婚約破棄されたばかりだし聖魔法使いでも聖女にはなりません!―いくら貴族の務めといえどまっぴらです‼私は好きなことして過ごします‼―

ふぃえま

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聖女候補、秋の新作が王妃様のお気に召したようです

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お茶会の度に求婚と新作の催促をかわしていたらたちまち季節が巡って秋物売り出しの季節になりました。
ええ、まだまだ暑いです。
今日は新作のお披露目の為に王妃様を訪ねます。

「今日はまた新作を見せに来てくれたのね。ずっと楽しみだったからうれしいわ」
「ありがとうございます。僭越ながらご紹介させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ええ、ええ、もちろん!早速お茶の準備をさせましょう。もう整っているわ」

今回の新作ドレスは肩が出そうなボートネックにスリット入りの袖が印象的なものがアイコンに設定してある。
ドレスの裾もスリットが入っていたり、チュールを重ねて透けるような色の重なりを作ってあったりとみんなのアイディアがふんだんに盛り込まれている。

「あら、これはずいぶんきれいな生地を裏地に使っているのね」
「こちらはダンスの際にスリットでひるがえるようになっていますので、その際きれいに見えるようにと設定しております。もちろん、気になる場合は隠しボタン等でおさえることも出来ます」
「この袖もなかなか挑戦的で良いわね。秋冬はなかなか肌を見せるものがないから誘惑には覿面てきめんだわ」

王妃様はお茶に少し手をつけた後はひたすら新作を手に取り、オーダーを進めてくださった。
1週間後、秋物売り出しの日に開かれるお茶会にあわせて一式揃えられたのでどれか使って頂けるのだろう。
あまり贔屓目は良くないのでなかなか一式揃えられた状態でお召しになることはないけれど、それでもやっぱり手に取っていただけることは嬉しい。

「今日はありがとう。とても楽しかったわ」
「ありがたき幸せにございます」
「また私が話しすぎてお腹がすいたでしょう。お茶菓子を包んであるからどうぞ召し上がってね」
「ありがとうございます。つつしんでお受けします。職人たちも喜びます」

その日帰って商店の皆と盛大にパーティーをしたことは皆のモチベーションになりました。
それになにより、久しぶりにゆっくり楽しい時間を過ごす事が出来て良かったです。
さあ、明日からまた新作の売り出し最終調整です。
馬車馬のように稼いで、聖女像から距離を取りましょう。
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