世界と世界の狭間で

さうす

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第15話(最終話)

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 無事にミコトの居場所が分かったので、私はルシフとベルを約束通りケーキ屋に連れて行った。
 ルシフは「待ってました」とばかりにケーキ屋の中へ早足で入っていった。
 ベルはいつの間にか普通の青年の姿に戻っていて、ルシフの後に続いて遠慮もなしに大量のケーキを注文した。
 テーブル席につくと、2人は礼儀正しく

「いただきます」

と手を合わせて、ものすごい勢いでケーキを食べ始めた。
 ベルなんてホールケーキ3個をひとりでバクバク食べている。

「美味しいです」

 ベルが幸せそうに言う。
 ルシフは自分のケーキだけじゃ飽き足らず、ベルのケーキを勝手に食べ始めた。

「ちょっと、ルシフ!僕のケーキ食べないでください」
「いいだろ別に。味見くらいさせろよ」
「ダメです」

 こうして会話しているのを見ていると、2人はいたって普通の青年たちだ。
 さっきの闘いが嘘のよう。

 ねえ、貴方たちは一体何者なの?

 そう聞きたくなるけれど、私はそれをぐっとこらえた。

 それを聞いてしまったら、彼らにもう二度と会えなくなるような気がして。

 2人はやはり礼儀正しく

「ご馳走様でした」

と手を合わせると、席を立った。

「美味しそうで良かったです」

 にっこり笑って彼らに言った。
 ルシフは満足そうに「ああ」と頷いた。

「ケーキ、美味かったぜ。ありがとな」



 ……こうして私は今日も何も知らないふりをして、秘密だらけのその店を訪れるのだ。


「いらっしゃいませ」
「今日の依頼は?」
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