしれない。
確かに昔に比べると、体力の衰えは感じる。
昔は野宿をしていたが、テントを張るようになった。
最近は、少し離れた所に小屋を建ててもらった。
着替えや用を足す時、仮眠をとるときに便利だ。
もしも、この任務から外れたら、私は街へ戻され、通常の任務に就くことになるだろう。
だが、リィーンは、どうなる?
キースはまだ若い。
リィーンと同じ歳か。
キースに任せても、よいものだろうか
若気の至りということもある。万が一リィーンに何かあったら、私は冷静ではいられない。
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