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第12話
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遊園地に向かって僕たちは再びルシフのホウキに乗って飛び立った。自転車の二人乗りは違法だとよく言うけれど、ホウキの二人乗りはどうなのだろうか……。
「遊園地には、あとどれくらいで着きそうだ?」
「もうすぐですよ。……ほら、あそこ。観覧車が見える」
「あれか。想像以上にショボいな……」
人のいない遊園地は、不気味で異様な雰囲気を纏っていた。
「どこに敵がいるかわからない。今のうちに、力を共有しておこう」
「そうですね」
「封印されし偉大なる魔導師の力よ、我に勝利の導きを。闇の王よ、我が血と魂を汝に捧げ、共に闘い、共に滅びゆくことを誓わん。契約に従い、その力を解き放て……ーー」
「我が主の仰せのままに」
ホウキに乗ったまま、僕が後ろからルシフの首筋に噛みついたので、ルシフがビクッとして、ホウキがガクンと傾いた。
「お前……っ、俺の血、瓶に詰めて渡しただろ……!!」
そういえば、そうだった。
「すみませんね、いつもの癖で」と言いたいところだけど、力の解放をするときにそんな軽口を叩く余裕はない。
息は苦しいし、身体は重い。
うずくまりたいところだけど、上空ではそうもいかない。
「……っ!!」
全身に激痛が走って、支えを求めた僕は、思わずルシフの背中にしがみついた。
ルシフの身体に僕の体重がかかって、ホウキはぐんっと前のめりになった。
「おい、ベル!!しっかりしてくれ!バランスが崩れる……!!」
ホウキはぐるんと回転しながら急降下し、僕たちは背中からパーン!と地面に叩きつけられた。
「痛ってえ……。ベル、大丈夫か?」
「はい……」
「とりあえず、遊園地に着いたぞ」
そう言われて周りを見渡してみると、コーヒーカップ、メリーゴーランド、観覧車……そこは紛れもなくさっき読み取った映像に出てきた場所だった。
だけど。
「何か、変な感じがしませんか……?」
空は穏やかな天気だったはずなのに、いつの間にか霧がかっている。
まさか、既に敵の手中に……。
「ベル、伏せろ!!」
ルシフが叫んだ。
僕はすぐに身を縮めた。
頭上を掠め、地面に突き刺さったのは、一本のナイフだ。
「まずい……。あのババア、もう俺たちに気づいてやがる」
ルシフが呟くと、ナイフが勝手に地面を動き出し、何やら文字を書いた。
『誰がババアじゃ』
と、書かれている。
「おい……こんな恐ろしいツッコミの仕方見たことないぞ」
ルシフはそう言っているけれど、僕はそれ以上に恐ろしいことに気がついてしまった。
地面にポタポタと血が滴っているのだ。
誰の血……?
視界が揺らいで、腹の中から何かが込み上げてきた。
僕はそれを激しく地面にぶちまけた。
血だった。
これ、僕の血だったのか……。
「ベル!!」
ルシフがへたり込んだ僕を支えてくれた。
身体が痺れて、震えが止まらない。
熱い。溶ける。
頭がぐらぐらする。
苦しい。
わかった。この霧だ。
この霧は、きっと、対魔族用聖水だ。
それに、魔法使いの血液が混ざってる。
だから、僕の身体は拒絶してるんだ。
「霧のせいなんだな?ベル」
僕の思考は伝わったみたいだ。
ルシフは自分のマントを脱いで僕に被せた。
僕が霧をこれ以上吸わないように。
でも、手遅れだ。
頭がふわふわして、逆に気持ち良くなってきた。
これはヤバイってことを僕はよくわかっている。
「ルシフ……早く、逃げないと……」
僕もルシフも死んでしまう。
「ベル……。悪いが、それは無理みたいだ」
ルシフが立ち上がる気配を感じた。
そして……、遠くから、少女の声が聞こえた。
「遊園地には、あとどれくらいで着きそうだ?」
「もうすぐですよ。……ほら、あそこ。観覧車が見える」
「あれか。想像以上にショボいな……」
人のいない遊園地は、不気味で異様な雰囲気を纏っていた。
「どこに敵がいるかわからない。今のうちに、力を共有しておこう」
「そうですね」
「封印されし偉大なる魔導師の力よ、我に勝利の導きを。闇の王よ、我が血と魂を汝に捧げ、共に闘い、共に滅びゆくことを誓わん。契約に従い、その力を解き放て……ーー」
「我が主の仰せのままに」
ホウキに乗ったまま、僕が後ろからルシフの首筋に噛みついたので、ルシフがビクッとして、ホウキがガクンと傾いた。
「お前……っ、俺の血、瓶に詰めて渡しただろ……!!」
そういえば、そうだった。
「すみませんね、いつもの癖で」と言いたいところだけど、力の解放をするときにそんな軽口を叩く余裕はない。
息は苦しいし、身体は重い。
うずくまりたいところだけど、上空ではそうもいかない。
「……っ!!」
全身に激痛が走って、支えを求めた僕は、思わずルシフの背中にしがみついた。
ルシフの身体に僕の体重がかかって、ホウキはぐんっと前のめりになった。
「おい、ベル!!しっかりしてくれ!バランスが崩れる……!!」
ホウキはぐるんと回転しながら急降下し、僕たちは背中からパーン!と地面に叩きつけられた。
「痛ってえ……。ベル、大丈夫か?」
「はい……」
「とりあえず、遊園地に着いたぞ」
そう言われて周りを見渡してみると、コーヒーカップ、メリーゴーランド、観覧車……そこは紛れもなくさっき読み取った映像に出てきた場所だった。
だけど。
「何か、変な感じがしませんか……?」
空は穏やかな天気だったはずなのに、いつの間にか霧がかっている。
まさか、既に敵の手中に……。
「ベル、伏せろ!!」
ルシフが叫んだ。
僕はすぐに身を縮めた。
頭上を掠め、地面に突き刺さったのは、一本のナイフだ。
「まずい……。あのババア、もう俺たちに気づいてやがる」
ルシフが呟くと、ナイフが勝手に地面を動き出し、何やら文字を書いた。
『誰がババアじゃ』
と、書かれている。
「おい……こんな恐ろしいツッコミの仕方見たことないぞ」
ルシフはそう言っているけれど、僕はそれ以上に恐ろしいことに気がついてしまった。
地面にポタポタと血が滴っているのだ。
誰の血……?
視界が揺らいで、腹の中から何かが込み上げてきた。
僕はそれを激しく地面にぶちまけた。
血だった。
これ、僕の血だったのか……。
「ベル!!」
ルシフがへたり込んだ僕を支えてくれた。
身体が痺れて、震えが止まらない。
熱い。溶ける。
頭がぐらぐらする。
苦しい。
わかった。この霧だ。
この霧は、きっと、対魔族用聖水だ。
それに、魔法使いの血液が混ざってる。
だから、僕の身体は拒絶してるんだ。
「霧のせいなんだな?ベル」
僕の思考は伝わったみたいだ。
ルシフは自分のマントを脱いで僕に被せた。
僕が霧をこれ以上吸わないように。
でも、手遅れだ。
頭がふわふわして、逆に気持ち良くなってきた。
これはヤバイってことを僕はよくわかっている。
「ルシフ……早く、逃げないと……」
僕もルシフも死んでしまう。
「ベル……。悪いが、それは無理みたいだ」
ルシフが立ち上がる気配を感じた。
そして……、遠くから、少女の声が聞こえた。
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